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サイボーグ・シンディー  作者: ドンキー
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アジト

「悪いな大佐。カミラ博士とテラジウムのサンプルは頂いていくぜ。この資源の利権はうちのもんだ。分かったか? じゃぁな、大佐!」

 解体した時限爆弾を前に大胆にもベロベロバーをして見せるシンディーが残した映像を見たデイモンの怒りは、凄まじいものだった。携帯端末を床に叩きつけ、怒り罵った。

「おのれ、あの小娘。どこへ逃げ延びた!」

 本来ならば、ここで勢力の一部を割り裂いてシンディー達の捜索隊に当てるべきなのであるが、目の前にゴードンが送って来たドーラセブンの私兵艦隊の牽制で動けない。その怒りは治るところを知らなかった。

「覚えておれ、あの小娘め。一捻りにしてくれるわ」

 怒り心頭なのはゴードンも同様である。まんまとカミラ博士をシンディー達に奪われたチャド一族に対し、ゴードンは無線でその無能ぶりを罵った。

「この愚か者めが、直ちに奴らの居場所を突き止め、カミラ博士を取り戻すのだ!」

「へい、旦那。かしこまってございます」

 ヘコヘコと首を垂れるチャド一族は、無線機を握りしめシンディー達を罵った。

「おのれシンディーめ」

「ワシらの仕事の邪魔ばかりしおって」

「目にもの見せてくれようぞ」

 今や銀河の注目は、カミラを奪ったシンディー達にある。彼らは必死にその行方を追ったがその痕跡すら見つけることは出来なかった。

 その後、ゴードンは、社内に強引に秘密会議を召集した。ゴードンは、勝手に動かしたドーラセブンの私兵艦隊について、さらなる権限を追加すべく各役員に圧力をかけたのだ。その様子を設計局長のアントニーは、相変わらず神経質そうな顔で眺めている。

 ーーこのままでは、我が社はあのゴードンに乗っ取られてしまう。

 そう危惧するもののゴードンを止めれるものは、もはやこの社内にはほとんど残っていない。皆、ゴードンによって追い払われてしまったのだ。そうなった以上、あとこのゴードンを止めれるのは一人しかいないのだが、その肝心の一人は、この重要な会議に出席もせず社長室で眠りこけている。アントニーは、会社の前途に絶望せざるを得なかった。

 そんな様々な勢力が蠢く中、渦中のカミラは、身を潜めたキース星にあるシンディーのアジトで日夜研究に没頭していた。寸暇を惜しみ身を粉にして研究にのめり込むカミラの鬼気迫る迫力は、凄まじいものがあった。

「おい、博士。ちょっとは休まないと体がもたないぜ」

 軽食を差し出すシンディーにカミラは「ありがとう」と礼だけ述べるとサンドイッチを頬張りながら、再びノート端末に何かを打ち込み続けている。それを邪魔すまいとシンディーは、そっと立ち去りアルフに小声で言った。

「この分だと、当分、ここに缶詰だな」

 その間も事態は、逼迫の度合いを見せている。デイモンの革命勢力とゴードンの私兵艦隊が一部において交戦状態に入ったのだ。そののっぴきならない状況をシンディーは固唾を飲んで見守っていたが、そんなある日、カミラの研究に異変が起きた。

「これは……?」

 カミラは、研究対象のテラジウムからこれまでにない奇妙な反応を見出した。意を決しレーザーを照射してみるとその反応は拡大を始め、たちまち試験管を飛び出してカミラの身に降りかかった。思わず悲鳴を上げるカミラにシンディーが、駆けつけてきた。

「どうしたんだ、博士!?」

 見るとカミラは、テラジウムから溢れ出した光に包まれている。その光はたちまちシンディーをも包み込んだ。

「な、何だこれは!?」

 シンディーは、戸惑う間も無く自らを覆う光の渦に飲まれて行った。そして、次の瞬間にはその部屋からカミラと共に姿を消してしまった。

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