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「……て…さい」
「起きてください」
寝ぼけた目を半分開く。するとそこには、きれいな顔をした美少女が僕の体を揺すっていた。
「学校に行く時間ですよ。そろそろ起きて準備してください」何回も起こされているので仕方なく起きて
「わかったよ。今から着替えるから出ていってくれないか?」ベッドから立ち上がりズボンに手をかけると少し顔を赤くしながら部屋を出ていく。
そして、着替えが終わり顔を洗いリビングへ行く。
「朝ご飯が出来ているので早く食べてくださいね」テーブルの上には色とりどりのサラダと食パン、ブラックコーヒーがあった。
「ありがとう。いつも言ってるけど透華、別に毎朝作らなくてもいいんだぞ」毎回言っていることを今日も伝える。少し悲しそうな、寂しそうな顔をしてから
「気にしないでください。お母さんにもよろしくと言われているので」
「あぁ…母さんがね…」僕の母は、生物学者の研究者で今はアフリカで象の生態調査なんかをしている。ちなみに父も同じ生物学者の研究者で今は北極でホッキョクグマの生態調査をしに行っているのだ。
「とりあえず早く食べちゃってくださいね」そう言うと僕が食べ終えるまでテレビを見ていた。食事を終えると透華に声をかける。
その後家に鍵をかけ、学校へと向かう。
僕たちの通う学校の名前は私立来龍学園である。
来龍学園は生徒人数約900人の大規模な学校であり、またここら一帯では、学力、スポーツ共にトップレベルの学園であった。