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昼食を終えた龍人に眠気が急に襲いかかり必死に堪えようとするが、耐えきれず意識を手放す。
体が唐突に揺れ動くのに従い、脳も同士に揺れる。
「起きろ龍人!もう放課後だぞ。ったく何時間寝ればいいんだよ…」あきれたような顔と声で龍人を起こしたのは司であった。
「早く起きろって。理科準備室いくんだろ?」忘れていた。今日の放課後はラブレターに書いていた通り理科準備室へいく予定であった。
「あれ?透華は?」教室の中を一望するが龍人と司以外の人間は存在せず、2人の会話が教室中にこだまする。
「帰ったよ。なんか泣きそうな顔してたな」しみじみと思い出すような仕草をしながら喋る司に対し龍人は、苦笑いを返すだけでっあった。
理科準備室。
そこは薬品と標本が織り成す独特の世界。
意を決した龍人はノックをし理科準備室の扉を開く。そこには昨日、新入生代表として講堂の壇上に上がっていた翠蓮寺 曜子であった。
「結構遅かったですね。帰ったのかと思いましたよ。でも、来てくれてありがとうございます」礼儀正しくきっちりと45°に曲げられた背筋についついこちらも返さなくてはならない気がした龍人は急いで礼を返す。
少しの重たい空気が理科準備室を支配する。
「いや、いいよ。気にしないで。それで、話って何?」突如として話を切り出した龍人に対し、微笑みを返す。