第1話 投獄 imprisonment
初めまして作者です
かなり駄文になっているような気がしますがあたたかい目でご覧ください
とりあえずはストックがある分毎日9:00頃に投稿させていただきます
大黄帝国 首都ラマールの大収容所の地下
「いってぇな! もっと丁寧に扱えよ。こちとら巷で噂の指名手配犯さまだぞ!」
デブの看守と細長いスリムな看守にむかって俺、宝田 輝は声をあらげる。
「うるさいぞ、この犯罪者が」
スリムな看守が俺の足に強烈な蹴りが入れられ思わずふらつく。
「いった...はいはい、分かりましたよ」
扉の鍵をデブの看守が開く。
扉の先には固い石でできた暗く長い廊下、そして両脇には牢屋が一つ一つずらりと並べられ暗闇の奥へと続いていた。
二人の看守に連れられ俺は再び歩き出す。
両脇から俺以外の罪人たちが物珍しそうに牢屋の中からこちらを見てはクスクスと笑い出す。
(こいつら、人を動物かなにかを見ているように笑いやがって......)
あるやつはこちらを指差し、あるやつはひそひそ隣のやつと話していたり、あるやつはそもそも興味がないように死んだように眠っている、いやもう本当に死んでいるのか?
(地獄っていうのはこんなところを言うのかもな)
ハハハッと心でかすかに笑う。
「お前の部屋はこの廊下の突き当たりだ。喜べよお前専用の個室だ。きっと気に入るぞ」
デブの看守が笑いながら話してきた。
ここの刑務所の看守は態度がこんな風に悪い。
(まぁ俺たちみたいな犯罪者を扱ってきてんだからこんなになるのも当然といえば当然なのか?)
そんなことを考えながら歩いていたらどうやら着いたみたいだ。
目の前にある扉を見る。
鉄か何かの頑丈な金属でできているようだ。
「お前のためにわざわざ窓もない立派な部屋を作ったんだ、せいぜいくつろいでくれよ」
デブの看守が再びいやな笑みをこぼして話す。
「ハハッ、オーダーメイドってやつか? 頼んでもねぇのにありがとな!」
少し嫌味混じりで話すが看守たちは特に気にしていないようだった。
「おらッさっさと入れ! 次の仕事が迫ってるんだ!」
スリムな看守に強く押されて中へと入る。
「じゃあなゆっくりここで暮らすんだぞ、一生な!」
そして扉が閉まりガチャッと鍵を掛けられる。、
おまけと言わんばかりに何個も何個も。
「一生」......さっきの看守の言葉が頭に響く。
俺の人生はここで終わるのか......密閉された部屋の中......ここが俺の人生の終着点か......
床に座り手を触れる。
冷たい、この世のものとは思えないほどに冷たく冷徹な感じ。
周りを見渡す。
固い金属の扉、簡易的なトイレ、その他にはなんにもない、見渡す限り金属の壁だけのすっからかんな牢屋だった。
「まだこの部屋の外にいる連中が羨ましいぜ、ほんとに気が変になりそうだ」
なんにもすることのない俺はただひたすら眠ることしかできなかった......ただひたすら......
◇ ◇ ◇ ◇
周りの騒がしさに思わず目を覚ました。
「なんだ?何があったんだ?」
あいにく壁に囲まれていて状況を把握できない。
音を聞くことに集中すると。
「ーっら、めしだめし、おら早く食べろ」
そうか食事の時間か。
何分後か、俺の牢屋の目の前に人が来た。
扉についているあちらからしか開けられない小窓を開け。
「ほら、指名手配犯さま食事の時間ですよ」
と昨日のデブの方の看守が飯を運んできた。
「ご丁寧にどうも」
上に飯が乗っているプレートを受けとる。
「食べたらプレート含め皿はその中に置いとけ、二ヶ月に一回掃除するときに持ってってやる。そもそも忘れてるかもしれんがな」
なにがおもしろいのか威勢よく看守は笑った。
こっちにとっては笑えない話だが。
肝心の飯はというと
主食、汁物のみで主菜、副菜はない。
「おいおい、これじゃ餓死待ったなしじゃねぇかよ」
「それでも捕まる前よりはマシじゃねぇか? ハハハ!」
看守は笑いながら扉の前から去っていった。
(確かにそうだろうけどよ)
口には出さず心で虚しく呟いた。
久しぶりに食べた飯は薄味で食べられたものではなかった。
(あぁ、うまい飯食べてぇなぁ)
それでも食べ終えた俺は再び冷たい床に体を預けて眠りについた。
◇ ◇ ◇ ◇
あまりに眠り過ぎて目が覚めてしまった。
今までとは違い身の危険も感じずにこうして睡眠をとることができる。何も気にすることなく。
しかしそういうことを思ってしまう自分を見てしまうと情けなくなる。
恐らく深夜になったのだろう扉の外から音がしなくなった。
いくら昼間にあんなに騒いでいだとしても、犯罪者も人である、睡眠欲には勝てないということか。
親父の言っていた通りだな......
