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煌く海の聖乙女  作者: 優姫
7/11

海軍

セルティアが最後まで言い終わるのを待たずに、ルーアは瞳を輝かせながら語った。

「 そこまで詳しい話しは、初めて聞いたわね 」

嬉しそうなルーアを見ながら、セルティアは一つ溜め息をつき横目でルーアを流し見る。

「 何をしている 」

第三者の声がしたので、ルーアとセルティアは声のする方に振り返った。

二人の後ろにはジャスティがいた。

セルティアとジャスティは一瞬目があったが、すぐに二人して視線をそらした。

「 もう遅い。二人とも寝ろ 」

ジャスティは二人が居る方向とは、また別の方に視線を向けたままそう命令する。

「 そうですねぇ~。では、そうしましょうか~。え~っと・・・ 」

ルーアはセルティアに視線を向けてそこまで言ってから、考える素振りを見せた。

「 あ。セ・・・じゃないシャナよ 」

ルーアの聞きたい事に気付き、セルティアは嘘の名をルーアに教えた。

「 シャナさんですね~。では~シャナさん寝ましょう~ 」

そう言い。二人で立ち上がると。セルティアは前を歩くジャスティに付いて行き。

船長室の扉に向かって歩く。だが、突然ジャスティが足を止めた。セルティアが何故止まったのか、聞く前にジャスティが振り返った。

「 何故着いてくる 」

セルティアが横を向くと、そこにはルーアがいた。

「 え~?寝るのでしょう~?寝室に行こうかな~と~ 」

ルーアは微笑みながら。そうジャスティの問いに答える。

ジャスティは瞳を細め、言う。

「 この先にお前の寝床はない。お前の寝床は船員と同じ場所だ 」

ルーアは、右手の人差し指を自身の唇に当てる。

「 そうなのですかぁ~?でも、何故シャナさんも其方なのですかぁ~?シャナさんも船員なのでしょ~? 」

と言いながら人差し指を唇に当てたまま首を傾げて見せる。

『ばれる!』と感じ取ったセルティアは慌てて、何かを言おうとしたが目前にジャスティの腕が入って口を閉じた。

「 こいつは女だ。むさい男だらけの場所で寝かせられるわけないだろぅ。早く行け 」

「 あぁ!なるほどぉ~ 」と一言言うと。納得したのか、ルーアは踵を返し、船員達の眠る寝室に降りるための階段がある方角に歩き出した。

ルーアが階段に向かって歩き出すと。ジャスティも船長室の方に向き治り、黙って歩き出した。

セルティアはお礼を言おうと口を開きかけたが、済んでのところでやめた。

そして、ジャスティは扉を開けると立ち尽くしているセルティアに視線を送る。「早く入れ」と物語る視線で。

セルティアは何も言わずに溜め息を一つ付くと、船長室に入って行った。その後を追うように、ジャスティも扉をくぐる。


まだ、階段に着いていなかったルーアは足を止め、少し後ろに振り向き。そして薄く微笑んでから、また前を向き治り歩き出した。


次の日の朝。


セルティアはパウルと一緒に自室にていつもどおり、勉強をしていた。

「 でしてここは~・・・・何でしょう? 」

パウルが本を読んで居る最中に、読むのと止めた。

理由は上が騒がしいからだ。

「 行ってみましょうよ! 」

そろそろ、勉強に飽き飽きしていたセルティアは、そうパウルに提案した。

彼女がこういうと、何を言っても聞かない事をわかっているパウルは、一つ溜め息を付くと手に持っていた本を閉じると。

「 はぁ・・・良いでしょう。宿題を出して置きます。ちゃんとやってくださいね 」

「 はーい!!! 」

そう大きく返事を返しながら、セルティアは扉に向かって走り出した。そしてそのまま、船長室までの階段を上がり、椅子に座り机の上に広げられた地図を真剣な眼差しで見つめている、ジャスティには目もくれず部屋を出て行った。

