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すぅちゃんの1日 そのななじゅうはち
時偶怖くなる事が有る、自身の記憶が夢幻に過ぎず、本来の”スオウ・フォールス”に成り代わる、いや戻ってしまうという事があり得るのではないかと。
自身の記憶が何故継承され、なぜこのような世界に存在し、そして生きているのか。
まるで真綿の上を歩く様な、ふわふわと不安定なこの自身を恐ろしく感じる事が有る。
震える体を抱きしめて、強く腕を掴み、噛み締める口からは僅かに血がこぼれ落ちる。
寒いのだ、この世界に一人だけだというこの状況が寒いのだ。
俺は、スゥイを国を相手にしてでも欲しがったのは、恩を着せたかったからではないだろうか。
そこまですれば彼女は俺を裏切らないだろうと少しでも思わなかっただろうか。
彼女こそが唯一無二の俺の味方で居る事をどこかで望んでいなかっただろうか。
彼女が俺に依存している事をどこかで喜んでいなかっただろうか。
いびつである事を、それを心の拠り所にしていなかっただろうか。
果たして俺は、彼女の為に、彼女を救ったのだろうか。
それとも、ただ、ただ俺の為だけに……。