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すぅちゃんの1日 そのごじゅう(深遠の夢)
「スオウ、貴方は偶にとても優しいですね」
一日が終わる、月が昇る、二つの月が、追われ、追われて抜いていく。
「偶にとは失礼だな。礼儀礼節は守っていると思うがね」
「そう言う事ではないのですが、ね。時折、貴方が父親の様に思えることがあります」
父親を父親と認められない私にとっては、理想とする父親の様に。
「それは酷いな、これでも一応同い年のつもりなんだが」
「ええ、知っています。ですから時折ですよ」
それに温もりを、暖かさを、心地よさを感じている。
「そういえば実家から新しい菓子が送られて来ていたな、食べるか?」
「それは、是非に」
あなたは優しく包む、私を、私達を。それを知らなかった私にはそれを敏感に感じ取る。
「……どうした?」
「はい? なにかありましたか?」
そして……。
「なんかあったのか? いつもと違うぞ?」
「そうでしょうか? 講義が多かったですからね。多少疲れているのかもしれません」
ライラにも気が付かぬ私の変化を読み取れる貴方は、いったい何者なのでしょう。