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「……君…て…さい」
「龍人君、起きてください!」なんか二回目だな。と、龍人はデジャブを感じながら、優しい女の声に包まれながら起きる。
「…おはよう…。眠い…」実は昨日、母親が父親のことを思いだし2時までその相手をしていたのだ。
「ダメですよ!朝食出来てるので早く来てくださいね」こうしていると何故か新婚夫婦みたいで良いなと思いながらベッドから出る。着替えをし、顔を洗うとリビングへ行く。
「早く食べないと遅刻しますよ」少し怒ったような口調であったが、なぜか可愛いと感じてしまう龍人であった。
……ふと時計を確認してみる。
8:00、8時。
「あと30分か。余裕だな」家から学校までは10分足らずでつくのであまり焦らない。
それから5分後…
「よし行くか透華」明るく話しかけるとちょっと待ってと言われる。
「はい、これ」手渡されたのは愛妻弁当…違うか。幼馴染み弁当であった。
小さいときからずっと料理をしてきた透華の料理はとても美味しく、称賛に値するほどである。
「あ、ありがとう…。じゃ、行きますか」再度同じことをしゃべると、今度は透華も明るく頷いてくれた。