その21 「転移」
ソウイチ視点じゃ、ありません。
「ちょ! 部屋にいたのになんでこんなところに!?」
「はえぇ~。不思議ですね~。」
「驚くべきところなのでしょうけど、気がぬけましたわ。」
「三人共警戒しろ、脱出計画がバレたのかもしれない。」
ツバサ、ケイ、ミカゲ、ヒメカが転移させられたのは、城にある部屋の一つ、殺風景な部屋の中に四人だけしかいない。そして、一つだけある扉から、二人の人物が入ってきた。
「へぇ~。鞍馬の奴、なかなかやるじゃん。」
「範囲が限定されるとはいえ、範囲内のモノを自由に転移させられるって、便利だよな。」
「…………樋村、笹本。」
扉から出てきたのは、三組の生徒二人。樋村と、笹本だった。その両者共に目が、濁った赤紫色になっていた。
「お前ら、何しに来たんだ?」
ツバサが、油断なく二人に問いかける。すると、二人は厭らしい笑いを浮かべて
「ギャハハハハハ! そんなの、お前らを殺しに来たに決まってるだろ? あぁ、殺すのは男だけだけどな。」
「ゲヘヘヘヘ、その通り。」
「とんだ、クズになったみたいだな。」
「えぇ、そのようですね。」
入って来た時から、殺気を放っていた二人だったので、四人は既に臨戦態勢を取っていた。
事態は、二組の生徒達が予想だにしなかった状況になっていく。それは、別の場所でも。
◇
「クソッ! コイツら倒しても、倒しても沸いてきやがる! さっさと、何とかしろ、頭脳!」
「この土人形は、おそらく【土魔法】持ちの人形使いによるものです! 使役者をなんとかしないと!」
「これだけ多くちゃ、探すどころじゃないわ! ユズ! 一掃出来ない?」
「出来るけど、直ぐに復活するハズ。倒しながら、使役者を探すしかない。」
ムツキ、チアキ、ハヅキ、ユズの四人が転移させられたのは、城の中庭。地面から出てくる土人形の軍団に、苦戦していた。
「ハハハハハ! 高みの見物はいいな、最高だよ。」
「石崎、そろそろ魔法撃っていいか?」
「待てよ橋口。もう少し疲弊したところを狙う。」
「そうだな。」
土人形と戦う四人を城の一室から見下ろすのは、二人の人物。片方は、下の土人形を造り出している人形使い。もう一人は、魔法使いのようだ。
◇
「むむっ! ここはいったい?」
「さっきまで部屋にいたのにな!」
「図書館………かな?」
「クックック。どうやら、妾達は強制的に転移させられたようだな。」
シンとマモル、ハナとアリスの四人は、図書館のような場所に転移させられていた。
「マモル君誰か近くにいるかい?」
「ちょっと待ってくれな。」
そう言うと、マモルが集中し始める。
「一人………いや二人だな。後、本が動く音がする…………って、うお!」
突然周りの本棚から、たくさんの本が宙に浮かびだし、魔法陣が一つ一つ、全ての本に現れた。
「ほぅ。本を媒体にした魔法か。クックック。妾の邪眼を使う時がきたか。」
「うーん。こういうのって、本をなんとかすれば魔法は発動しないよね?」
「でしょうね。やりましょう!」
四人が臨戦態勢を取ると、同時に全ての本から魔法が放たれた。
◇
「「うわー。どこここ?」」
「知るわけないじゃん。サムちゃんは分かる?」
「お城の中だと思いますが…………牢屋?」
双子、ユオ、サムの四人が転移させられたのは、牢屋のような場所。薄暗く、じめじめした場所だ。
「転移の兆候を感じとって」
「【魔法妨害】使ったのが」
「「いけなかったのかな~?」」
「絶対それでしょ!」
双子の言葉にツッコムサム、どうやら、双子のスキルによって敵が意図しなかった場所に、転移したようだ。
四人が周囲を警戒しつつ、歩いていると一つの牢屋にたどり着いた。どうやら、誰かが中にいるようだ。
「誰かいるみたいですね。」
「ここ廊下みたいだし、危なそうだから行こう。」
「待ってください!」
ユオがもと来た道を戻ろうとしたら、中から女性の声が聞こえて、よれよれになり薄汚れたドレスを着た女性が、鉄格子の前に現れた。
「ここからだしてください! 我が国の危機なのです!」
「その前に、どなたですか?」
「わたくしはこの国の王妃です。」
「「「「え!?」」」」
なんと、牢屋に閉じ込められていたのは、王妃だった。
「あなた方は、召喚された勇者様方ですね。この国の今の状況を話します。どうか、この国を救ってください。」
そして、王妃の口から語られたのは━━━




