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「おっ。朝から夫婦で登校かい?お熱いね〜」このかる口を叩いているのは僕の親友、山中司である。
「おい龍人。俺に透華ちゃんちょーだい」とても自己紹介が遅れたが、この物語の主人公?の僕の名前は倉木龍人だ。
「嫌だね。というか聞く人を間違ってないかい?」なぁといいながら隣を見る。
「そ、そうだよ。それにもう私は龍人君のものだもん」さらりと爆弾発言をすると一拍おき
「冗、冗談だよ。そんな目で見ないでよ」嬉しそうな、悲しそうなどちらとも言えない顔をしながら僕と司を見る。
こんな空気のまま暫く歩いていると同じ制服を着た女の子がキョロキョロしていた。
「あれ、何だろう?待ち人探し?」
司はおもちゃを見つけたような顔をしている。
「いや、違うんじゃないかな。なんか道に迷ってるみたいだよ?どうする龍人君?」
「一回素通りしてみよう」2人はえっ?という顔をしていたが龍人の指示にしたがった。
そしてそのまま素通りしようとすると案の定声をかけられた。
「あの〜。すいません。来龍学園にはどのように行けばいいんでしょうか?」やはり道迷っていたようだ。
「これから僕たちも来龍学園へ行くので一緒にどうですか?」努めて明るく話すと先程までの緊張の面持ちとは別に柔らかい顔をしていた。
「あ、ありがとうございます。えと、わ、私の名前は鉄 優子です。よろしくお願いします。」
「ん?鉄?ってもしかしてあの有名企業の?」そんなはずないよなと思いながら恐る恐る司が聞くと
「はい、そうです。社長の娘です。」
「「え〜〜〜〜」」本当に驚いていた。あいつを除き。
「ほらほらあとちょっとでつくよ。」名前がどうしたといった様子の龍人の一言で改めて前を向く。
そして僕たちは来龍学園の門をくぐる。