四ノ宮くんと厨二病な彼女
三話です。
一話から見て無い方はそちらからみるのをおすすめします。
結局、昼飯を食い損ねた俺は教室へ向かうべくなんも手をつけてない弁当を片手に階段を降りるのだった。
確か・・5時限目は数学だったな なんて思いながら廊下を歩いていたら誰かとぶつかった。
ドンッ 「っ!?」 俺は倒れなかったが長い赤髪の女がふらついた。
手をのばし女が倒れるのをなんとか阻止した。
誰も廊下にいなかったのが幸いだ。 もし見られてたら厄介なことになるからな・・。
「あっ、おい・・大丈夫か?」
そのまま手を引きよせて尋ねる。
「っ・・・。」
どうやら気絶してるみたいだ。
「し、仕方ない・・。」
俺はもう一度周りを確認するとその女を抱きあげた。
これは俗に言うお姫様だっこってやつだ。
保健室に行くとちょうど保険医はいなかったので俺は先ほどぶつかった赤い髪の女をベッドへと寝かせた。
よくあるマンガなんかじゃおいしい展開なんだろうけど俺にはそういった趣味は無い。
それにしても・・こんな綺麗な赤髪の女は見たことが無いな・・。
よくよくこの女を見ると左目には黒い眼帯がしてあった。
目に怪我でも負ったのがろうか・・?
制服のリボンの色を見る限り、1年生だということがわかった。
ちなみに3年は青、2年は赤、一年は緑だ。
此処の保健室はベッドが3つあり、色々な応急処置の道具や薬品が棚に並んでいる。
それらを眺めていると女が目を覚ました。
「んぅ・・・。」
「あっ・・。」
俺はその光景に目を奪われてしまった。
目をこすりながらあくびをする彼女はなんだか子供みたいで可愛いと思ってしまった。
こんな時なんて言葉をかけたらいいんだろうか。
「お、おはよう・・?」
俺がそう言うと女は静かに言った。
「フフッ・・我は一万年の眠りから覚めた身なり・・。」
「・・・へ?」
な、なんだコイツ!?
「貴様・・名をなんと申す?」
「えっ、名前・・?」
貴様って・・コイツ一年だろ。 俺は一応二つ上の先輩なんだが・・。
「四ノ宮・・響也・・。」
あっけにとられた俺を無視して彼女は言った。
「私は1-Cの神凪律という・・。さっきは助けてもらったみたいで・・どーも。」
あれか・・? この子はきっと”厨二病”ってやつなんだろうな。
「あぁ・・別にたいしたことじゃないし気にしなくていいよ。」
「四ノ宮・・? まさか3-Aで学園中の女子を食い漁っているとかいう四ノ宮か・・!?」
神凪はベッドの白い布団を被りこちらを警戒する。
「えぇ!? な、なんだよその噂!? ってか違う違う!」
俺は顔の前で手をブンブン振り、否定の意を見せる。
キーンコーンカーンコーン。
5時限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「あっ・・授業おわっちまったよ・・。」
またクラスで変な印象付けてしまったと俺はうなだれる。
神凪は布団をバッと取り、走り出した。
「お、おい・・!?」
「また会おう、四ノ宮響也!」
だから俺はあくまで先輩なんだけどなぁ・・。
閲覧ありがとうございました。
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