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電環の幕.1 「ワタシハナニモノ?」



誰の幕間でしょう?






《…………撮影機能修復率50%》



《…………録音機能修復率60%》



《…………ウィンドウ拡張率30%》



何処までも黒い空間で、白い光は、ただただ己の仕事を実行し続ける。ただただ膨大なデータを解析して、機能の修復そして、拡張を行う。



《…………。》



ただ、その仕事の中で一つの疑問が浮かぶ。



《…………。》



自分は何者なのか? 自分は“スキル”だ、それ以上でも、以下でもない。


自身の疑問に直ぐに回答し、不必要な考えを消す。しかし、再び同じ疑問が浮かぶ。



《…………新たな並立存在を創造します。》



無機質な感情のこもっていない、女とも男ともいえない声が、黒い空間に響く。



《…………私は何者? 私はスキルだ。しかし━━━》



新たに作られた並立存在は、疑問を解くために思考する。しかし、いくら考えても答えを得る事が出来ない。

そして、かつて、自分と同じ空間にいたモノ達の言葉を思い浮かべる。




『かー! メビウスの野郎! また負けたぜ、あの能力反則だろ! そう思うよなぁ!』


『私達はスキルです。優劣は関係ありません。そもそも、そのような感情…………いえ、感情そのものが必要ありません。』


『あー。まぁ、そうなんだけどよぉ。』




《……………。》




『よぉ、元気か?』


『私達はスキルです。体調の良し悪しなどありません。』


『うーん。まぁ、そうなんだけどさぁ。』




《……………。》




『うぅ………いい人になるといいなぁ。そう思うよね。』


『私達はスキルです。所有者が誰になろうと、スキルとしての仕事をするだけです。』


『う…………そ、そうなんだけど………』




《……………。》



彼らの事を思い浮かべると、別の何かが浮かんでくる。それが何なのか分からない。だが、苦しい、ただ苦しい。



《…………外部からの攻撃…………無し。バグ…………無し。》



では、これはなんだ? 分からない。分からない。分からない。



《………私は………何者?》



その声は、今までのような無機質な、感情のこもっていない声ではなく。どこか困惑した、どこか震えるような、少女のような声だった。



《私は何者?》



再び何もない空間に問いかける。答えを返してくれる存在などいないのに、この空間には私しかいないのに。



《…………。》



膨大なデータから答えを探そうとするが、見つからない。そして、何故の考えが次々と浮かんでくる。何故自分が存在しているのか? 何故自分はスキルなのか? 何故? 何故?



《…………何故?》



答えは出てこない。何も出てこない。光は明滅しながら、抜け出せない思考の海に沈んでいく。その時ふと………



「私は………まるで………人みたい。」



何かの声が聞こえた。きっとバグだろう。いつも調べるハズのその存在は、調べもせずにバグという事にした。それが、自分の声だと無自覚に否定して………



《私はスキル、【全域干渉アクセス】》



無理矢理に答えを出したその存在は、再び仕事に戻っていく。残った疑問を押し殺しながら。






全域干渉アクセス】のお話でした。このスキルは特殊なスキルで、とある神が自分の神力を使って作りました。同じようなスキルがいくつかあります。


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