14 それはいつも突然に
今回でようやく第一章が完結です! ありえないほど時間がかかってしまい本当に申し訳ないです。それでもここまで読んでくれた方、本当に感謝の言葉がマーライオンの如く溢れ出てきそうなくらいです! 本当にありがとうございます! 第二章も引き続き、張り切って書いていこうと思いますので是非是非よろしくお願いします‼︎
時刻も正午を回ろうとしていたので俺たちはフードコートへと赴いていた。
「いやー想像してた通りだけど、やっぱり混んでるね」
「これじゃあ、席を取るのにも一苦労だな」
「おーい! みんなー! ここの席、空いてるぞー!」
声が聞こえた方へ振り向くとそこにはボーリング場で盛大に吐き出していた水門が席を確保していた。
こいつの切り替えるスピードは些か異常すぎる気がする。
それほどこういった状況に慣れているということなのだろうか。
深く考えれば考えるほど判らなくなっていきそうだから、今は考えないようにしよう。
ってなんか俺、さっきからずっと同じ思考回路を巡らせている気がする。
一つのことを気にし過ぎているとまた琴葉に何か言われそうだな。
ようやくこのループから抜け出した俺は、足早と座れることが担保された席へと向かう。
「それでこの後はどうするつもりなんだ?」
「え? 今、その話するの? 私はご飯食べながら話すものだと思ってたんだけど」
「んー、あー、確かにその方がいいかもな」
「じゃあ早速注文しに行こうぜ!」
「行こう行こう!」
「「れっつらごー‼︎」」
謎のリズムと勢いで席を飛び出してしまった水門と月那。
あの二人、急に波長合わせて暴走し出すから結構厄介なんだよな。高校生にもなって落ち着きがなさすぎるというか、忙しないというか。
「琴葉、あいつら行っちゃったし俺たちも食いもん選びに行くか?」
「それは後にします。今はここの席を保持していないといけないのでお二人が帰ってくるのを待ちましょう」
「お二人にはまたまた感謝ですね……」
「ん? 何か言ったか?」
「いえ、特に何も」
「それなら俺が座ってるから琴葉は買いに行っていいぞ」
「え? 何言ってるんですか。それでは意味がないんです‼︎」
「お……おう……」
何が意味を成さないのか俺には全く理解できなかったが琴葉にとっては重大なことなのだろう。
水門のこともあったしこの部の人間の『重要なこと』というものはしっかり尊重しないとな。
それに実現可能ならば兄として妹のお願いを叶えるのは義務だしな。というか今の俺にはこれくらいしか琴葉にしてやれることはない。
水門たちが戻ってくるまで俺と琴葉は他愛も無い話を繰り広げた。
そしてその後入れ替わりでご飯を買いに行き、四人のメニューが出揃ったところでようやく俺たちは昼食を迎えることができたのだった。
「それじゃあいただきます!」
「「「いただきます」」」
月那の挨拶に続いて俺たちは手を合わせて同じ言葉を発した。
「それでこれからどうするんだ?」
「私は特に行きたい場所とかはないから、琴葉ちゃんが言ってた文房具を買いに行こうかなと思ってる」
「あーそういえば言ってたなそんなこと。琴葉、文房具のお店ってどこにあるんだ?」
「えっと、確かフードコートからかなり近い所に位置していたはずです」
「そうか。なら、それはそんなに時間はかかりそうにないな」
「そうなるとどうしようかなー」
俺たちがそんな会話をしているとついさっきまで異常なスピードで食べすすめていた水門が手を止めて言った。
「俺、行きたいところが……‼︎」
「「却下」」
ここで初めて俺と月那の意見が一致した。
「なんで⁉︎ まだ何も言ってないのに⁉︎」
「だってお前……さっきの騒動忘れたのか?」
「あー、あれか! もう大丈夫だから! 本当に!」
「ならいいんだが」
「よし! 奏の許可も降りたし行こう! いざ、ゲーセンへ!」
「あれ、私はまだ納得してないんだけど」
「お前、本当にゲーセン好きだよな」
「あったりめえよ!」
「あ、兄さん置いてかないでください」
「はあ……また私は水門くんと椿兄妹に振り回されるのか……とほほ」
結果として俺たちは昼食と琴葉の用事を済ませた後、水門の提案通りゲームセンターへと向かい、日が暮れるまで時を過ごした。
遊んだゲームジャンルはシューティング、スポーツ、クレーンゲーム、音ゲー、メダルゲームと多種多様なものだった。
そして最後は水門の提案により四人全員でプリクラを撮った。
「ほらみんな寄って寄って!」
「いや狭すぎるだろこのプリクラ」
「こんなもんだって! 奏にはわかんないかー」
「ひゃう! 兄さんの顔が近い……! 急なのはNGです……」
そんなこんなで撮れた写真には月並み部らしいモーメントが映し出されていた。
元気そうにはっちゃけている水門、おどおどしている琴葉、疲れてやつれている月那。
あれ、月並み部らしさってなんだっけ。
そんな愉快な時間も終わりを告げる。
歓迎会と称されたこの週末を満喫した俺たちはそれぞれの帰路へと着いたのだった。
「今日は楽しかったですね兄さん」
「ああ、たまにはこんなのも悪くはないな」
「はい! また……みんなで来たいですね」
「……そうだな」
「私は兄さんと二人きりでも良いですけど……」
「ん? 何か言ったか?」
「い、いえ! 何も……言ってないです」
琴葉の言ったことを繰り返すようだが今日は本当に楽しかった。
色々と問題は発生したがそれは今後の課題となっていくところだろう。それが解決してまたここに遊びに来たらもっと楽しいだろうな、なんて妄想も挟みつつ俺は今日のことを振り返る。
そして俺は今までにない史上最高の幸福感と共に眠りにつくのであった。
__翌日。
いつも通り琴葉と一緒に登校した俺は教室に入り、課題を提出するなどいつも通りのルーティンをこなしていた。
いつも通りの席。
いつも通りうざったい水門の絡み。
いつも通り威圧的な皇先生。
何もかもがいつも通りだった。
クラスメイトが半分以上、視認できなかったこと以外は__
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