何も見えないのにふと懐かしいものを見るように上を見上げる。
少し昔の話をしよう。
とある東と西の大国がほんの些細ないざこざから戦争を起こした。
3年という長い間両者は戦い続け、その他の国々は干渉せず見守っていた。
ところがその二つの大国が友好国以外への輸出入を止めさせ民間の空港も閉鎖し、事実上の鎖国状態となった。
両国は世界の主な産業を担っていたので世界中の経済は不安定となった。
結果、世界中の国々は二つの大国のどちらかにつくことを強要させられ戦火は世界中へと広まっていった。
それでもどちらにもつかず中立を決め込み連合を組んだ国々があった。
その一つがこの大黄帝国である。
しかし、いくら連合を組んでいても限界がある。
経済の主体を担う二つの大国から助けをもらえない連合国側は日に日に衰退を初め、田舎の方では失業者が出てくるようになり生活困窮者と呼ばれる人々も比例して増えていき、国間でも富の差別が大きくなった。
そしてその中に俺たちの家族がいた。
俺は大黄帝国の隣国であり連合国側でもあるヴィランという国で産まれた。
ヴィランは特に戦争によって貧しさが増した国のひとつだ。
母親は俺が物心のつく前に行方をくらまし、親父がそれからは男手ひとつで育ててくれた。
俺はそんな幼少期でありながら夜中はこれからの自分の人生とが心配になって寝れない時がよくあった。
そんな時に親父がよく言っていた。
「輝、今はとにかく寝ろ、どんな人間でも睡眠欲には勝てん。寝てからでもこれからのことは考えられるし、そんなことはお父さんに任せろ。お前は強い、だから大丈夫だ」
その言葉を聞くたびに俺は安らかに寝ることができた。
それでもいくら親父が頑張っていたとはいえ限界があり俺たちはホームレスのような生活を強いられることになった。
毎晩寝る場所を変え、住みかを転々とした俺たちは、もちろん食事なんかもろくに取れず苦しかった。でも自分たちと同じような人たちと出会うことができ、集団で生活するようにもなった。相変わらず貧しいままだったが。
スラム街ってやつか? それでもあのときは子供同士で集まって遊ぶこともできたり、ちょっと年上のお姉ちゃんとか色んな人とも触れあうことできて楽しかったなぁ。今となってはもう懐かしい思い出だけれど。
そんな生活を続けていたある日。
親父が病気で死んだ。
病気自体は大して大きいということもなくしっかり生活して栄養も取れれば簡単に治るものだった。
そう、"しっかり栄養も取れていれば"......
俺は小枝のように細く弱くなってしまった親父の手を握ってずっと泣いていた。
親父を埋葬してもらい俺はそのスラム街から離れた、遊んだ子達や良くしてもらっていた人たちからは一緒に生活するよう誘われたが迷惑を掛けることはできないという気持ちの方が強かった。
ヴィランからも離れて連合国内の色んな国で裕福な生活をしているやつらのところで金品だったり食糧だったり、いろんなものの盗みを働き生活をした。
生きるため、それが第一だったのはもちろんだが、なんで親父があんな病気で死んでお前らは幸せそうに生活しているんだという怒りもあったのだろう。
そして18歳となった今、ここ大黄帝国でこうして捕まった。
体にもガタが来ていたんだろうあっさりと捕まった。
いたるところに俺の貼り紙を出され軽く指名手配となった俺の最期はこんなに簡単だった。
この国では死刑は殺人以上の重い罪を犯したものにのみ適用される。
俺は人は殺さず盗みだけだったが盗みの数が数なので積み重なり結局終身刑となったということだ。
盗み以外にも詐欺まがいのこともしたし妥当といえば妥当だろう。
実際盗みをし続けていたことは後悔はしていない、しなかったらこっちが死んでいたからな。
まぁこれが俺がここに来た経緯だ。
......少し眠くなれたしもう一回寝るか。
そして犯罪者の俺は再三冷たい床へ転がった。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
良ければ評価、コメント、ブックマーク等よろしくお願いします!