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すぅちゃんの1日 そのななじゅう

 積上る巨塔、それはまさに難敵であり、最強の刺客。

 誰もが見上げ、そして誰もが挫折して行く、それはまさに人生の黒星の一つ。

 だが、それでも挑まなくてはならない、それこそが彼らの使命。


「悲壮な覚悟をしている所申し訳有りませんが、私は3個でいいですからね」

「そう言うなスゥイ、アルフもライラもたんと食え」

「いや、あのな……、さすがの俺もこんだけは食えないんだが……」

「スオウ君、なんでこんなにコロッケを……」


 ライラが見上げたその先には大皿に積み上げられたコロッケ、そして各種料理が並べられていた。


「よく食べよく寝るのが成長の秘訣だぞ」

「品種改良が上手くいったお礼で貰ったそうですよ、ただ量が多すぎてしばらくはじゃがいも料理が並びますね。私は3個でいいですからね」

「……くそう、ありがた迷惑と言う言葉をしらんのか……! 腐らせる訳にもいかんだろう!」


 ぎり、と握りしめた腕、目は僅かに潤んでいる気もする。

 品種改良は年間単位での試行錯誤が必要であり、なおかつ失敗した場合その年の収入は殆ど無い、とも言っても良いある意味博打とも言える実験に付き合ってくれた農家の人のご好意を断れなかったのがそもそもの原因である。


「お裾分けすればよかったんじゃないの?」

「……分けた後だ」

「……」

「……」

「……」


 スオウの料理スキルがアップした。

 スオウのじゃがいも料理のレシピ量が増大した。

 スオウのじゃがいもに対するトラウマが植え付けられた。

 しばらくスゥイに冷たい目で見られた。


 今日も一日平和です。

 


こっち戻って来てあらためて思ったけど、日本人って料理に凄いこだわっているよね。


ちなみに残りすぎた分は学院の食堂へ寄付されました。

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