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すぅちゃんの1日 そのはちじゅう

「なぁ、おい、頼むよ~、加護持ちなんだろ? ちょっと、ちょっとだけでいいからよ、手伝ってくれるだけで良いんだよ、なぁ~頼むよ~」


 猫なで声の気色悪い音が耳に届いたと思えばどうやら上級生の一人の様だ。

 絡まれているのはアルフロッド、どうやら傍にスオウがいない所を見計らったのだろう、困った顔をしながら応対しているのが見える。


 しかしまぁ、アレだけの力を見せておいても近づく輩が居るのだから救いようが無いと言うべきか、それとも上手く利用しようと考える自身の力量の把握力の無さを露呈したいのか、どちらにせよ面倒事には変わらないだろう。


「あの、先輩。試験は実力でやんねぇと後で後悔する事に……」

「だからよぉ~、そりゃわかってっけどよ? でもさー、ちっと怪我しちまってよぉ~、だからちょいと助力だけしてくれりゃいいんだよ、な、な? 頼むよー」

「う、うーん、だけどよ……」

「大丈夫だって、ちょいと手伝ってくれるだけでいいからよ。勿論重要なところは俺がやっから--「それ以上は加護持ちの個人における国家戦力級無断使用として上に申告しますが宜しいですか? どこぞの貴族様か知りませんが、リリス皇女から話が行くとどうなりますかね?」--てめぇ……!」


 あぁ、面倒な。自身がやっている事を理解していない。自分の立場を悪くするだけだというのに、それも貴族の人間が此処まで認識不足であるとは救えない。カナディルは本当に大丈夫なのだろうか。


「てめぇらこそ加護持ちを独占してんじゃねぇのか? あぁっ? あの男の成績だって加護持ち様のご協力があってこそのもんだろうが! このクソ女がいい気になってんじゃねぇぞ、犯されたぎぇっ--!


 苦悶の声と共にゴン、と男が一人宙を舞う、その状況にぽかんと口を開いたままのアルフロッド、そしてため息を付いたスゥイ。横には足を前に出して満面の笑みを浮かべたスオウが立っていた。

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