その38 「ライメーヌ到着」
「あぁーーー。」
「シグレくん。どうしたの?」
暇すぎて声を出したら、ヒナがそう聞いてきたので、暇だからと答えた。
「魔物も出てこないし、盗賊も出てこない。のどかなのはいいけど、暇すぎて死にそう。」
「ふっふっふ。なら、私がマスターを大爆笑させて、腹筋崩壊させてあげますよ!」
「あーはいはい。面白い、面白い。」
「なんですかその適当なかえしは!」
暇を潰すためにシアをからかってみるが…………
「シアをからかうのもあきたな。」
「シグレくん。それは、流石にひどいと………」
「主殿、シア殿が可哀想です。」
「安心しろ、さっきのもからかいの一つだから。」
「いい加減にしてください! もーー!」
プンスカ怒るシアに笑いつつ、窓から外を眺める。にしても、変わりないなぁ。
それにしても、気になることが一つ。なんで今まで気づかなかったのか………
「今さらだけど、アシュレはいつの間に御者が出来るようになったんだ?」
「べ、別にシグレの役にたつからとかじゃなくて、たまたまよ。たまたま何かの役にたつかな~と思って、教えてもらっただけよ!」
「ふーん。そうなんだ。」
「そ、そうよ!」
まぁ、実際役にたってるからいいとして、ほんと何時になったら都市が見えてくるのか、いい加減ひとっ走り先に行こうかな?
「見えてきたわよ。」
「お、どれどれ。」
「どこですか!」
シアと一緒に御者台のところから外を見ると、確かに城壁のようなモノが見える。
どうやら、俺達が目指している都市。
ライメーヌ商国中央都市、“アルハラ”だ。
見えたはいいが、人や、馬車がかなり並んでいる。これは、入るのに時間がかかりそうだな。そんな事を思っていたら………
『テレレ、テレレ、テレレ、テレレ! テッ、テッ、テ!』
「お?」
「魔物ですか!?」
ヒナがかけよって来た。
ヒナが言ったように、今上着の内ポケットに入っているスマホから鳴った音は、敵が一定範囲内に入ったら鳴るようになっている。そして、魔物はだいたい敵。
そんなこんなで、実はプルゥトラとの戦いの後、スマホの性能がかなり上がった。撮影機能とか、録画機能とか、録音機能とか、そのたもろもろ増えた。あ、後、俺以外でもシア達を装備出来るようになった、まぁ、扱えるわけじゃないけど。
っと、そんな事より魔物だ。
馬車から出ると、俺達が通ってきた道から凄い速度で馬車と、牛? が、やって来た。
「あの牛なんだ?」
「なんでしょうね?」
「さぁ? でも、美味しそうね。」
「うむ。という訳で、夜弥頼む!」
「はい!」
忍者刀になった夜弥を装備して、突撃ー!
っていうか、何匹いるんだよコレ!
とりあえず、出会ったそばから首を切り裂いて、次々に絶命させていく。そして、俺の『俊敏性:EX』と、夜弥を装備したことによる速度上昇により、一秒もかからず全滅させられた、おそらく現実でこんな速度出せても、思考がついていかない。それもこれも、【思考拡張】または、【超感覚】のおかげですね。
ありがたや、ありがたや。
『敵対反応無し、魔物特有の魔力反応無し、マスターの不利益になる魔法の発動予兆無し、安全確認完了。』
スマホって本当に便利だな。
「一瞬で片付けたわね。」
「牛肉祭りですね!」
「……………。」
『牛肉祭り? いえーい( ☆∀☆)』
「食べきれるかな?」
「今は、とりあえずおいとこう。」
そうおいとこう。何故なら、先ほど牛から逃げていた馬車が此方にやって来たからだ。そして、馬車の扉が開き、中から二人の人物が出てきた。
「いやー、助かったよ危うく死ぬところだった!」
「まったく。ですから止めておきましょうと」
中から出てきたのは、ピンっと立った、金色の毛の耳と、ゆらゆら揺れるもふもふの尻尾。おそらくだが、狐の獣人であろう少女と、黒スーツを来た猫耳執事さんの二人。少女のほうは、笑った時の八重歯が特徴てきだ。
「私は、シャロン・イナリ。見ての通り狐の獣人だよ。これでも、商人なんだッ!」
「私はお目付け役のクロです。」
「俺はシグレ。んで━━」
~省略~
「ふむふむ。それにしても、かなり腕がたつようだね。」
「まぁな。」
「まぁ、とにもかくにもお礼をさせてよ! これでもライメーヌでは、家凄く有名なんだよっ!」
「ふーん。ま、断る理由はないな。」
という訳で、シャロンの家にお邪魔することになった。




