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龍人が提案してからはや5分。かなり慌てていた彼女たちも落ち着きを取り戻していた。
「そろそろ行こうと思うけどいいかな?」彼女たちを見るとやや疲れているようだが、力強く頷き肯定の意を示す。
あれからどれくらい歩いただろうか……実はそんなに歩いていないが。
しかしなんだかさっきから同じ場所ばかり歩いている気がする。彼女たちもかなり疲れているようだが諦めずに歩を重ねていく。
「龍人君…はぁ…なんか声聞こえない?」聞き耳をたて静かに周りを観察してみるが声はしない。
「−−い−−おーい!龍人ー!」そしてその声ははっきりと聞こえた。そこには嬉しそうに手を振る司の姿があった。
「龍人。心配したんだぞ!探してもどこにもいないし…他の人に聞いても知らないって言うし」心底安心している司を見て龍人は安心した。彼女たちを傷つけることがなく。
「透華…みんな大丈夫か?怪我…とかしてないよな?」彼女たちを一通り見るとやつれた感じはあるが、怪我はしていないようだった。
その後司の案内のもとクラスのみんながいる場所まで戻り、一休みをし獲得したものの調理を始める。
「龍人君、今日どうする?私作ろっか?」透華はいつも龍人の料理を始め、家事全般がうまいので全く心配などはない。
しかし、透華がいない日などは自分で自炊をする龍人は料理自体はあまり嫌いではなかった。
「いや、僕も作るよ。と言うか普通はみんなでとってきたものをみんなで料理をするんじゃない?」すっかり忘れていたのか軽い声をあげ、顔を赤らめていた。その後みんなで料理をつくり、カレーもどきを食べていた。
「それにしても優子は何となくわかってたけど、愛梨が料理できないとは思ってなかったよ。……睨むなって…すいません」
「私はともかくってなんですか?怒りますよ?」顔は笑っているのだが目が笑っていない。内心『怒ってるだろ!』と突っ込む。
「なんかいった?」視線がひどく突き刺さる。
「すいませんでした。僕が悪かったです」
とりあえず謝りその場をやり過ごした。