成長
ニノと別れてから俺は家に帰り、家族と晩御飯を食べていた。
俺はどうやって今日の話を切り出そうか悩んでいた。
父は別についてきても良いと言うと思うが、母が反対するだろうな。でも話してみない事には変わらないか。
そう悩んでいると父がゴブリン殲滅の話をし始めた。
「リリア、3日後ゴブリンの殲滅に行く事になった。」
「あら、そうなのね。なら色々準備をしなくちゃ。」
ナイスだ父さん。俺はこのタイミングなら話せると思い言った。
「父さん!」
「な、なんだ。」
俺がいきなり声を上げたのに驚いたのか父と母はこちらを見てきた。
「俺もゴブリンの殲滅戦に参加したい。」
「別にいいぞ、アレクもそろそろ魔物を倒す事が必要だと思ってたしな。」
そう言って父は笑った。
だけど俺がゴブリン殲滅に行く事に反対する人が1人。
「ダメよ、アレクにはまだ早いわ。」
「そうだが、魔物を倒すのに早いに越したことはないだろう。」
「そうだよ。」
俺が続けて言う。
「それでもよ、それにねアレク、魔物は危険なのよ。だからまだアレクには早いわ。」
「それでも行きたい。ねっ、だからお願い。」
俺は目をウルウルさせながら言った。
「うっ、で、でもダメよ。魔物だけじゃない森も危ないのよ。」
ちっ、万事休す、と思った所で救世主がきた。
「リリア、アレクがおねだりする事なんて滅多にないだろう。それに俺がしっかりと見てるから大丈夫だ。」
おお、父よあなたがメシアか。
「貴方…はぁ、わかったわアレク行ってもいいわよ。ただしジークの言う事をしっかりと聞く事。分かった。」
「分かった。」
俺は嬉しさを隠しながら言った。
「それにしてもどうして行くなんて言ったんだ?ユークさんが来た時はあまり興味が無さそうだったじゃないか。」
「それは、まあ、ニノが行くって言ってたから、それにニノが魔物を倒した事があるって言ってたから負けられないと思って。」
俺がそう言うと母と父がニヤニヤしていた。
「何?」
「いや、何でも無い。」
「何でも無いわ。」
そう言いながらも父と母はニヤニヤしている。俺は別にどうでもいいかと思い、切り替える。
「それで父さん、3日後は俺もついて行ってもいいの。」
「いいぞ。ただし俺の言う事をしっかりと聞け。」
「それは分かってる。森は危険だからね。」
「そうよ。だから勉強の時は森で出てくる魔物の行動や対処法などをより深く教えるわね。」
「分かったよ。」
こうして何とかゴブリン殲滅に行く許可を貰えた。
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それから次の日
俺は今、ニノと剣で打ち合っている。とても木剣から出ない様な音を当たりに響かせながら。
俺達は今、かなり本気で打ち合っている。身体強化を使いながら剣にも魔力を乗せて。
そしてどちらともなく距離を取り態勢を立て直す。
「…」
「…」
どちらも本気だからこそ余計なことは喋らない。それが隙となってしまうからだ。
もし、隙を見せようものなら一瞬にしてやられてしまう。
ニノがどの様な攻撃を仕掛けてくるのか全て考え、最適解を出し続ける。そうしなければ勝てない。
そしていつかは、一瞬の隙が生まれる。
俺が瞬きをした瞬間にニノは詰めて来た。俺はそれを落ち着いて対処して何とか反撃に繋がらないかを考える。
だがそんな考えを許さないと言う様な猛攻、このままでは崩されると思った俺は思いきった行動に出る事にする。
それは剣を捨てる事、だけどただ捨てるだけでは駄目だ。俺の剣に意識を集中させなければ。
俺は連撃の少しの合間に魔力を足に溜めて思いっきり地面を踏みつけた。
そうすると地面が揺るだけどその様な事で動揺するニノじゃあない。すぐに体勢を立て直そうとするニノ、それは一瞬だが俺はその一瞬を作りたかった。
俺はニノに上から下への真向切りを仕掛ける。そしてニノは一瞬の判断で攻撃から防御へと切り替えた。
だが俺はそれを待っていた。俺は剣を放し、ニノの手首を掴んで投げ飛ばす。
ニノは俺の行動が予想外だったのか動かなかった為、とても簡単に投げ飛ばせた。
「まあ、でもダメージは入って無いんだろうけど。」
そして土煙の中から出て来たのは剣を構えているニノ。俺はニノを投げた後、追撃する為にすぐに拾った剣を構えたが追撃は受け身を取っていたのが分かった為、すぐにやめた。
「やっぱり、アレクは強い。」
「ニノほどじゃ無いさ。」
俺は肩を竦めてながら言った。
「冗談。アレクも同類。」
「さて、話はここまでにして、」
そう俺が言った瞬間ニノの剣と俺の剣が交える。
俺が一瞬にして距離を詰めて攻撃したのだ。
「隙は無い。」
「だろうな、防がれると思ったよ。」
そこからまた打ち合う。1秒に3回は打ち合っているんじゃ無いかな。俺はそんな事を思った。
それから数時間は打ち合った。
どちらも本気だからなかなかに決着がつかない。だからこそ持久力の勝負になって来ている。持久力ならば体力作りを小さい頃からやっていた俺の方が有利だ。
だが一瞬でも隙を作れば即座に負ける。
そんなどちらも極限状態で俺達は打ち合っている。相手の足、目、腕、などの予備動作を見て攻撃に対応し、反撃をする。
まだ決着はつかない、そう思ったが打ち合っている時いきなり、ニノのギアが上がったのだ。俺も負けない様にギアをあげる。
だがそれが何だと言う様にギアを上げて行くニノ。俺はその時ニノの異変に気がついた。ニノの魔力の減りが変わっていない事に。
こんなにもギアを上げれば魔力が凄い速さで減るはず、なのにさっきの身体強化と同じくらいしか魔力が減っていない。
俺はこの時、ニノの異変に気づいた。ニノが成長しようとしている。
このまま負けてしまえばニノに一生追いつけない、そんな気がした。
だから俺は勝たなくてはいけない!
俺は一つだけ今のニノの勝てるかも知れない方法がある。前から考えていたものだけれど物凄い痛みを伴う可能性があるやつだ。
だけど俺はこの世界で立派に生きて、そして世界最強になるんだ。だから覚悟を決めろ!
「身体強化!」
俺はそう叫び、身体強化を切り、体内の神経を強化した。その瞬間物凄い痛みが体中を駆け巡り、目から血が流れたが、世界が変わった。周りの世界がゆっくりに見え、ニノの剣技もニノが身体強化をしていない時くらいのスピードになる。
俺は、ニノの剣を紙一重で避け、軽くニノの首に当てた。
「俺の、勝ちだ。」
「やっぱり、アレクは、強い。」
そう言い俺達は2人とも地面に倒れた。




