林檎
「林檎がひとーつ」
とある家の一室。1人の少女は、目の前に並べられているものを数えていた。
「林檎がふたーつ」
ひとつひとつ数えているそれらは、それぞれ大きさが違っている。
「林檎がみーっつ」
それらは全部、少女が手に入れたものだ。
「林檎がよーっつ」
それらは全て、人が持っていた。
「林檎がいつーつ」
赤子から老人まで、いろんな人が持っていた。
「林檎がむーっつ」
それらをとられた人は全員死んでいった。
「林檎がななーつ」
死んだ人は全員、穴が空いていた。
「林檎がやーっつ」
その穴には、何も無かった。
「林檎がここのーつ」
そう、何も。
「・・・・・うーん、9こか〜。少ないな〜」
少女はそれらの中からひとつ手に取り、1口かじる。
「美味し〜」
1口かじれば、赤い液体が溢れてくる。口についたその液体を舌で舐める。
「・・・・・これだけじゃ足りないな〜。取りに行こ」
少女は食べていたそれを机の上に置き、家を出た。
「・・・・・ここか」
2人の警官が、ある家に訪れた。
「入るぞ」
1人がそういい、2人は家の中に入る。家の中は、血の匂いで充満していた。2人は匂いが1番濃く感じる部屋の前に立つ。
「行くぞ」
2人は部屋のドアを開ける。その先にあったのは
「!?これは!!」
机の上に転がっている、人の心臓だった。数は9つ。そのうちひとつは人にかじられた跡があった。
「いったい、誰が・・・・・」
1人がそういったのと同時だった。
「ねえ」
声がした。少し幼い、少女の声。そしてその声は次にこう言った。
お兄さん達の林檎、ちょうだい。