その4 「奈落の底探索」
「さて、前に進むか、後ろに行くか。」
「『Q&A』で決めたらどうですか?」
「いや、『Q&A』にそんな機能ないだろ。」
シアの提案に否定しつつ、スマホの電源をいれる。
なんか『マップ』が追加されてんだけど。
とりあえず、『マップ』をタップすると、現在地を中心にした、俯瞰視点の地図が表示される。
「わー。スマホって本当に便利。」
「凄いですね。あ、3Dマップにも出来ますよ。」
地図をスクロールさせて、脱出出来そうな場所を探す。3Dマップも駆使しつつ探していると、直ぐに見つかった。
「ここから脱出出来そうだな。」
「確かに、これぐらい足場があれば上に行けますね。」
以外と時間がかかりそうだ。
マップに従い前に進む。
「あ、シア。」
「なんですか?」
「武器になってくれ。」
「いいですよ。『武器変化』!」
決めゼリフとともに、シアの身体が光り、小さな光の球になる。そして、そのまま俺の右手にきて、剣の形になる。『パァァン!』という効果音とともに、光が弾け飛び、右手には空色に淡く輝く、銀色の長剣が握られていた。
「ふむ。」
軽く素振りをしてみる。驚くほどしっくりきて、重さもちょうどいい。まるで、以前から使いこなしていたような感覚になる。
「凄いな、前から使ってたみたいだ。」
『ふふん。そうでしょう。そうでしょう。私とマスターの相性は抜群! ということです。』
「どうせ、他の皆も使ったらこんな感じなんだろ。」
『うぐっ。それはそうですけど、少しぐらいのってくださいよ。』
シアに文句を言われたが、スルーする。とにかく、ここから抜け出すのが先だ。ソウイチ達が、心配してるだろうからな。
『グルルルル。』
「なんだ? お腹すいたのか?」
『私じゃないですよ!』
シアのお腹の音だと思ったが、前の暗がりから人間の身体に牛の頭をして、大斧を持った魔物が出てきた。
「ミノタウロスか?」
『ゲームなら、水属性でしたっけ?』
「あぁ。」
さてさて、俺とシアの力がどれ程か、試してみるとしますか。騎士さん達から学んだ構えを取り、どうするか考える。遠距離で倒そう。
「【飛燕斬】!」
『いっきまーす!』
技名とともに、剣を横薙ぎに振るう。すると、空色に輝く斬撃が放たれる。
斬撃はそのままミノタウロスへ飛んでいき、なんの抵抗もなく両断し、暗がりの向こうへ飛んでいった。
なんか魔物の叫び声や、何かが崩れる音がしたが、気にしない事にする。
『凄い威力ですね!』
「まぁ、ゲームでも最難関ダンジョンを、苦労無しで攻略出来るレベルにしたからな。」
『確かにそうですね。』
にしても、さっき思ったが、召喚出来たのがシアでよかった。
「ここで、アリアとか来たら詰むからな。」
『あー。アリアちゃんは、ここじゃ力出せませんね。』
アリアは強いんだが、限定的だからな。こんな狭い場所だと、後四人はいないと安定して戦えない。それに、四人の中に一人は盾がいないとキツイし。
「さて、このミノタウロスを、ポイントに変えるか。」
『どのくらいになりますかね?』
「さぁ?」
正直、レアなのか、そうじゃないのか分からない。まぁ、いきなり高ポイントにはならないだろ。
スマホを操作して、まずはミノタウロスを、丸々アイテムボックスにしまう。次にミノタウロスを丸々ポイントに変換!
《選択した素材をポイントに変換します。よろしいですか? YES NO》
YESっと。
《500SPに変換しました。 残SP:600》
『「…………。」』
ミノタウロスすごっ! もう六人召喚出来るぞ!?
『さっそく召喚しましょう!』
「いや、貯める。」
『えー! なんでですか?』
「八姫を指名召喚したい!」
『…………。』
なんか、シアが少し怒ってる?
「まぁ、ここから脱出したら、二回目のランダム召喚するからさ。」
『ふーん。八姫ちゃんがでたらいいですねー。』
「なんだ? ヤキモチか?」
『ち、違います! ていうか、なんで分かるんですか!』
「結局自分で肯定するのか。」
『だってマスター八姫ちゃんばっかり!』
「推しキャラなんだから仕方ないだろ。別に他の皆が嫌いってわけじゃないし。」
これは本音だ、八姫大好き! 他の皆は好き! こんな感じかな? 後、どちらかというとlikeだし。
『いいですー。いつかメロメロにしてあげますから!』
「メロメロって………」
何処で知ったんだよ、そんな言葉。地球の知識からか。シア含む他の皆に若干不安を覚えながら、脱出のために前に進む事にした。
作「三人目の武器乙女、アリア登場(名前だけ)」
シ「何の武器か分かる人いるかな?」
作「ヒントは、攻撃力はトップクラス。狭い場所では弱め。範囲技を持っていない。遠距離武器。」
シ「分かる人は分かるな。」