第12話 帰還 return
遅れてすいませんでした!! 予約していたつもりが予約できてなかったみたいです。
第12話です。 よろしくお願いします!
次の日も俺は訓練をしていた。
今朝のルミアの話によると近々俺とルミアのベータ隊も他の壊し屋の部隊と同じように駆り出されてもおかしくないということだったので少しでも能力を上げたいと俺は躍起になっていた。
(素人同然の俺がいる部隊も使わないといけないぐらい戦争が長引きすぎて消耗しているっていうことなのか?)
俺は構えている銃の引き金を引く。
パンッ! という音が鳴り、的に一つの穴が空く。
ルミアみたいに必ず頭に当たるということはまだできないが的には必ず当たることができるくらいにはなった。
「結構良い調子じゃないか? ルミアにも見せてやりてぇな」
そんなルミアだが今日は本部へと送る書類の事務作業があるとのことで訓練には同席できないとのこと。部隊長は大変だねぇ。人材をスカウトしたり、書類書いたり、戦場では部隊を指揮することにもなるんだから。
俺は今撃ったハンドガンDEEGを元の場所へ戻す。
「さて、次はこの銃でっと」
隣にある銃を選んで持ち上げる。
これはfelri5とか言ったか? セミオートの銃だったな
弾を込めて的と向かい合う。
照準を的の頭に合わせて......引き金を引く
パァン!
再び銃声がこの訓練場に響きわたる。
的を見てみると頭のところに穴ができていた。
(やっぱりルミアの言うようにこの銃は精度が良いんだな)
俺は今撃ったfelri5を見る。
全体的に茶色い色をしていて光が当たるとそこに光沢があるのか光る。
「でもやっぱりこっちだよなぁ」
俺はfelri5を戻し、さらにその隣にあるOtobur23を手に取る。
ルミアの愛用している銃、そしておそらく俺もfelri5以上に使うことになるかもしれない銃。
この前ルミアが解説していたようにこの銃にはサプレッサーをつけることができて隠密性に優れている。
ボトルを引き、弾を入れボトルを奥へと押し込む。これで撃つ準備はできた。
的の頭を銃の照準越しに睨む。
パァン! 再三、銃声が響く。
的にできた弾はさらに先程よりも頭の中心に近いところにできておりやはりこの銃だろうと言わせるような出来だった。
さぁて射撃はここまでにして、次は体力でもつけようか。
俺は訓練場のグラウンドに移動して体力の持つ限り、弧を描くように走り始めた。
身に付けたくて身につけた訳ではないがまだ捕まる前の頃は四六時中誰かに追われて逃げ回っていたので持久力には自信がある。
(この大きさのグラウンドだったら何周出来るんだろうな? そもそも力が衰えていなきゃ良いんだけど)
そんなことも思いながら2周、3周と回数を重ねていく。
☆ ☆ ☆ ☆
しばらく走っていると飛行場の方から飛行機の音が聞こえた。
(まさか、司令を乗せた飛行機か? だとしたらついに戦場に行くよう指令がくるのか?)
