その12 「自由行動」
「ふわぁ~。朝か。」
ローズを召喚した後、町に戻った俺達は、いい感じの宿を見つけて、そこで泊まる事にした。そして、今は次の日になったところだ。
寝る前に外しておいたお面をつけて、部屋から出る。とりあえず、隣のシア達が泊まっている部屋のドアを叩く。ローズが出てきた。
「おはよう、ローズ。他の二人は?」
ローズにシアとアシュレの事を訊ねると、スケッチブックを取り出して、マジックで何か書き始めた。ローズは、簡単な質問なら、頷く、首を振るで対処するが、こういう時はスケッチブックに書く。これを初めて見た人は、暫く思考停止するだろう。
『レーちゃん、おっはー♪(* ̄∇ ̄)ノ シアのんは、まだ寝てるよー。アッシューは、ご飯作ってくれてるよー。
( ・∇・)<感謝。感謝。』
「そっか、ありがとう。」
ローズにお礼を言って、部屋の中に入り、寝ているシアを叩き起こす。
「もー! マスターは、もう少し私に優しくするべきです!」
「はいはい。さっ、アシュレんとこ行くぞ。」
「…………。」
「もー!」
下の階に降りて、厨房へ向かう。宿の人に頼んで、貸してもらっているのだ。
アシュレが用意した朝食を食べながら、今日の予定を話し合う。
「とりあえず、午前は各自、自由行動。十二時にこの宿集合な。」
「じゃあ、ローズちゃんの冒険者登録に行きましょう!」
「そうね。付き合うわ。」
「俺は、武器を買いにいくよ。」
「浮気! 浮気ですか!?」
「付き合ってすらいねぇだろ! そうじゃなくて、シア達がいない時や、全員人化してる時に使う武器だよ!」
「アイテムボックスに、ゲームで使ってたのがあると思うけど?」
「あんな派手な見た目なの使えんわ!」
「成る程ね。」
朝食を食べ終わった俺達は、宿を出て別れた。
◇
「ん~。いい感じの武器屋はあるかな?」
町中を歩きながら、武器屋を探す。
「ん~ん?」
気になる店を見つけたので、中に入る。店の中は薄暗く、様々な武器が飾られていた。称号『ウェポンマスター』のおかげか、見ただけで分かる。どの武器も一級品だ。
「ここは、貴様のようなひよっ子がくるところではないぞ。」
店の奥から、大柄な男が出てくる。おそらくここの店主だろう。
「買えるとも思ってませんよ。あそこのならいいですか?」
「………好きにしろ。」
許可をもらったので、箱のような入れ物に入っている武器を見る。錆び付いているものや、ひびのはいっているモノもある。その中で、気になったモノを取り出す。長くもなく、短くもない刀だ、武器化したシアと同じくらいの長さだろう。薄い銀色の刃は、淡く青緑色に光っている。
とりあえず、構えてみる。………いいな。凄くいい。これに決まりだな。
「この刀、おいくらですか?」
「………何故それを選んだ?」
「なんとなく……気に入ったからです。」
「………そうか。」
店主の人が考え込む。
「名はなんという?」
「レイン・タイムズです。」
「偽名だろう? 真名はなんだ?」
何故バレたし、まぁ、言いふらすような人ではないだろうから、言ってもいいか。
「シグレ・ウエモトです。」
「シグレか……俺はバルク・ドルメル。そいつはくれてやる。武器の事で何かあったら訊ねて来い。」
それだけ言うと、店の奥に引っ込んでしまった。あ、鞘はどうしよう? そう思っていると。刀身が輝いて、鞘に入った状態になる。流石ファンタジー。
武器を手に入れられたので、十二時になるまで町の観光でもするか。
■シグレが出て行った後の店内■
『カァーン。カァーン。カァーン。』
薄暗い部屋の中、炉の火だけが輝き、部屋を少し明るくしていた。そして、そんな部屋に金属同士がぶつかる音が響く。
「おはようござい………師匠!?」
「ゼトか……少し静かにしろ。」
ゼトという人族の少女の驚きの声に、師匠と言われた人物は短く答える。
「ふむ。やっぱり鈍っているな。取り戻すまでに何ヵ月かかるか……」
「師匠! 鍛冶はもうやらないって……」
「あぁ、だが………」
師匠と呼ばれた人物が、言葉を切って、傍らに置いてあった酒を喉に流し込み、口を開く。
「久々に、最高の武器を持たせてみたいヤツを見つけた。」
「えぇ!?」
「『五月雨』の隠蔽も見抜いたからな。いや、『五月雨』に選ばれた……か。」
「えぇぇぇぇ!?」
◇
■アシュレ視点■
「着きましたー! ここが、冒険者ギルドですよ!」
「…………。」
ローズの冒険者登録のために、私達は冒険者ギルドに来た。冒険者登録をした後は、三人で観光をするつもりだ。
「この娘の冒険者登録お願いします!」
以前私達がやった事あるので、ちゃちゃっと終わらせる。
「それじゃあ、観光に行きましょう!」
「そうね。」
「…………。」
登録も終わったので、町に繰り出そうとする。しかし
「君達新人? 俺達が手取り足取り、教えてあげるよ!」
三人組の男達が道をふさぐ。邪魔ね、どいてくれないかしら。
「さぁ、行こう。」
「いえ、お断りします! マスターに、変な人にはついていっちゃ駄目って、言われましたから!」
「…………。(コクコク)」
シアの言葉に周りから、笑い声が漏れる。それを聞いた男達が、顔を真っ赤にして、シアに掴みかかろうとしたので、斧槍を取り出して、柄のほうを床に叩きつける。
『ガンッ!』
男達がビクッとして、こちらを見る。私はにっこり笑って。
「潰されたくなかったら、今すぐ消えて。」
私の言葉に、三人組の男達は、直ぐ様ギルドの外へ逃げて行く。それより早く出なきゃ、周りの拍手に紛れて『お姉様!』とか、『女王様!』とか聞こえるのだ。そんな風に呼ばれるのは、フィオネの役割のハズなのに!
シアとローズを連れて、直ぐにギルドを出た。
終わらなかった!




