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二人で目指す世界最強  作者: カラス
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危ない魔法

 今、俺は身体強化を使い父と向かいあっている。身体強化は凄い、体から力が溢れてくる様だ。そして俺は父に踏み込み攻撃をした。


 だが俺の攻撃は父に当たらなかった。父に俺の攻撃を避けられたのだ。それどころか俺は力を抑えきれずそのまま父が避けた先にあった木にぶつかった。


「アレク!大丈夫か!」


そう言いながら父が駆け寄ってきた。


「ああ、なんとか大丈夫だよ。それにしても身体強化って凄いね。」


 そう言い俺は激突した木を見た。その木は俺が激突した位置から縦にひびが入っていた。


「ああ、だから身体強化をして生身の人間を殴ってはいけないんだ。もし生身の人間に攻撃でもしたら骨が粉砕するだろう。」


「分かってるよ。流石にこれを見たらね。」


「分かればいいんだ。それで身体強化は上手く使えそうか?」


「うん、なんとなくだけど今の全力を出した事によって理解したよ。これなら次は大丈夫。」


「よし、それならもう一回身体強化を使って戦うぞ。アレクの身体強化が俺の予想を超えていたから流石に俺も身体強化を使うぞ。」


 そう言い父は少しだけ魔力を出してその魔力で体を包んだ。それを確認して俺も身体強化を使った。


 身体強化を使う時、力が溢れてくる様じゃ駄目だと気付いたから力が溢れないくらいに父の様に調整した。


「父さんこっちも準備できたよ。」


「そうか、なら始めるぞ。」


 そう父が言った瞬間俺は一気に間合いを詰めた。父はさすが元冒険者なだけあって俺の攻撃を容易く受け止めた。


 だけどそれは俺にとってとても嬉しい事だったんだ。何故なら俺は模擬戦で一度も父に攻撃を当てた事がなかったからだ。それで喜んだのがいけなかったのだろう。俺は少しだけ隙を晒してしまい殴り飛ばされた。


「イッ!たくない?」


 俺は不思議だった殴られたのに何の痛みも感じ無いのだ。どう言う事か俺が不思議そうにしていると父が疑問に答えてくれた。


「殴られたのに痛く無いって思っているだろ。それが身体強化のもう一つの特徴だ。だけど痛みがない代わりに魔力が少し無くなっている筈だ。」


そう言われ俺は直ぐに魔力の量を確認をすると、魔力が少し減っているのが分かった。


「本当に減っている。」


「そうだろう。だから攻撃を受けるとそれだけ魔力が早く減ると言う事だ。だけどしっかりと防御したり攻撃を受け流したりすれば魔力の減りはそれほどでもない。」


「なるほどね。それで父さんは俺が身体強化を使って無いから今まで攻撃が投げばかりだったんだね。と言う事はこれから殴る攻撃も加わるって事?」


 俺は少し恐怖を感じながら父に聞く。


「その通りだ。やってこれでより実戦に近い訓練ができるな。」


 そう満面の笑みで父は言ってきたのであった。


 それから俺はぼこぼこにされて特訓が終わった。


 その後、父と一緒に家に入り母が魔法で出した水で体を洗い流して朝食を食べ母の魔法学に移った。


「さて、アレクちゃん今回の授業では今まで習っていた知識を使って初級魔法を発動させましょう。だから外に出るわよ。」


 俺は魔法学を習い始めてから生活魔法は全て発動できる様になっていた。だから次のステップに進みたいと母に言ったら子供だから駄目と言われて初級魔法を使わせてくれなかった。


 だけど知識については教えて貰っている。その為初級と中級なら発動できる事が分かった。今回はその初級魔法をやるらしい。


「属性は何でもいいの?」


 俺は外に出て母が土魔法で用意してくれた的に向かいながら母に聞いた。


「いいわよ。」


「それなら、水魔法にするよ。」


 この世界の魔法は初級魔法でも人が死ねるくらいの威力がある。だから戦士とかの前衛職は魔法でワンパンだと思っていたけど、今日父から教わった身体強化を考えれば普通に戦えると分かった。それでも魔法使いの方が強いらしいが。


「それじゃ行くよ。『ウォーターボール』」


 そう俺が魔法の名称を言うと1メートルくらいの丸い水の球体が出現し、的向かって行った。スピードは身体強化をしていないと目で追えない速さだった。


 その水球は的にぶつかりとても大きな衝撃音が聞こえて無くなった。


「アレクちゃん。どんどんいきなさい。」


「分かった。」


そうして俺は俺が使える3属性の基本魔法を的に放った。


火の基本魔法なら『ファイアーボール』

風の基本魔法なら『ウィンドアロー』

それと、俺が使えない

土の基本魔法なら『ストーンバレット』がある


 因みに俺が土も光と闇の属性攻撃をできないのは自分の属性適性値が土と光と闇が低かったからだ。だけどだいたいの人は1つ、よくて2つしか属性適性が無いらしい。そこに更に魔法が使えるかは才能らしいから、俺みたいな3属性使える人はほとんどいないらしい。


 母は光、水、風、土、火の5つの属性が使える。正直最初は自分が凄いと思ったが母が使える属性数を聞いて絶句した。それのおかげで慢心などしなかったから良かったのかもしれないが。