船長室を出てから見た光景に、セルティアは驚いた。

船員達が円を描くように集まり、その真ん中ではついこの間海から引き上げられたルーアとジョンが睨みあっていた。

「 いけー!!ジョンさーん! 」

「 やっちまぇー!! 」

ジョンとルーアを囲む、船員達はそうジョンに叫んでいる。応援に聞こえるその言葉に、セルティアは二人が何をしているのかを瞬時に理解した。

「 うるぁぁぁぁ!!! 」

ジョンがルーアに向かって、拳を振り上げる。だが、その拳がルーアに当る事はなかった。ルーアはまるで、何事もなかったかのようにヒラリと交わして見せたからだ。

セルティアは何が起きているのか、正しく理解するためにも一番近くにいる、船員を呼び寄せた。

「 へい。シャナ嬢どうしやした? 」

背中を丸め、怪しげな微笑を向けたまま近づいてくる船員。

「 何事なの?何でルーアとジョンが喧嘩してるの?やめさせないと! 」

そう言いながら、真ん中に向かって歩き出そうとするセルティアを。

呼ばれた船員と、セルティアに気付いた船員数名が止めには入る。

「 い、いや。喧嘩じゃないんすよ!船長の命令なんっす! 」

そこで、出た言葉に驚き。セルティアは声のした方に視線を向け、動きを止めた。

「 ジャスティ? 」

すると、別の船員二人がその問いに答えた。

「 はい。シャナ嬢のボディガードを決めるとかで、この船の上で船長の次に強い者をボディガードにすると船長がおっしゃられまして 」

「 で~。今の所勝ち進んでるのが、副船長とルーアなんでさぁ 」

副船長であるジョンが、勝ち進んでいるのはわかるが、あの脳天きな会話しか出来ないルーアが勝ち進んでいる事に驚きを隠せないセルティアだった。

戦いを見ていたセルティアだったが、一瞬ルーアと視線が合った。その瞬間。

ドカッ!!!

「 あいたっ! 」

間抜けな声を上げ、ルーアがしりもちをついた。

「 副船長が勝ったぞ! 」

「 さすがジョンさんだ! 」

「 副船長さすがっす! 」

勝負に勝つと、ジョンは片手でグーを作りそれを上に掲げ上げた。その姿に周りを囲んでいた、船員が大きく声を上げる。

「 負けてしまいましたぁ~ 」

床に座り込んだまま、ルーアはそう声をあげる。声をあげた後、目を開けると目前に誰かの手があった。上を見上げると、手の主はジョンだった。

ルーアはそのまま、ジョンの手を取り、立ち上がる。

ドォォォォォォン!!! バシャァァァァン!!!

立ち上がると同時に、大砲を撃った時のような大きな音と、弾が海に落ちた時の水の音、そしてそれと同時に、激しく船が揺れた。

揺れたおかげで、せっかく立ち上がったルーアも立っていた数名の船員は皆、床に倒れた。

セルティアも倒れかけたが、すぐさま傍までやってきたジョンに抱えられ、倒れる事はなかった。

「 何だ!? 」

「 何が起きたんだ!? 」

数名の船員達が皆同じ言葉を叫びながら、周りの海を見渡す。

「 あれだ!あの船が大砲を撃ったんだ!! 」

そこで、セルティアを支えていたジョンが船の外を指差した。

船員とセルティアは、指された指の方に視線を向けた。

その時ちょうど、船長室から出てきたジャスティも皆の視線の方向に一緒になって、自分の視線も向ける。

皆の視線の先には、白く下3階建てで大砲を撃つ場所のある煌びやかな船があった。

その船が掲げている旗のマークは・・・白馬に二本の剣をクロスさせた物だった。その旗を見るなり、一人の船員が叫ぶ。

「 か、海軍だぁぁぁ!!! 」

ワァァァァァァ!!!

船員の叫びに続けて、他の船員が慌てて暴れだす。

「 うるさい!叫んでないで帆を張れ!!時速前進!!俺たちはこんな所では捕まらねぇ!!俺たちにはまだ、やる事があるんだぞ!!! 」

ジャスティのその言葉に、先ほどまで叫びそこら変を走り回るしかしていなかった、船員はやるべき事を思いだし「アイアイサー!!」と叫び、定位置に付き言われた事を遂行する。

「 大砲の準備もしろ!!ジョン!そいつを船長室に連れて行け! 」

ジャスティは、持ち場に付き命令された事を遂行している船員と、セルティアを支えて立つジョンにそう伝える。

「 アイアイサー!さぁ、姫!此方へ! 」

ジョンに肩を、持たれ支えられたままセルティアは船長室に向かって歩き出す。

「 ぼ、僕は何をすれば良いんでしょうかぁぁぁ!? 」

半分泣き出しそうな状態の、ルーアがそう叫びながらジャスティの傍まで走ってやってくる。

ジャスティは、そんなルーアを見ると深く溜め息を付き言った。

「 仕方ない。お前もセルティアと一緒にいろ。お前とジョン、二人をあいつのボディガードに任命する 」

ジャスティからそう命じられた、ルーアは人差し指を唇にあて首をかしげる。

「 セルティ・・・ア? 」

「 私の事よ 」

ルーアは声のした方に視線を向けた。そこにいたのは、ジョンが開けてくれた戸の部屋の中に入る寸前のセルティアだった。

「 細かい話しは後でするわ。とりあえず、早く来なさい 」

セルティアはそう言うと、そのまま部屋の中へと入る。ルーアも、状況を考えてかそれ以上何も聞かずにセルティアとジョンに付いて行く。

ジャスティは、その三人が船長室に入るのを見届けると前を向きなおす。


ドォォォォン!!!バシャァァァァン!!!ワー!ワー!ワー!!

