あの世の場所
※「おじいちゃん、見つけたよ。」
「おぉ、美味しそうなキノコだ。家に帰ってお母さんに調理してもらおう。」
「おじいちゃん、これは何?」
「それはクヌギのどんぐりだねぇ。」※
8月11日、おじいちゃんが死んだ。お母さんとお父さんは忙しそうだ。
私は都会に住んでいたけど、お父さんのお父さんは田舎にんでいた。
私のお父さんとお母さんはどっちもお仕事をしてるから、よく田舎に行っていて、山林で一緒に遊ぶのが大好きだった。
おじいちゃんは私に色々な事をしてくれた。
一緒にお料理したり、一緒に山林で遊んだり、昔に死んでしまった私のおばあちゃんの話を聞いたり。
私は大のおじいちゃん子なんだ。
そんな大好きで大切なおじいちゃんが死んでしまって、とても悲しい
はずなのに、なんかあんまり悲しくない。おじいちゃんが死んだというのが、私は信じられない。
9月、夏休みが終わって秋になった。
そういえば昔、生き物は死んじゃったら、お星さまになるっておじいちゃんが言ってた。
おじいちゃんの星、見つけられるかな。
私は星の観察を始めた。おじいちゃんからもらった星座図鑑とともに。
秋はあまり星が見えないらしい。星を見つけるのは大変だった。
あれは...魚座かな?
おじいちゃん、魚より肉が好きって言ってたから違うだろうぁ。
あれは...みずがめ座っていうんだ。
みずがめって何だろう?
私はどの星がおじいちゃんなのか分からなかった。
11月、木の葉が赤や黄色に変わっている。
お父さんは、生き物は死んだら雲の向こうへ行くんだと言っ
ていた。
私は晴れた日に空を見た。
太陽がまぶしかった。
雲の上は一面真っ青で何もなかった。
あんなところにいるのかなぁ。
でも何にもない空ってすごくきれいだと思った。
12月、私はおじいちゃんの家に行った。
この家は売ってしまうらしい。だから、もうこれが最後なんだ。
私は山林に行った。
私にとって山林はすごい楽しいものだった。
空気がおいしいなあ。
おじいちゃんとの楽しい思い出がよみがえってきた。
そのとき、おじいちゃんが死んでから初めて悲しくなった。
でも、心は穏やかだった。
だっておじいちゃんはこの山林にいるもの。
生き物が死んだらどこにいくのか。はっきりと生きている人にはわからない。
でも、その人との思い出が刻まれた場所にその人はいるかもしれない。