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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: しのぶ

 私の家の近くには緑道があって、そこでたまに猫を見かけることがある。


 それは薄い茶色の、鼻先と胸元とお腹が白い猫で、その猫を見かけることがあると、疲れているときでもそのかわいさで少し元気が出るのだった。癒しというやつだ。



 ある日、私が緑道を歩いていると、その猫が植え込みのそばでうずくまっているのが後ろから見えた。

 私は最近スマホを買い換えたせいか、今日はこの猫の写真をとってみようかなと思いつき、カメラを起動させて、後ろからそっと近づき、通りすぎざまに振り返って、猫を見た。


 私はドキリとした。


 猫は鼠を食べていた。恐らくもう死んでいるであろう大きな鼠を前足で押さえつけ食いついている。鼠は腹が破れて内臓が露出していて、緑道の石畳の上に血が広がり、猫の白い鼻先にも血がこびりついている。

 猫のほうも私を見てビクッとしたようで、身構えながらこちらのほうを上目遣いにじっと見ていた。

 そして私が少し動いたところで、鼠の死骸をくわえて、すごい速さで逃げて行った。


 跡には、石畳の上の血の染みだけが残っている……



 私は、何か見てはいけないものを見てしまったような気がして、足早にその場を立ち去った。胸の内にはまだ衝撃が残っていて、なかなかそこから去ってくれなかった。



 ……いや、本当は分かっている。猫は肉食性の動物なのだから、他の動物を補食するのは当たり前のことだし、私が猫のことをかわいいと思っていて、そのイメージと違う実態を見てショックを受けたとしても、それは私が勝手に持ったイメージで勝手に裏切られただけで、猫は何も悪くないのだ。そう分かってはいるのだけど。

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