プロローグ 「始まり」
三作品目にして、ヴォルテシリーズ第二弾!!
“無能? いいえ、最強無敵です! ~『イルノア大陸』無敵の英雄~”と同じ世界です。
プロローグの最初のほうも、同じです。
━━━━世界ノ危機ニ━━━━
━━━━時空ヲ越エテ━━━━
━━━━勇者ハ現レル━━━━
◇
━━━━━━ヴォルテ
それが、この世界の名。
五つの大陸と、その周りに広がる広大な海。そして、海に点在する小さな島々からなる世界。
神々とその従者が住まう“神界”
冥王とその配下。そして、死者が住まう“冥界”
生きた人々や、獣、魔物、幻獣が住まう“現界”
三つの“界”が存在する。
神々とその従者。冥王とその配下。彼らは“現界”には直接には関われない。“現界”に住まう者達で“神界”や、“冥界”がある事を知っている者は少ない。
“現界”には、“人族”だけでなく。獣の力を宿した“獣族”。森に住まう若さを保つ“エルフ”。自然との親和性が高いドワーフや、フェアリー等の“妖精族”。“冥界”への門を守る者達の末裔“魔族”。その他、様々な種族が暮らしていた。互いが干渉せず、はたまた、協力しあっていた。
この世界では、髪と瞳の色で【属性】と、ある程度の【能力値】等が決まる。
迸る黄色は、“雷”
そよぐ緑は、“風”
例外も存在するが、それは、ほぼいなかった。
━━━━さて、本題に入ろう。これから語るのは、とある物語。
始まりは、“シーディア大陸”にあるロードル聖王国。ある日、神託により邪神の復活を知ったため、勇者召喚を行った。勇者召喚とは異世界地球より、強力な力を持った勇者を召喚する魔法だ。
召喚された勇者達は、誰も彼もが強力な力を持っており、人々は彼らの登場を喜んだ。しかし、その中に一人。一般人と変わらないステータスと、使えるか分からない能力を持った少年がいた。
国は、秘密裏に彼を奈落の底に落とし、抹殺した。しかし、彼は生きていた。彼が持っていた能力により、生き残る事が出来た。
この物語は、彼が異世界で生きる軌跡を、描いたものである。
◇
「よぉーし、好感度MAX! これで、次回のイベントの準備は完璧だな!」
俺の名前は上本 時雨。ごく普通の高校に通う、ごく普通の高校生だ。最近は、とあるスマホゲームにはまっており、毎日プレイしている。ゲームの内容は、武器に変化する乙女達を率いて、色々な戦場を駆けるというものだ。ファ○アーエム○レムみたいなモノ、と言えば分かるだろうか?
「時雨~。今日は修学旅行でしょ~。さっさと行きなさ~い。」
「サーイエッサー!」
先生に急かされて、夜が明けたばかりの町を駆けて行く。ちなみに、俺に親はいない。生まれた時には一人ぼっちだった。それを拾ってくれたのが先生だ。先生は、自分の家を保育園にしており、俺はそこで暮らしている。
家から十分ぐらいで、俺が通っている高校に着いた。だいたい集まってるな。
「よぉ! シグレ。」
「おはよう、蒼一。」
川崎 蒼一。爽やかな笑顔が似合うイケメンである。サッカー部に所属し、サッカーの腕も天才的。ファンクラブがある程のモテ男である。こいつと知り合ったのは先生の保育園でだ、直ぐに意気投合して親友になった。
「シグレっち、おはー!」
「おはよう、上本。」
「シグレっちは止めろツバサ。おはよう、西倉。」
少しチャラい七木 翼と、苦労人体質の西倉 京。四人揃って、“二年二組イケメン四天王”と呼ばれている。蒼一が爽やかイケメン。ツバサがチャライケメン。西倉が優しイケメン。俺が普通イケメン。普通イケメンってなんだ、普通イケメンって。
「上本くん、おはよう。」
「姫宮、おはよう。」
姫宮 日奈。肩にかかる程度の艶やかな黒髪。零れ落ちそうな黒いたれ目。学年一の美少女だ。何故かいつも、最初に俺に挨拶してくる。突き刺さる視線が痛い。彼女の事は気になっている。何故なら、今はまっているゲームの推しキャラに似ているからだ。
「そろそろ時間だ、バスに乗ろうぜ。」
「だな。」
蒼一に言われて、俺達はバスに乗る。向かう先は京都、ありきたりだな。バスの中でたわいもない話をしながら、京都に思いを馳せていた。しかし、それは叶わない。
━━━京都に向かう途中の山道で━━━
━━━運転手の居眠りが原因だったらしい━━━
━━━崖から飛び出したバスの中で━━━
━━━死を覚悟した俺達の視界は━━━
━━━白く塗り潰された━━━