「それで初級魔法の基本魔法は俺が使える属性で全て撃ったよ。」


「アレクちゃん、お見事。見せて貰った全ての魔法が初級魔法の域を超えていたわ。これなら中級魔法もいけそうね。今度は中級魔法だから的を大きくするわね。」


 そう言い母は直径約1メートルあった的を5倍の大きさにした。


 因みに中級魔法は範囲攻撃かつ高威力だ。ただその分魔力量を食うけれど。


「母さん、俺は準備できたよ。」


「もう少し待っていてね。今硬くしているから。」


 そう言い母さらに的を分厚くした。


「アレクちゃん撃ってもいいわよ。」


「分かった。」

 

 そうして俺は多めに魔力を取り出して自分の頭にイメージをする。そして魔力を槍の形に変えて火をつければ。


「『ファイアーランス』」


 そうして5メートル台の槍が俺の頭上に出現し、的に目にも止まらぬスピードでぶつかった。そしてとてつもない轟音が響く。


 そして俺はとてつもない失敗をしたと気づいた。


「やば!この音村に聞こえるじゃん。」


 そこで母が近くにきて言った。


「大丈夫よ、光魔法で音が村に聞こえ無い様にしたから。」


 そう言いながら母は俺の頭を撫でている。


「それとアレクちゃん、あなたは中級魔法を使えた事から一応一人前の魔法使いになりました。おめでとう。」


 そう母が褒めてくれた。何でも1人前の魔法使いになるには、中級魔法が使える事が条件らしい。俺は母が一応といったことが気になったが母がいつか教えてくれるだろうと思い気にしないことにした。


 だけど俺が目標としている世界最強は魔法でも誰にも負けないからより精進しないといけないと思っている。剣でも負けて魔法でも負けたら世界最強と言えないからな。


「ありがとう母さん、それで他の中級魔法もやってみていい?」


「いいわよ。少し的を治すわね。」


 そうして的を治してくれた。


「撃ってもいいわよ。」


「分かった。」


 そう言い俺は基本中級魔法を発動させた。

中級魔法の基本魔法は

水なら『アクアウェーブ』

風なら『エアカッター』

俺の使えない土なら『ロックバレット』

そのうちの水と風を発動させた。


 その全てを俺は一発で発動させる事ができた。それをできた事により母にますます褒められた。そこで調子に乗ったのがいけなかったんだと思う。


 俺は母に自分で考えた魔法を使ってもいいかと聞いたら許可を貰えた。


 俺が考えている魔法は風魔法で火を包みその周りを多量の水で包み擬似的な水蒸気爆発を起こさないか考えていた。しかも俺が使うのは初級魔法の魔力消費だから成功すればコスパがいいと思ったのもあった。


「母さんそれじゃやるね。」


「ええ、どんなものか楽しみにしているわ。」


「見ててよ。」


 そう言い俺が考えた事を実行して的に向かって打った。そして的にぶつかった瞬間物凄い爆発が起き俺はぶっ飛んだ。俺は訓練の賜物か反射的に身体強化を最大まで上げていた為ダメージを受けずに済んだ。


 だけど俺はそれ以上に焦っていた。何故なら爆発の煙で母さんの姿が見えないからだ。俺はたまらず叫んだ。


「母さん!母さん!どこにいるの返事をして!」


 そう叫んでも返事が来ない。すると後ろから声をかけられた。それは父さんだった。俺は家の直ぐそばまで吹き飛ばされたらしい。


「アレク大丈夫か、何があった!」


「母さんが、母さんが。」


「母さんがどうした。」


「へ、返事が無いんだ。俺の魔法に巻き込まれたのかもしれない。」


「この煙はお前の魔法なのか。」


 そう言う父さんはとても落ち着いて目の前に広がる煙を見て言った。


「父さんは何でそんなに落ち着いているの!母さんが心配じゃないの!」


 俺は父さんの態度に訳が分からず怒鳴っていた。自分でも逆ギレだと分かっているのに。


「心配するな。母さんはとても強いんだ。」


「何を言って…」


 そう言った瞬間だった。目の前の煙が渦巻き上に回り空に散っていった。その中心に母が立っている。


「母さん!」


 俺はそう叫んだ。そしたら母は俺に気がついたのか。こっちに近づいてきた。


「アレクちゃん、大丈夫!」


 なんと飛んできた言葉の第一声は俺の心配だった。それに面食らった俺は言葉がうまく出てこなかった。


「リリア、アレクなら無事ださっき見たが怪我をしていなかったぞ。」


「そう、よかったわ。まさかあそこまでとは思わなかったから反応が少し遅れてアレクちゃんを助けれなかったのよね。吹き飛んで行くのが見えたから心配だったわ。」


 俺は何でも無い様に会話する2人を見て驚いていた。


「か、母さん大丈夫なの?」


 そう俺が聞くと。


「大丈夫も何も無傷よ。それでも上級魔法は久しぶりに使ったわ。」


「リリアが上級魔法を使う程アレクの魔法は強かったのか?」


「そうよ、最初見た時は初級魔法くらいの魔力しか無かったのに攻撃が上級魔法並みなのよ。そのせいで、防音障壁を貼れなかったからさっきのアレクちゃんの魔法は村中の人に聞こえたはずよ。だから、私の魔法ってことにするわ。」


「それがいいだろう。それとアレク。分かっていると思うがさっき撃ったという魔法の使用は禁止な。」


「分かってる。」


 水蒸気爆発の威力を舐めていた。前世の世界で兵器として作られているんだ。この魔法は本当に危ない時しか使わない様にしよう。


「それなら、家に戻りましょう。貴方、村の人達が来たら説明よろしくね。」


「はは、分かっているよ。先にアレクと家に帰ってくれ。」


 こうして俺の魔法学は終わった。


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