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死にたい夏と死にたくない冬  作者: 蓮那


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第一章:清水夏

 世の中は不平等で腐敗した世界だ。

 だから期待せず、波風たてず見て見ぬふりして生きていこう。どうせ主役にはなれないのだから。

 僕はこの言葉をモットーにいつ死のうかを考えながら生きている。

しかし、同時にこの言葉を胸にしまいながら生きている自分に嫌気がさす。

でもいつだって、人生とやらは残酷で、いつまでたっても人生は好転しないのだ。

 僕が死にたいなと思うようになったのはいつからだろう。確か、明確な希死念慮を抱いたのは中学生のころだったと思う。

中学校ではいわゆる一軍と言われる集団にクラスを牛耳られ、いつもその一軍の思い通りにクラスの決定ごとが決められていた。

僕はただただその一軍の気分を害さないようにすべての意見に同意しながら教室の隅の方で好きでもない本を読みながら毎日をやり過ごしていた。

クラスの担任は一軍グループのおかげでクラスがまとまってありがたいと言っていた。

その時に僕は悟った。あー、先生はきっと学生時代を日向が当たる方で過ごしてきた人なんだろうな、きっと日陰の気持ちとかわかんないんだろうな、と。

多分そのころからだと思う。世の中って傲慢な人と鈍感な人に有利な世界なんだなって、調和を乱さないように静かに頑張っている人にはスッポトライトは当たらないんだなって、人に期待しても無駄なだけなんだなと悟ったのは。

でもどこかで信じられる人を求めている自分もいて、その希望を渇望している自分がいる。

そんな矛盾した感情に支配されるから死にたくて仕方なくなる。

このころから毎日ネットで自殺方法を調べてはいつ実行しようか考えながら眠りにつく生活を続けていた。

そして、高校三年生になった今でもその癖は治っていない。

変化があったとするなら自殺未遂をした人の動画を見ながら自殺したい衝動を何とか抑えだしているくらいだろうか。

今日もまだ生きてるな、僕はいつになったら死ねるのだろうか、と思いながら日課のリストカットをした。

もう何度切ったかわからない傷だらけの腕に刃を入れていく。

刃を入れてすぐに血がにじみ出てくる。リストカットをすると痛みに気をとられて、嫌だったことを一瞬忘れられるのだ。

その一瞬を求めて切っている。そして、痛みで生きてる安心感を得るのだ。なんとも矛盾している。

そしてリスカの跡を見ながら自分の痛みを再確認している。

そんな日々を繰り返していたある日、学校で進路希望の紙を配られた。

高校三年生は進路を決めなきゃいけない。でも、自分は将来の夢もやりたいこともないし、勉強も人間も嫌い。

そんなことを頭の中でぐるぐると考え続けていくうちに一気に先が真っ暗になる感覚に襲われた。

そして今日はなぜか死ねる気がしたのだ。死ぬのが怖いという感覚がまったくなくなっていて、まさに無双状態ってやつだった。

気が付くと古びたビルの屋上に立っていた。とても高い場所だった。でもそこから見える夜空は星がよく見えて人生で一番きれいだった。

こんな素敵な夜に自分が長年したかったことが出来る。やっとこの世界から消えることが出来る。と達成感と安堵の気持ちだった。

そして、夜空の星を見ながら『こんな腐った世の中でも星はきれいでむかつく。』と自分に素直になれないひねくれた言葉を言い放ち、ビルの屋上から飛び降りた。


つづく、、、。

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