俺は胸がざわつき訓練を一旦やめて飛行場の方へと足を進めた。
しばらく移動すると飛行場全体が見える場所を見つけてそこに立ち止まる。
(ここからでいいか)
飛行場を見渡すとやはり1機だが飛行機が着陸していた。
飛行機から人が出てくる。
目を凝らしてよく見るが司令というよりは兵士といった方が似合う人達が3人ほど続々と降りてきた。
(いや、あれは司令じゃないな。明らかに雰囲気が違う)
その時、ルミアが言っていたことを思い出す。
「(三人のアルファ隊が東側の大国の軍の基地を一つ潰してきて今は帰還の途中だし、チャーリー隊も新たな指令を受けて潜入しに行っているところだ。)」
なるほど、そしたらあれはアルファ隊の方々か。
体格の良い3人が飛行場から基地の方へと歩いていく。
全員無事で帰ってきたんだな。しかも基地を潰しているんだから大戦果じゃないか。
俺は遠いところにいる3人をただ眺めていた。
アルファ隊の全員が基地に入って行くのを見届けて俺はまた訓練場のグラウンドへ戻って行った。
訓練を続けようとするが、頭のなかでやはり思い出されるのはたった今帰還してきたアルファ隊についてだ。
しっかり3人、生きて帰ってきていて遠目だったので詳しくは分からないが特に怪我をしている素振りも見えなかった。
不安のひとつでもあった少人数という点だったが、しっかりとたった3人のアルファ隊が無事に戻ってきたことで晴れつつあった。
(3人全員が無事に帰還してきたんだ、たかが1人の差くらいどうにでもなるだろ)
俺はアルファ隊のおかげでそう思うことができた。
ルミアと新しく入った俺のふたりだけのベータ隊。
「あれ?」
ふと疑問が出てきた。
俺が入って2人となったベータ隊。
ということは俺が入る前ってルミアは1人で戦っていたのか?
今までどうして気づかなかったんだ。
にわかには信じられないが、もしそうならほんとにすごいなルミアって。
(今日の訓練が終わったら聞いてみよう)
俺は引き続き訓練を続けていった。
☆ ☆ ☆ ☆
日も落ちてきた頃。
結局何周したかなんてさっぱり覚えてない。
昨日と同じように汗が滝のように滴り落ちている。
(気持ちわりぃ。腹減ってるけど夕食食べる前にシャワー浴びてスッキリするか)
俺は訓練場から出てそのまま風呂場に向かう。
(早く風呂入って、早く飯食べてぇ。メルは今日の夕食何作ったんだろうな?)
そんなこと考えていると、訓練場からは案外近いもので数分とかからず風呂場に着いた。
(もしかして俺みたいに訓練したあと汗を流したい奴のためにこういう近い配置になっているのかもな)
風呂場に入るがやっぱりこの時間だからか俺以外には誰もいなかった。
俺は汗でびしょびしょになった服を脱衣場にある洗濯に出しシャワーを浴びに行った。
蛇口をひねりお湯を出す。
運動したあとで身体が熱くなっているんだから冷水を浴びるのがいいんだろうが俺は冷たいのが苦手だからな。
まずは頭から盛大にお湯をかける。シャンプーも使い髪についている汗や汚れを落とす。
次に石鹸を使い体を洗い流す。これだけでもかなりスッキリするもんだ。
浴槽に入ろうか悩んだがそこまでではないしやめた。
あとはまた身体全体に丁寧にお湯をかけて汗を流す。
一通り洗い身体から汗を流し終えたので俺は風呂場から出て脱衣場に向かう。
脱衣場で俺は洗濯が終わるまで待ちつつ訓練中に飲んでいた飲料水を空にする。
しっかしほんとに信じられないよな。まさか俺が風呂とか洗濯とか出来るなんてな。前は汗かいても我慢して着続けるしかなかったのに。
おっ、洗濯も終わったみたいだ
俺は洗濯し終わった服を取り出し着替える。
うん! すっかり汗の匂いもなくなってるな。
さて、楽しみな夕食の時間だ。
でもその前に部隊の部屋に戻ってルミアも連れて行こうかな。どんな書類書いてるのかも気になるし。
俺は階段をのぼって部隊の部屋へと向かおうとするが、階段をのぼっている途中に何か話し声が聞こえた。
そうだった、そういえばアルファ隊の3人が帰還してきたんだったな。多分その声だろう。
階段をのぼり廊下を歩こうとしたその時、異様な光景が目に入ってきた。
廊下のど真ん中でルミアとアルファ隊であろう3人の人達が向かい合って睨み合って何かを話していた。
俺はとっさに近くにあった柱に身を隠して聞き耳をたてる。
するとアルファ隊の一人が口を開いて......
「おいおい、噂で聞いたけどよ。また新しい生け贄確保したのか? 今度は何日持つんだろうな? 死神さんよぉ」
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