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ドリイと楽園  作者: よた
付録
43/46

施設と地底社会


 施設に入れられた子供たちは、この世に生を受けた時点で、罪人のように扱われることが決まっている。彼らが地底の人々の生命をおびやかす存在であるからだ。地底の面積は常に一定であり、人口の増減によって伸び縮みするものではない。もし制限を設けずにいれば、人口は増え続けてしまい、まさにカオスといえる絶望的な未来が待ち受けている。だから、〈調整〉が必要なのである。


 この地底社会には、まさに完璧な社会システムが導入されている。それは、人の行動や思考を〈正しく〉評価し、その人の信用を計数として記録するのだ。信用計数と呼ばれるこの数字は、地底社会のさまざまな場面で利便性を発揮することが〈証明〉されたため、いまや通貨としての役割も果たしている。もし、信用計数がなくなってしまった場合でも、復活の芽を摘まないような保障制度が存在している。施設に収容され、信用計数が一日でも早く溜まるよう労働に勤しむことができるのだ。この機会は地底の人々に対して平等に与えられ、皆、必ずその義務を果たしている。尚、施設内で問題行動をし、信用計数がゼロになった場合には、特別な処置がなされる。信用計数を本人の意思とは関係なく上昇させるのである。その方法とは、地底の発展に寄与するための被検体になるというものだ。ちなみに、信用計数の把握は、観察対象者の右手の甲に埋め込まれた、マイクロチップを用いられる。また、〈社会的秩序〉を保つ観点から、観察対象者に信用計数は開示されない。尚、これらの処置にも関わらず更生が見られない場合は廃棄となる。


 生命の木から生まれ落ちたばかりの子供たちは、当たり前だが、信用計数がゼロの状態となっている。特に、自分は生命の木から生まれたのではないと考えている者もおり、そういった妄想癖のある子供の信用計数はマイナスにまで下がってしまうため、施設での〈教育〉が必須なのである。


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