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煌く海の聖乙女  作者: 優姫
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これから・・・・・。

空が明るくなり、陸が見えてきた。

甲板に立ち今来た方角、境界線の方を見つめる男がいる。ルーアだ。

金髪の長い髪を風に泳がせたまま、海と同じ青い瞳でその方角を見つめている。

「 はい。必ずお連れ致します。我が主よ。それについて、お願いがあります。主の少しばかりの助けを・・・・・ 」

ルーアはゆっくりと瞳を閉じ、小さな声音でそう告げた。いつものルーアとは思えないような口調で。

「 ありがとうございます 」

瞳を開け、礼の言葉を述べる。ルーアの声以外の声は聞こえてこない。聞こえてくるのは海の波の音のみ。


コン、コン

「 セルティア。港に着きます。起きてますか? 」

ウィリアムは、薄茶色の豪奢なデザインの扉をノックすると中に居るはずのセルティアに声をかける。

「 もう起きてるわ。入っても大丈夫よ 」

返事を聞くと、ウィリアムはゆっくりと扉を開けた。セルティアは準備されていたドレスとアクセサリーを身にまとい、ソファに座り自分で入れた紅茶を飲んでいた。

その美しさに一瞬、目をそらすのを忘れてしまっていたウィリアムだったがセルティアと視線が合うことで我に返り、視線をそらした。

「 そのご様子からして、もしや少し前からもう起きていらっしゃいましたか? 」

セルティアの座るソファの向かい側に座ると、紅茶を飲むセルティアにそう話しかける。

「 船乗りの朝は早いから。癖で起きてしまうの 」

紅茶をテーブルに置くと、目の前のウィリアムに視線を送りそう返事を返す。

「 12年も船の上にいたのです。仕方がありませんね。ですが、さすが国王の親友ジャスティ船長だ。セルティアに姫としての教養もしっかりしていたと見えますね 」

セルティアはそれが、身なりと紅茶を飲む時の動作の事を言われているのをわかっていた。

「 もう少ししたら港に着きます。そこからは馬と馬車で我がカルタリア国まで行きましょう。本日の夕刻までには城に到着するでしょうが。貴方のためにも度々休憩を取る事に・・・・ 」

「 私のためを思っての休憩なら入りません。私の体は12年、船の上で暮らしたおかげで船乗りと同じだけの体力があります。そう安々疲れる事はないでしょう。心配無用です 」

ウィリアムが最後まで言い切るのを待たず、セルティアが口を開く。

「 わかりました。では、疲れたら申してくださいね。それ以外では馬の休息のだけにしておきましょう 」

ウィリアムは一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐにいつもの薄い微笑を浮かべた表情を作りそう述べた。


