その22 「絶望と希望」
前回の続きで、牢屋からです。
始まりは突然だった。
時は、数ヶ月前に遡る。
ロードルの国王が突然、自国の秘術である、勇者召喚を行うと言い出したのだ。大臣や、宰相は初めは疑問に思い、王に止めるように言っていたが、ある日をさかいに王に同意しはじめた。
前の日までは反対していたのに、突然同意をし初めた事に、大きな疑問を持ったのが王妃だった。そして、独自に調べていた王妃はあるものを見てしまった。
ベッドの上で衰弱した王を、笑いながら見つめる王を…………
王妃は直ぐに捕まってしった。自身の死を悟った王妃だったが、王の姿をした何者かが笑いながらこう言った。
━━━己の国が壊れていくのを、指を加えて待っているがいい。━━━
そして、王妃は城の地か深くの牢屋に閉じ込められた。
それから、数ヶ月後。遂に異世界から、勇者が召喚された。何も知らない勇者達が…………
◇
「……………そして、今の今まで、この牢屋の中にいたのです。」
「そんな事が…………」
王妃の話を聞いた四人は絶句した。自分達は、利用するために、この国の王のふりをしたモノが召喚したのだと知ったからだ。
「いつから夫がすり変わっていたのか分かりませんが、事態は一刻をあらそいます! どうか、この国を………」
「とりあえず、安全を確保しつつ」
「王族の人達を救出するのが」
「「いいんじゃないかな?」」
「だね! それじゃ、ぱぱっと鍵を開けちゃおう!」
双子の考えに賛成したユオが、牢屋の扉を開けて王妃を救出する。
牢屋から抜け出した五人は、周囲の警戒と、サムの占いによる、ある程度の未来予知を利用して先に進んで行く。しかし、ここで致命的な事に気がついた。
「「「「王子様達、何処にいるんだろ?」」」」
「すみません。わたくしにも分かりません。」
とにもかくにも、敵に遭遇しないように、城の中を見て回る五人。そして、遂に見つけた。というより、城の裏庭にある塔のような場所に、召喚された際にいた王女のリリネルが、連れていかれるのを見たのだが。
「さて、塔のそばに来たけど、塔の前にいるのって、四組の連中だよね。」
「はい。しかし、皆さん目が濁った赤紫色になってますね。」
「「なんだか、ヤバそうだね~。」」
「あれは、邪人です。しかし、皆さんの言い方からすると、あの方達も勇者のハズ………」
王妃が青ざめた顔をして、呟いた。“邪人”が気になった四人は、王妃に邪人について聞いてみた。曰く、それは邪神や、その眷属によって、堕とられた者の事を言う。曰く、それは死んだも同じであると。
四人は王妃の話に絶句した。いくら、関わりがなかったとはいえ、同じ地球に暮らしていた者達だ。
「なんとか、助けられないんですか?」
「ありません。あるとすれば…………出来るだけ早く、逝かせてあげる事でしょう。」
サムの問いに、王妃が悲しそうに返した。
この世界では、いつ知り合いが邪に堕ちるか分からない。まして、自分が堕ちるかもしれない。多くの人が、心の奥底でその恐怖と日々戦っている。
「一旦アイツらの事は、置いとこ。今は、王族の人達を助けないと。」
「だね。でも」
「どうすれば」
「「いいのかな?」」
五人は知恵を出し合う。なんとか、あの塔に気づかれずに入り、脱出する方法。もしくは、王族の人達をここに連れてくる方法を
そんな五人を半透明な人物。いや、そう見える人物が見つめていた。
「主殿。御学友を見つけました。それと、この国の王族の方達がいる場所も分かりました。」
その人物は、独り言を呟く。
「分かりました。接触します。主殿の名前を出せばよろしいのですね。…………え? 声を出さなくていい? えぅ!?」
◇
「ぐはぁ!」
「ソウイチ君! 【光治療】」
「なにやってるのよ! 真の勇者でしょ!」
「そうは言ってもコイツら、強い。」
既に二つ目の聖剣も砕けた。超強化スキルである、【勇者ノ聖魂】も使っている。【聖剣召喚】で聖剣を召喚出来る回数は後、三回。
向こうは、宰相が魔法による補助。輝里は、禍々しい大剣を振るってくる。しかし、輝里の大剣の腕はそれほどじゃない。簡単に避けられる。だけど、宰相の魔法による補助が厄介だ。俺の聖剣も、リンの薙刀も弾かれる。
「めんどくさいなぁ。宰相様、アレ使ってもいいですか?」
「ふむ。まぁ、いいでしょう。」
「ハハハハハ! お前らもう終わりだよ、【邪怨竜巻】!」
輝里の言葉とともに、赤紫色の竜巻が巻き起こり防ぐまもなく、俺達三人を飲み込んだ。身体に走る痛みに歯をくいしばって耐える。倒れたまま、周りを見る。どうやら、リンとヒナも倒れているようだ。
「ハハハハハ! これが、“邪”の力だよ! お前らだって簡単に倒せる。俺はなぁ、お前らが嫌いだった、何時でも明るく笑ってるお前らがなぁ! 一番殺したかった奴は死んだがなぁ、先ずはお前ら…………そこの女からだ! 【邪怨弾丸】!」
倒れ伏すヒナに向けて、赤紫色の弾丸が放たれた。動こうとしたが、身体が痛んで動かない。俺は、ヒナに魔法が当たるのを見ているだけだった。魔法が当たり、土煙が巻き上がる。
「イヤァァァァァァァ!」
「ハハハハハハ! ざまぁ、次はもう一人の女だ! そこで指を加えて見てろよソウイチ君よぉ!」
リンの悲鳴と、輝里の笑いが遠くで聞こえた。俺は、守れなかったのか? 俺に力さえあれば、俺にもっと力があれば………
『望め、望めば手に入る。』
望めばいいのか? なら寄越せ! 力を寄越せ!
『いいだろう! 力を━━━』
「えんがちょ!」
「いたっ!?」
突然頭に痛みが走る、まるでチョップされたみたいに………っていうか、えんがちょ? チョップ?
「ったく、ヒナは回復魔法使え、ソウイチもリンも、勝てなそうだったら一旦引けよ、まったく俺がいなきゃ駄目とか、俺はお母さんか!」
いつも聞いていた声がする。後ろを向くと、キョトンとしたヒナを脇に抱えたシグレがいた。
「シグレ?」
「待たせて悪いな、後は俺に任せろ。」
不適に笑いながら、腰に差した刀を抜き放つ。
「お前は!」
「ん? そこのそいつは、一組の奴か。それに、俺を突き落としてくれた人じゃないか。」
シグレは俺達の前に立って、敵に刀を突きつける。シグレが生きていた事にほっとしつつ、物凄い安心感がある。本当に二組の柱だな。
ソ「なぁ、作者」
作「な、なにかなソウイチ君?」
ソ「俺らの出番少なくない?」
作「私も頑張って10話~15話ぐらいにしようと思ってたんだけど…………アイデアが出なかった。最近投稿し始めたVR物は、ホイホイアイデアが出るのに………」
ソ「大変なんだな。」
作「とりあえず、次回から時間が少し戻って、シグレ視点になります。」




