3-9
オリエンテーションがいつのまにか終わってから約1ヶ月が経過した。
オリエンテーションの残りは酷いものだった。
例えば、二日目のスキューバーダイビングではいきなり足がつり溺れかけ、その後のバーベキューはやることができなかった。
三日目の町の散策では、思ったよりも金額が高く財布との相談が絶え間なく続いたこと。
そして一番酷かったのは、飛行機に乗る時間を間違えていてあと少し遅れていたら、学校に帰ることが出来なかった。
「はぁ…最近いいこと無いな…」なぜか最近、運がものすごく下がっている気がする。この前だって何も無いところで転んだり、階段から落下したりしていた。
「僕って不幸の星の元に産まれた人間なのかな…」すると後ろから突然声をかけられた。
「何言ってるのよ。そんなことあるわけ無いでしょ!」愛莉にそんなことをはっきりといわれ、少なからずうな垂れてしまう。
やっぱり不幸の星の元にうまれたのだろうか。
いや、そんなことは無い。きっとない。あるわけが無い。
そう自分に言い聞かせていなければきっと自分は壊れてしまう…と思う。
「おーい、龍人!遊びに行こうぜ」はぁ…やっぱり不幸だ。司が元気よく手を振りながらこちらへ歩み寄ってくる。
「龍人。新しく近くにできたハンバーガーショップに行こうぜ」はっきり言って嫌だ。なぜなら、先程も言ったが最近は全く付いていないからだ。
仕方無く司に付き合うことにし、学校を後にする。
あること数分、目的地である、ハンバーガーショップへと到着した。しかし、ハンバーガーショップなのに、ここまで大きくする必要があるのかと思う。それくらい新しく出来たハンバーガーショップは大きかった
「いらっちゃ…いませ。…いらっしゃいませ。ごちゅうみょ…ご注文は何にいたち…いたしますか?」あ、噛んだ。ものすごい噛んだ。ふと、隣を見てみるととても嬉しそうな顔をしている司の姿が…あぁ友達やめたい。
「えーと、ハンバーガーセットを一個お願いします。ジュースはコーラで」わかりましたと可愛い声で対応をされ、思わず微笑んでしまう。
ハンバーガーを貰い、適当に空いていた席に着いたとたんに司が口を開く。
「そういえばさ、龍人って彼女とか作らないの?あんまり言いたくないけど、結構いい顔してるじゃん」彼女か…欲しいとは多少思うが、そこまででもない。
「いや…いらないってわけじゃないけど今は必要ないかな」司はなぜか僕の一言で何かのスイッチが入ってしまったようで、マシンガントークを始める。
「いいか龍人、俺は彼女が…いや、女の子がいなければこの世に俺はいる必要がないと思っている。…言い過ぎだって?馬鹿にしてるのか?この世のすべては女の子のためにあるような物じゃないか。女がいてこその女の子…そうは思わないのか?…思わない…だと!龍人はま、まさかそっちの趣味があるのか…あ、ないか…なら、なぜ彼女は必要ないんだ?」一息でここまで話すと休憩のために僕にはなしを振ってきた。
「僕は絶対に彼女が必要ないと言ったわけじゃない。でも…でもだよ、今はやりたいこととか色々あるじゃないか。それなのに無理に彼女を作らなくてもいいんじゃないかって僕は思うんだよ」僕も負けじと早口で言い返すと司は少し怯んだように、口を噤む。
「わ、わかったよ…だけど、龍人、もし龍人に彼女ができた暁には龍人がホモだって言いふらしてやるからな…」やめてくれ。と思いつつも仕方なくこの話に乗り無理やりこの話を終わらせた。