ガチャ。


突然、ウィリアムの背後の薄茶色の扉が開く音がした。突然の事だったので、剣の柄に手をかけウィリアムはすかさず立ち上がり後ろを振り向く。

が、そこにいたのはルーアだった。

「 あれ~?ウィリアム様いらっしゃってたんですかぁ~。おはようございます~ 」

ルーアはウィリアムを見かけると、のんきに挨拶をする。

「 ・・・・・・ノックをするのは当り前の事だと思うのだが?護衛なら護衛らしくそこら変はちゃんとしてほしいものだね 」

そう言いながら柄から手を放し、服装を整えるとルーアを睨んだ。

「 そうですねぇ~。すみません~。次から気を付けますねぇ~ 」

睨んでくるウィリアムの視線に気付かないはずもないのに、ルーアはいつもどおりののんきな返事を送ってくる。

「 ルーア。おはよう。良く眠れた?外の空気を吸いに行ってたんでしょ? 」

セルティアはそんなルーアに、何事もなかったかのように微笑みながらそう話しかける。

セルティアのいる席まで歩きながらルーアは口を開く。

「 はい~。ふかふかのベッド気持ち良かったです~♪ 今日は良い天気ですよぉ~。美味しそうな飲み物ですね~? 」

ルーアはまるで、始めて見るかのような視線をセルティアのカップに注がれている紅茶に向ける。

二人の会話を聞きながら、ウィリアムはソファに座り治す。

「 これ?紅茶よ。そっか、ルーアは記憶喪失なんだっけね。飲んでみる? 」

そう言いながらセルティアは自分のカップをルーアに見せるように掲げる。

「 綺麗な色ですねぇ~。もらって良いんですかぁ~?では~いただきます~ 」

そう言いながら、何事もないようにルーアはセルティアのカップを手に持ちそれを自分の口に運んだ。

「 なっ・・・・何・・・・をしている!!!??? 」

ルーアの思いがけない行動に、ウィリアムは座ったばかりだと言うのに立ち上がる。

「 ぷはぁ~!美味しいですねぇ~。ありがとうございますぅ~~ 」

カップを空にしてセルティアに手渡すと、ルーアはセルティアの後ろまで移動して前を向く。

「 気に入ってもらえて良かったわ。どうしたの?ウィル 」

何事もなかったかのように会話を交し合っている二人を、ウィリアムは唖然とした表情で見つめる。

「 ・・・・ゴホン。セルティア。貴女は一国の王女であり嫁入り前の女性なのです・・・。少しは行動を考えていただかないと・・・・ 」

小さく咳をすると、ウィリアムはソファに座り治しセルティアにそう告げる。

「 え? あー・・・・・・そうね。ごめんなさい 」

最初は何を言われたのかわかっていなかったが。少し考えたのち、気付いたのかセルティアは素直に謝罪の言葉を述べる。

その後、しばらくは沈黙が続いた。

―――――――――――皆、今頃どうしてるかなー・・・・。・・・いけない!まだあの船を降りて1日しか立ってないのに!―――――――――――

セルティアは1つ溜め息をついた後、両手で拳を作りそれを顔の前まで上げ気合を入れる動作をする。

ウィリアムはそれを不思議そうに見つめていた。

セルティアの斜め後ろでは、ルーアが嬉しそうにセルティアを見つめていた。


コンコン。


またも扉がノックされた。

「 今日はお客様が多いわね 」

「 どうぞ 」

ウィリアムが座ったまま、頭を横に向け視線を扉に向けノックに答える。

開けられた扉の向こうに居たのは一人の兵だった。

「 失礼致します!大佐がお見えであります! 」

兵のその言葉を聞くとウィリアムは一瞬瞳を細めたが、すぐに瞳を閉じた。

「 ・・・・お入り頂いて下さい 」

「 はっ!! 」

兵が返事をし、扉を内側に大きく開け放つと兵が先ほどまで居た場所にはヒゲを生やし、そのヒゲを触っている中年の太った男が立っていた。

「 お邪魔するよ。着く前に軽い挨拶だけでも済ませておこうと思ってね 」

男はそう言いながら部屋へ入ってくる。

セルティアはソファから立ち上がりウィリアムのいるソファの横まで歩いて行く。ルーアはそれに着いて行く。

「 セルティア。此方は海軍大佐のソラリチエ・ゾロ様。海の上でのセルティア探しに協力してくださいました。大佐、此方は・・・・今は亡きルシーバ国の最後の生き残りセルティア・ルイ・ウォルク様です 」

ウィリアムは立ち上がり、セルティアの横から二人の紹介をしてくれた。

「 お会いできて光栄です。ソラリチエ様 」

セルティアは、着ているドレスの端を持ち優雅にお辞儀をして見せる。これらは全てパウルが教えてくれたものだ。

「 話しはギルベルト殿から聞いておりました。そうですか・・・・貴女がルシーバ国の・・・・いやいやこれはまた美しい方ですな。このように美しいのだ、海賊に誘拐されてしまうのも良くわかりますな。お助けできて良かった。海賊国の姫君が海賊に誘拐されるとは・・・・あってはならぬ事でしたな。これを気に海軍と仲良くして頂けると幸いですな~ 」

そう言う大佐の視線はセルティアの足元から頭の先、爪の先までをジロジロと見ている。

――――――――気持ちが悪い・・・・。それに「誘拐」・・・・ね。そういう事になってるのね――――――――――――

大佐の視線に気付きながらもセルティアは微笑を作り。

「 お助け頂けて感謝致します。国を再建した暁には海軍の手を借りて行くと言うほうこうで勿論考えさせて頂こうと思っております 」

「 所で~・・・・ 」

セルティアの言葉を聞き終わるとすぐ。大佐はセルティアの斜め後ろに控えるルーアに視線を送る。セルティア同様に足の爪先から頭の先、爪の先までをジロジロと見ながら口を開く。

「 所で姫。其方の方は・・・・? 」

セルティアも大佐の視線を追いルーアの方を見る。

「 此方はルーアと申します。海賊船に居る時流れ着いた方で。当時の記憶がなく名前しか分らないという事だったので、私と一緒にカルタリア国まで来て頂こうと着いて来てもらったのです 」

「 それはそれは・・・・災難でしたな・・・・記憶がないとは・・・・さぞ御悲しかった事でしょう・・・・どうですかな?体格も良いようですし・・・海軍に入られては? 」

大佐はルーアを見るのを止めてヒゲをまた触り始める。そして微笑みながらそう提案した。

「 いや~。人の事を気持ちの悪い視線でジロジロ見てくる人の下で働くのはごめんですね~。ご遠慮させていただきますぅ~ 」

その言葉に部屋は一瞬沈黙が流れた・・・が。最初に沈黙を破ったのは大佐だった。

「 そ、そうですか・・・・これはまた振られてしまいましたな。わっはっはっは!さ、さ~てそろそろ港に着く頃でしょうから?私は操縦室に戻らせて頂きます。それでは姫、後ほど 」

そう言うと大佐は着れてきた兵を引き連れ、そそくさと部屋を後にした。



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