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サイボーグ・シンディー  作者: ドンキー
21/55

レオン

「そら行けレオン」

 シンディーは、広場で遺跡から持ち帰った子犬のレオンを横目に円盤を放り投げた。レオンは、すぐさまダッシュで走り出し、円盤に飛びつき、それを見たシンディーは、レオンに駆け寄って全身を撫でてやった。

「いいぞレオン」

 レオンは溌剌とした目でシンディーにさらに遊んでくれとすり寄っている。そんなレオンをあやしながらシンディーは、ふと物思いにふける様にジャスティンのことを考えていた。それは先日、ジャスティンがいないときの事である。アルフがこっそりシンディーに打ち明けた。

「シンディー、ちょっと話があるんだ」

 アルフは、周囲を窺いながらも言った。

「ジャスティンの事だがね、彼はどうやら定期的にシンディーの元を離れてどこかへ行っている様なんだ」

「ジャスティンが?」

 思わず聞き返すシンディーにアルフは、うなずき続けた。

「君のボディーのメンテをしていたときに、ジャスティンに関する記録を密かに調べてみたんだ。そうすると週に一度程の割合でいなくなっている事が分かった」

「そいつは意外だな」

 シンディーは、アルフに聞き耳を立てている。

「あぁ、もちろんそれには、何かちゃんとした理由があるのかもしれない。ただ……」

 アルフは、声を潜めて言った。

「ジャスティンの事は少し気をつけたほうがいいかもしれない」

 そんなアルフとの会話を思い出しながら、シンディーはレオンを前に考え込んでいる。

 考えてみれば、これまでのジャスティンは以前の経歴に反しシンディーに従順過ぎた。総じてシンディーに対し忠実で遺跡でのバトルにおいては、大いに手助けしてくれ辛くもシンディーは勝つことが出来た。それだけにシンディーもさほどジャスティンの奇行に注意を傾けることもなくなっていたのだが、曲がりなりにも先の大戦で戦場を大混乱に陥れ厳重に封印された程の存在である。シンディー達に従順なふりを装ってその実、裏で何かをしているとも限らない。

 いっそジャスティンに直接問い詰めてみようかとも考えたが、途中で思い直し今はやめることにした。

『どうしたんだいシンディー、考え事なんかして』

 不意にジャスティンが尋ねてきた。シンディーは、事無げに答えた。

「いや、なんでもないさ」


 その頃、K70星雲の情勢はさらに困惑の度合いを深めつつあった。軍部から革命派を率いドーラセブンを中心とした一部の特権階級が支配する構造に一石を投じるべく、次世代資源を押さえにかかったデイモンとそうはさせじと動き出したドーラセブンの影の実力者であるゴードン率いる私兵艦隊との間に遂に一部で衝突が起こったのだ。だが双方の自制もあって全面衝突には至っていない。

 このデイモンとゴードンの争いの鍵を握っているのは、カミラ博士を手中に収めるシンディーである。このシンディーの行方を追うべくデイモンは可能な限りで調べを進めたが、相変わらずシンディーは尻尾を出さない。

「まぁいい。それはそれで手はある」

 目的のために手段を選ばないデイモンは、密かに部下にある事を命じた。

 そして、その頃、ゴードンも電話口でチャド一族を怒鳴り散らしていた。

「まだカミラ博士は見つからないのか! 何をしておる」

「へぃ、面目ないっす」

「何がなんでもデイモンより先に見つけるのだ。分かったな!」

「わ、分かりやした」

 切れた通話にうなだれるチャドに弟分のシャドとキャドが駆け寄ってきた。

「チャドの兄貴、面白いものを見つけたっす」

 シャドとキャドの差し出すリストを見たチャドは、聞いた。

「なんだ。これは?」

「キーラ星で闇市を通じて流れた機材っす。おそらくこれはカミラ博士の研究材料っすよ」

「このルートを追えば、シンディーに行き着けるっす」

 そう答えるシャドとキャドにチャドは目を光らせた。

「よし、いいぞ弟達。すぐさま調べるのだ」

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