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「えっ?龍君彼女いたの?」あからさまに驚いた顔をし、少しずつ詰め寄るように顔を近づける。
「い、居ますよ、彼女くらい…」自分の嘘がバレるのではと思いながらも、彼女がいるということをアピールする。しかし、紗絵はまじまじと龍人の顔を見てポツリと言葉を漏らす。
「なんでいつもうまくいかないのかな……」あまりにも小さい声で、少しでも違うことをしていれば耳には決して入らない言葉であった。龍人もまた然り。その小さい声は届いていなかった。
「ねぇねぇ、彼女って誰なの?名前は?」白長がどんどん食いついてくるのに対し龍人は、少なからず抵抗はしていたが無力であった。
「えーと…幼馴染みの桜山 透華って言う子なんですけど……」
「透華ってあのすごい美人な子?」
「えぇ、まぁ、はい。」美人と言う言葉を肯定するのはいささかくすぐたかったが、否定もできなかった。
透華は、中学の頃に男子から多大な人気を集めていた。一番すごかったのが、1日で6人の男子から告白をされると言う伝説を持つものでもあった。
肯定をしたあとにチャイムがなり、龍人は急いで教室へと向かった。
授業が終わると、透華に呼ばれ2人並んで帰る。
「今日なんで紗絵さんのとこいったの?」なにも話さずに帰っていたのでいきなりのその質問には少なからず動揺していた。
「紗絵さんとは1年くらい会ってなかったんだから、な、いいだろ?」お願いします。と、両手を合わせて懇願していると透華が笑い何故か許してもらった。
……あとが怖いな。