四ノ宮くんと大人な彼女(2)
「四ノ宮くんには友達がいない」の5話目です。
一話から読んでいない方はそちらから読むことをおすすめします。
帰りのHRもササッと終わり俺は教室を出る。
これから指導室に行かなきゃならねぇのか・・。
指導室とは迷彩学園の教育方針のひとつでもあり、授業中に遊んでいた生徒や居眠りをしている生徒、成績が悪かった生徒が教科担任から指導を受けるための部屋として設立されている。
成績優秀な俺とは無縁の場所だと思っていたのだがまさかあれくらいで呼ばれることになるとは・・。
なるべくクラスでは目立たないようにしてはいるのだが整った顔立ちと銀色のピアス、そしてこの鮮やかな金髪のせいで注目を浴びる。
こんなことを考えているとついに指導室1へ着いてしまった。
ガラーッ
「し、失礼します・・。」
指導室は黒いソファが二つと透明なテーブル、ポットやティーカップなどが置いてあり、とてもじゃないが指導室と呼ぶのには抵抗があるような部屋だった。
「あっ、四ノ宮くん! 待っててね、今紅茶淹れてるから~。」
「は、はぁ・・。」
とりあえずソファに座った。
上条先生がティーカップを二つもってくる。
「角砂糖は2つで良かったかなぁ?」
「あっ、はい どーも。」
俺はあまり甘いものは好まないのだが折角用意してもらったのに飲まないというのも悪いので紅茶を飲むことにした。
「淹れたてだから気をつけてね。」
先生の忠告も聞かずに・・。
熱々の紅茶をゴクリと飲んだ俺の舌と喉はみるみる熱を帯びて・・。
「熱っ!!」
けほけほと咳をしてティーカップをテーブルに置く。
「四ノ宮くんっ!?」
先生は慌てるように立ち上がった。
「だ、大丈夫ですから・・。」
顔の前に手を出し、大丈夫だという合図をすると先生は座って笑った。
「あはは、もう~熱いって言ったのに・・このせっかち少年め♪」
そして俺の鼻をツンッと指ではじく。
細くて白い指が綺麗だ。
「で・・なんで俺を指導室に・・?」
まだピリピリとした痛みに顔をしかめて俺は聞く。
上条先生は少しニヤりとする。
「授業中、諸星さんとなぁ~にコソコソやってたの?」
「うげっ。」
やっぱりそのことかと焦る。
「うげっとはなによ?言えないようなことでもしてたの?」
テーブルの向い側のソファに座っている先生の顔が少し近づく。
「そんなことないですって! メモが諸星から渡されたんで返しただけですよ。」
「へぇ~・・なんてかいてあったの?」
興味津々というように目を輝かせてくる上条先生。
これは指導といえるのだろうか・・?
まぁ隠すこともないだろうと俺は鞄から諸星に渡されたメモ用紙を出して先生に見せた。
閲覧ありがとうございました。
大人な彼女編はもう少し長くなりそうです(汗