その30 「朝そして、デジャヴュ」
プルゥトラを倒してからだいたい3ヶ月がたった。城も大分直ってきた、地球のような建築技術がないからもっとかかると思ってたが、この世界には魔法があった。魔法大工さんすげーっす。
そうそう。プルゥトラを倒した後に、城の周辺と王都を調べさせたが、俺達が倒した邪人になった生徒以外及び、二組以外の生徒はいなかった。後の連中は邪人になってしまったのか、そうでないのか分からないが、それはまた会った時でいいだろう。
さて、そろそろ現実を見よう。現在俺は、城の中庭に作られた仮設住宅のベッドの上で起きた、それはいい。起きた時に、右腕に柔らかい感触と、いい匂いがするというデジャヴュがあって、恐る恐る右側を見たら………………
すやすやと眠る可愛らしい顔。白く輝く髪はさらさらと柔らかそうだ、いや、そうじゃない。なんでここにヒナがいるんだよ! 俺が部屋間違えたわけじゃないよな? な? じゃあ、ヒナが間違えたのか? いやいや、ヒナにかぎってそんな事は…………………あれ? じゃあ、なんでここにいるんだ? とにもかくにも、早く起きない
「んぅ? あれ?」
「あ…………」
遅かったか、寝ぼけ眼でこちらを見ていたヒナが、だんだん覚醒するにつれて顔が赤くなっていき…………
「ひぅっ!?」
「あー、おはよう。」
顔を真っ赤にしたヒナが上半身を起こす。とりあえず、朝の挨拶をしたが…………
「し、シグレくんのえっちー!」
「べぶっ!?」
俺は何もしていないのに、平手打ちをくらいました。
綺麗ナ紅葉ガ咲イタヨ。
なんでだろう。以前もこんな事あった気がする。
◇
「あててて、少しくらい手加減してくれよ………」
顔を赤くしたヒナは、走って出ていった。追って行くのもなんかな~? と思い、着替えて外に出る。さて、今日は何をするかな?
「マスター! おはようございます!」
「おはよう、シグレ。」
「シア、ソウイチおはよう。何してんだ?」
外に出ると、シアとソウイチが剣を持って立っていた。
「ちょっと、シアちゃんに稽古つけてもらってた。」
「どうですかマスター。私は勇者に指導出来るんですよ? 凄いでしょう!」
「ああ、シアは剣の腕『だけ』は、上手いからな。」
「『だけ』って、なんですか! 『だけ』って!」
「じゃあ、他に得意な事とかあるのか?」
「うっ。そ、それは━━━」
俺の言葉が図星だったのか、視線を逸らすシア。その姿にため息をつくが、まぁ、戦闘には頼りになるからな。
「そういや、その頬っぺたどうしたんだ?」
「綺麗に紅葉になってますね。」
「あぁ~、まぁ、ちょっとな。」
話しにくい、俺は何も悪くないハズだが、他人が聞けば俺が悪いという事になるだろう。それは、めんどくさい。
稽古を再開した二人をおいといて、朝食を食べるために城の食堂に向かう。城はまだ未完成だが、幾つかの場所は元通りになった。食堂もその一つだ。さて、食堂に入る前に、試練があるみたいです。
食堂の入り口前に仁王立ちするリンと、アシュレ。この二人は何故か仲良くなっていた、ほんとなんでだろ?
「来たわね上本。」
「シグレ、覚悟はできてる?」
「覚悟を決めるような事をした覚えはないんだが?」
少し恐々しながら、聞き返す。なんですか? 俺が何かしたんですか?
「ヒナの事なんだけど?」
「ッ!?」
何故だ! 何故知ってる!? 俺は誰にも話しては……………あ。そう言えば、ヒナも話せるんだ。終わった、俺の人生終わった。
「ヒナが顔を赤くしながら、シグレがどうのこうのブツブツ呟いてたのよ、何かしたんでしょヒナに。」
「シグレ? 早く白状しなさい。」
ふぅ。どうやら、バレてはいないみたいだが、ヤバい事には変わりない。むしろ、二人のプレッシャーでぽろっと話してしまいそうだ。それは、俺とヒナのためにも耐えなければ。
「ふ、二人共ストップ! 私は大丈夫だから!」
こうなったら逃げようかと思ったところに、ヒナがやって来た。此方を見て顔を赤くしたが、俺を視線の外にだすことで耐えたようだ。
「でも、シグレがどうのこうの言ってたじゃない。」
「そ、それは……………そう! 夢! 夢を見て!」
「夢?」
「う、うん。夢。」
「「………………?」」
リンとアシュレの二人は、最後まで疑わしげな目で此方を見ていたが、最終的には納得してくれた。そして、ヒナには後で謝られた。