船長室の外では、激しい音が鳴り響いている。


「 一体、何が起きているのですかぁ?それに、最初に教えていただいたお名前と違うのはどうしてですかぁ? 」

ジョン・セルティア・ルーアは船長室の船長机の前、扉から離れた場所の床に座り込んで扉を見つめていた。ジョンは剣を構えていつでも、飛びかかれる格好だ。

そんな状況でルーアの落ち着いた言葉が、聞こえてくる。

セルティアは、ルーアに視線も向けず扉を睨みつけたままで質問に答える。

「 海軍よ。海軍って言うのは、格国から選りすぐりの者が集まった海賊を捕まえる軍隊よ。この船は、数年前から世界一の海賊船と言われていてね何度も海軍に終われては此方が勝ってる、とても有名な海賊なの。だからこそ、こうやって頻繁に海軍に狙われるのよ。いつもなら、もう少し早いうちに気付いて逃げおおせるんだけど・・・。 」

そこまで言うと、目を閉じ俯く。

「 今回は、姫のボディガードを決めるための試合をしてたからな。監視が仕事をほっぽり出して、試合の観賞しちまってたんだろぅ 」

今度は、構えた格好のままセルティア同様に扉を睨みつけたままでジョンが、続きを答えた。

「 なるほどぉ~。では、お名前が違うのは?姫とは? 」

そこで初めて、セルティアがルーアの方に視線を向けた。

「 それについては、こんな状況だけど謝るわ。ごめんなさい。私を守るために、船員達がした事なのよ 」

「 守る?? 」

ルーアはセルティと、目線を合わせて話しをする。

「 私わね・・・。ある一国の王女なの。私の国は誰かに滅ぼされてしまって・・・その犯人もまだ見つかっていないの。もし、その犯人に私がまだ生きている事が知られれば・・・ 」

「 あー・・・・・・・・・。なるほどです。理解しました。謝らないで下さい。そんな事情があったのなら、仕方がありません 」

セルティアが最後まで言い切る前に、ルーアは返事を返した。そんな、優しいルーアの返事にセルティアは薄く微笑んで。

「 ・・・・・・ありがとう 」

と、一言礼を伝えた。


その時外では・・・。


「 何をしてる!!大砲を撃て!振り切るぞ! 」

ジャスティは、甲板から船員に指示を出しながら自らの手で舵を取っている。

「 船長!無理だ!追いつかれる! 」

一人の船員がジャスティに向かって叫ぶ。

「 何言ってんだ!それでもルシーバ国一の海賊の一人か! 」

ガタン!!

ジャスティが、船員に向かってそう叫んでいる間に。海軍が海賊船の横までやってきて、渡り板で此方と海軍の船とつなげた所だった。

そして・・・。

「 海賊共静まれ!!! 」

海賊船員達が、銃を構え渡り板を渡って此方にやってくると思っていた兵達を撃ち殺す準備をすると、海軍の船からジャスティの叫び声よりもさらに大きな怒鳴り声が聞こえてきた。

海賊船員達は、その声に驚きピタリと動きを止めてしまう。そして、渡り橋の上を兵を後ろに従えて歩いて来る男達がいた。

一番先頭の男は葉巻を口に加えている、見るからに海軍の船の中で一番偉い地位にいる人物だろぅ。

その男の後ろを歩いている男にジャスティの視線が行く。

ジャスティは、ゆっくりと甲板から降りて行く。視線は葉巻を加えた男の後ろを歩く男に向けたまま。

白い軍服を着た男達は、海賊船に降り立つとすぐにまた葉巻を加えた男は話しだした。

「 なるほど・・・。この海賊があの世界一と言われた海賊か。ごく普通のごろつきに見えるがな 」

その言葉に、船員が一人その男に殴りかかった。

「 何だとこら!もういっぺん言ってみろ!!! 」

だが、殴る前に葉巻を加えた男と船員の間に銃を構えた兵が割って入り殴る事は出来なかった。

「 大佐。この海賊船で一番の知恵の持ち主は船長と副船長ですよ。その二人がいたからこそ、この海賊は世界一という地位にまで登りつめる事が出来たのです 」

と、葉巻を加えている男の後ろにいる男が話しだした。

大佐と呼ばれた男は「なるほどな・・・・・・。」と、顎に生えたヒゲを片手で弄ぶ。

「 あ・・・・・ 」

海軍達の周りを囲む、船員達の中から突然声が聞こえた。

大佐と呼ばれた男の後ろにいる男が、声のした方に視線を向けるとそこにはファドがいた。

「 君は・・・・・サーガ港の・・・この海賊の一味だったのか・・・ 」

そこで、ファドは口に両手を当てそれ以上声が出ないようにした。



ちょっとばかし、この話出すの遅くなってしまいました。

原因は、姉の結婚式のため外国に行っていたからです。

出来るだけ早く投稿するために、外国に行く寸前に長めに書いてはおいたのですが、間に合わず。

帰ってきてから即書き始めたところ、他の話よりも遥かに多い文字数となってしまいましたw


ゆるちて・3・♪


半分くらい?まできましたが。。。予想ではあと10話くらい?それ以上?以上だな。は、まだまだ続く予定ですw


お付き合いいただけたら幸いです^^w

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