ゴブリン殲滅戦1
「アレク起きろ。」
俺は父さんに起こされて起きる。
「何、父さん。」
俺は寝ぼけながら言った。
「今日はゴブリン殲滅の日だぞ。」
俺はその言葉を聞くと同時に覚醒した。
「分かった。直ぐ準備する。」
「俺は下で待ってるぞ。」
そう言うと父さんは俺の部屋から出て行った。
俺は直ぐに着替えて下に降りた。降りた先には父さんがいなかった為、外に出る。
そしたら真剣を2本持っている父さんがいた。すると父さんが俺に剣を渡して来た。
俺は父さんの意図を理解すると剣を振り下ろした。
「問題ないよ、後何回か振れば大丈夫。」
「そうか、木剣と感覚が違うから戸惑うと思ってたんだが心配はいらなかったな。それと鞘に剣をしまっとけよ。」
そう言うと父さんは鞘を俺に渡した。
鞘を受け取った俺は剣を鞘にしまい腰のベルトに引っ掛ける。
「それでどこに行くの?」
「村長の家の前だ。まあ広場だな。」
「分かった。」
こうして俺達は広場へと向かった。
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広場へと向かうと俺は驚いた。正確な数は分からないがざっと50人くらいいる。
するとその人だかりからユークさんが出て来た。
「おはようございますユークさん。」
父さんが挨拶するのに続けて俺も挨拶をする。
「おはようございますユークさん。」
「おはようさん、ジークとアレク坊。」
ユークさんは軽く手を上げながら続けて言う。
「ところでアレク坊はなんで来たんだ。あんまり興味無さそうだったのによ。」
「まあ、色々ありまして。」
「まあ、いいか戦力が増える事には違いない。」
俺は驚いた、まだ8歳の子供を戦力と数えるなんて。
ユークさんは俺が驚いているのに気がついたのか、言った。
「アレク坊を戦力と数えたのはジークの特訓を毎日受けているからだ。それに戦う者の体だしな。」
3日前に言った俺の言葉をそのまま返して来た。俺はその言葉に少しだけ力が抜けた。
どうやら俺は結構緊張していたらしい。ユークさんは俺が緊張しているのを見抜いてほぐしてくれたのだろう。
「ははっ、体の力が少し抜けました。」
「適度な緊張は必要だが緊張し過ぎると逆に全力を出せないからな。」
「はい、ありがとうございます。」
適度な会話をすると、ユークさんが真剣な顔をする。
「ところでジーク、それとアレク坊も聞け。」
「なんでしょうか。」
「何ですか。」
「ゴブリンの数に間違いがあったらしい。どうやら大洞窟があった様でそのゴブリンの数も入れると2倍ほど増えるらしい。」
洞窟とは厄介だな、しかも洞窟はゴブリンの棲家だから奇襲されまくる。
「なるほど、しかも洞窟とは厄介ですね。それで指揮は誰か取るんですか?」
どうやら父さんと同じ考えだった様だ。
「俺とリガルドと、ジークお前だ。」
父さんに指揮なんてできるのだろうか。どちらかと言えば指揮なんてせずに戦う方が似合ってると思うが。
「えっ、どう言う事ですか。」
「落ち着け、まずジークが指揮を取ることになった理由だが、この数だと冒険者が必要だと思った村長が冒険者を呼んだんだが、その冒険者が条件を呑んでくれたら金は要らないと言ったからだな。」
「そうなんですか、まあ、冒険者が必要な事は分かります。それでそんな事を言った冒険者の名前は何ですか。」
「確かグレンと言ってたな。」
「あいつか〜。」
そう父さんは言うと複雑な表情をした。俺は父さんがこんな表情をする人がどんな人なのかが気になった。
「父さん、そのグレンってどんな人。」
「まあ、アレクも冒険者になるなら知っといた方がいいか。」
どうやら教えてくれるらしい。
「まず冒険者ってのは荒くれ者が多い。その中でも稀に喧嘩っ早い奴がいてなそれで俺に喧嘩をうってきたのがグレンだ。」
「でも確か冒険者は喧嘩はいけなかったよね。」
「その通りだ。だけど訓練場で模擬戦みたいのはいいんだ。それで勝ったのは良かったんだがそこからがおかしかったな。」
「どうおかしかったの。」
「そうだな、弟子入りして来たな。だけど俺は弟子なんて取ってなかったから断ったんだ。それでも毎日弟子入りしてきて、俺は仕方なく弟子にした。それから毎日戦い方を教えることになってな、俺は母さんと村に帰る途中だったから、Bランク冒険者になるまで教えないと言ったんだよ。」
「そうなんだ。…ん?おかしくないだったらなんで父さんが村にいるの。」
「あいつ力はあるのに馬鹿だからBランクになった時に会う場所を聞く前に立ち去ったんだよ。」
「でも父さんなら追いつけたでしょ。」
「追いつけたが面倒だったし別にいいかと思ってな。そのまま村に帰ったんだ。」
「可哀想と思えない人だね。」
俺がそう言うと父さんは苦笑いをした。そしてその話を聞いていたユークさんが話す。
「そうか、その冒険者の人柄は分かった。それで指揮は取ってくれるのか。」
「分かりました。」
「まあ、指揮を取ると言っても全体じゃなくて洞窟に行く人数だけだからな、それにリガルドもつけるぞ。」
「リガルドがいるなら俺はいらないのでは?」
「いや、その冒険者の要望だから形だけでもな。」
「そうですか。」
「それじゃ伝えることは伝えたから俺は行くぞ。」
そう言うとユークさんは去って行った。
「父さんこれからどうするの。」
「そうだなまだ来てない人もいるし待つことになるな。暇ならニノちゃんでも探しに行けば。」
「分かった。そうするよ。」
俺がニノを探そうとした時、後ろから声をかけられた
「その必要はない。」
「いつの間にいたんだよ、ニノ。」
振り返るとニノがいた。ただいつもと違うのは髪を結んでいてポニーテールになっている。
「アレクが私を探そうとした時。」
「今さっきじゃねえか。」
俺達が話していると父が話してきた。
「えーっと、ニノちゃんでいいのかな。」
「はい、初めましてアレクのお父さん。」
「こちらこそ初めまして。ところでお父さんはどこにいるのか分かるかい。」
「直ぐに来る。」
ニノがそう言った瞬間物凄スピードで何かが迫って来る。
「私の娘に何してる!」
そう言うと弾丸のように飛んで父さんに殴りかかって来た。
それに対応する様に父さんは身体強化を発動させその拳を受け止める。
「いい加減その親バカを治せよリガルド。」
「その声はジークか。」
どうやら父さんに殴りかかったのがリガルドさんらしい。ニノの父さんだからクールな人かと思ったけど違った。
隣のニノの顔を見ると無表情だった。ニノはいつも無表情だがその無表情はまるでゴミを見る様だった。
「ああそうだよ。」
「ジークだったか、それとジークが指揮をやるのは本当か。」
「不本意ながらな。まあ、指揮はリガルドがやってくれ、俺は指揮なんてできないからな。」
父さんは戦う方が似合ってるからね。
「分かった。ところでニノの隣にいるのがアレクくんか?」
「そうだ。俺の自慢の息子だ。」
そう言うと父さんは俺の肩に手を置く。
「初めまして、リガルドさんアレクと申します。」
そう言うと俺は軽く頭を下げる。
「よろしく、アレクくん。」
リガルドさんも少し頭を下げてくれ、俺はリガルドさんと知り合った。




