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2人は2人だけの時間を噛み締めるように無言のまま帰る。
いつのまにか龍人の家の前まできていた。
「……それじゃ。……また明日」静寂を破るように龍人が切り出すが透華は無言のまま俯いたままだ。
「今日……あそこいくんでしょ?」
「…あぁ……まぁね」再び2人の間に静寂が訪れる。
しかし、思わぬ形でその静寂は崩れる。
「あらあら、2人でデートかしら?」何故か嬉しそうな声をあげている人の方を見る。
「か、母さん?何でここに?」
「失礼ね。今日はなんの日か忘れたの?」何をいっているかはわかっている。
「もう少ししたらいこうと思ってたよ。だから気にしなくていいよ」今日は倉木家にとって大事な日であった。