その31 「タビダチ」
「本当に行くのか?」
「しつこいわ! 今日一日でその言葉は聞き飽きたぞ。」
現在俺は、王都の外側にいる。理由は、旅に出るためだ。既に、二組の皆なには旅に出る事を伝えたし、また戻ってくる事を言った、回復した王様にも引き留められなかったし、何の問題はないのだが、ソウイチはさっきの言葉を何度も言ってくる。そういえば、ヒナが一番何か言いそうなハズなのだが、あっさり引き下がったな。
「こうして、移動手段もあるし、こう見えてかなり強いし、大丈夫だよ。それに、俺はいつなんどきでも“命大事に”だからな!」
「そうか。」
ちなみに移動手段だが、馬車だ。見た目は、屋根がついてるタイプの馬車だが、中は見た目より広い。他にもアイテムボックスに入っているのだが、これが一番無難だった。アイテムボックスに入っていると言ったが、実は俺がやっていたゲームで、自軍のユニットとして、馬車がある。最初知った時は、馬車を何に使うんだよ、と思ったが、食料なんかを乗せられる事を知り、便利だと思った。
ゲームでは、食料はかなり重要だ。移動や戦闘等にスタミナを使うのだが、これは食料で回復出来る。しかし、持てるアイテムには限度がある。それを解決するのが馬車ということだ。長期戦や、フィールドが広い時に重宝していたが、キャラが強くなれば成る程、戦闘が短期戦で終わるので、いつしか使わなくなった。それを今回使うわけだ。
「んじゃ、もう行くぞ。」
「おう。」
「なんかあったら、連絡しろよな。」
「分かった。」
挨拶を済ませ、馬車を進める。目指すは、隣国の、ライメーヌ商国。商業が発展し、大陸中の様々なアイテムが集まる国だ。米とかあるかな? と思い、行く事にした。
さてさて、馬車に乗ったはいいが。気になる事がある。御者をやってるアシュレはいいとして、シア、ローズ、夜弥が三人並んで、大きな木箱の前に座っているのだ。あんなもの積んだ覚えはない。
「なぁ。」
「ナ、ナンデスカマスター?」
なんか、カクカクしながらシアがこちらを見る。怪しい。怪しすぎる。
「その箱なんだ?」
「こ、これは、乙女の秘密です。」
俺の問いかけに、乙女の秘密と答える夜弥。こいつら、誤魔化せると思ってるのか?
「ふーん。乙女の秘密ねぇ…………」
「……………。」
冷や汗をだらだら流して、固まっているローズを置いておいて、木箱をじっと見つめる。なんの変鉄もない木箱だ。しかし、逆にそれが怪しい。なんで、ただの木箱をそこまでして守るんだ? 俺は、懐からスマホを取りだし、マップを開く。そして、この馬車の中の人を検索。
「なぁ、三人共。」
「「な、なんですか?」」「…………?」
「この馬車、六人乗ってるんだが?」
「「「!?」」」
驚いた顔をする三人。馬車にいるのが六人なのはおかしい。俺、シア、アシュレ、ローズ、夜弥。合わせて、五人のハズだ。そして、六人目は、木箱の中にいる。
「そろそろ、木箱の中のモノを白状してもらおうか? まぁ、だいたい予想はつくけどな。出てこいよ、ヒナ。」
木箱に呼びかけると、蓋が開いて、ばつの悪そうな顔をしたヒナが出てきた。これで、あっさり引き下がった訳が分かった。
「ごめんなさい。普通にお願いしても、シグレくん乗せてくれないと思って。」
「帰そうとしても駄目ですよマスター!」
「そうです主殿! もう王都は遥か彼方です!」
「……………。」
『ヒナなんと一緒に旅するのだー☆』
どうやら、何言っても無駄みたいだ。まぁ、一人同行者が増えても、たいして変わらない。このまま行くとしよう。
俺がオーケーを出すと、四人共嬉しそうに飛び上がった。それを横目に御者台のほうに行く。
「アシュレも知ってたのか?」
「まぁね。戦いは、フェアじゃないと。」
「戦い? 何の話だ?」
「なんでもない。こっちの話。」
なんだろう、気になる。少し釈然としないが、仲間の増えた俺達を乗せた馬車は、少し揺れながらも目的地を目指して、進んで行く。




