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ドリイと楽園  作者: よた
付録
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地底の食物


 地底には日光はもちろんのこと、栄養の行き渡った土地もない。では、どうやって食物を育てているのか?……答えは簡単だ。食物など育ててはいないのだ。すべては生物地球化学的循環プロセスの模倣(以下、本プロセスという)によって成り立っている。具体的には、物体Aという個体が物体Bを摂取した場合に、生成される物体Cを、本プロセスによって、物体Bに生成し直せば、半永久的に物体Aという個体に物体Bを提供することが可能となる。尚、ここで半永久的としたのは、本プロセスに決定的な欠陥が含まれているためだ。その欠陥とは、物体Aの質量に起因する。物体A、物体B、物体Cの質量が一定、かつ、超長期的な各物体の状態維持が可能である場合に、本プロセスは完全なものとなるわけだが、現実には、時間という制約に加え、物体Aの質量は、物体Aによる物体Bの摂取量によって変化が生じる。そのため、一定期間における物体Bと物体Cの総貯蓄量は、相関関係が認められるとは限らないのだ。これは重大な問題だ。そこで、我々はこの問題を解決するための方策を検討し、実施した。実現のために必要な煩わしい技術的説明は省くが、要するに、物体Aの個体数を一定期間において均一になるように調整すれば良いのである。具体策は次の三つだ。


〈生命の木〉……これは物体Aの生成を行う装置である。物体Aの生成のすべてを生命の木によって行えば、理論上はこれだけでも調整は可能である。


〈物体Aの冷凍保存、または廃棄〉……物体Aそのものの研究は、いまだ不明確なところがあり、どうしても個体差がでてしまう。結果、物体Aの個体によっては物体Bを大量に摂取する必要がある個体も存在しており、不均衡が生じてしまう場合がある。そこで、物体Aを冷凍保存、または廃棄することによってこれを解消する。


〈外的要因の排除〉……上記二つの方策が実施され、上手く機能した場合でも、不均衡が生じる可能性は、完全には排除できない。それは、外的要因による影響である。外的要因は主に二つに分類することができる。一つ目は、自然災害、二つ目は、物体Aとは別の生物(以下、別生物という)の流入である。一つ目のリスクについてはコストとの兼ね合いもあるため、最低限の対策をしたうえで、残りのリスクは、コンティンジェンシープランを策定し受容するしかない。一方、別生物が物体Bを摂取するリスクについては、地底の完璧な防衛システムによって防止する。別生物が地底に侵入するのを防止すれば、物体Bを摂取することもないのだ。万が一、別生物が地底に侵入した場合でも、物体Aに埋め込まれたマイクロチップによってその識別が可能であり、直ちに排除を行うことで、別生物による物体Bの摂取を防止することができる。


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