反論エッセイに反論が来た! 嬉しい!! でも、微妙に釈然としないところがあったんで、こっちにも反論してみた
皆さんこんにちは。エッセイ大好き!鶴舞麟太郎です。
『小説家になろうを全作家に公平に! 偏見をやめろ!』というエッセイが投下されてから10日近くが過ぎました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、問題のエッセイ、かなり強引な主張であるにも関わらず、それなりの支持を集め、日間は元より週間ランキングでもジャンル別1位を獲得しておりました。その状況を流石に黙っておられず、反論エッセイを投下したところ、ちょっとした、“祭”状態になってしまいました。
件のエッセイの著者氏、感想欄で正論の指摘をされても、全く意志を曲げない強硬な方でした。ですから、きっとこちらの感想欄でレスバを挑んでくるか、再反論を投稿してくるかするだろう。そう、身構えていたんです。
ところが、件の著者氏、10月8日にあえなく強制退会になってしまいました。どうやら、彼(彼女?)、禁止事項である複数アカウントを駆使して、レビューをあげたり評価を付けたりしていたようです。『公平』を求める方が、『不正』をしていたという、もう笑うしかないようなお話でした。
(※その辺りの事情はこちらを読めば片鱗を掴むことが出来ますので、御参考までに『あるエッセイのレビューが不自然きわまりないという告発。【N3661LE 著:告発者K】』)
さて、「今回の件もこれで終わりかな?」と、ちょっと安堵していたところ、10月9日の夜になって、思ってもみない方向から、反論がやってきたではありませんか!
はっきり言いましょう。嬉しかったです。やっぱり、エッセイジャンルの活性化のためには、このような反応がないといけません。……いけません、よね?
ちなみに、新たな反論の趣旨は、以下のような物でした。
「現在の『小説家になろう』のランキングは、作品の文字数による投票コストを無視して一律に扱うため、短編作品が有利になる仕組みとなっている。これは、小学校の徒競走で低学年と高学年が一緒にレースを行うようなもので、真の『機会の公平性』が担保されていない。現行のランキングは、言わば“悪平等”である」
作者の強制退会で削除された『~偏見をやめろ!』は、内容に九分九厘同意できませんでしたので、読めば読むほどモヤモヤしたものです。
では、今回の反論を読んだ感想は? と言いますと……。
「一理ある!」でした。
例えば、エッセイ中に下記のような記述があります。
『1万字の短編を読もうとも、100万字の大長編を読もうとも等しく12ptまでしか投票はできません。読者が投票するのに必要な時間が全然違うはずなのにもです。』
今回の著者様は、時折御意見をエッセイに認めていらっしゃいますが、基本は読み専です。ですから、内容も読者目線での記述になっています。でも、これ、実は、作者側も全く同じことを考えるんです。
え? 誰がそんなことを考えるのか、ですって? もちろん、私が、ですよ()
300話近く、80万字以上書いた自分の代表作。歴史事実とか調べながらじゃないと書けないんで、おっそろしく時間をかけて書いてるその代表作。数年間かけて積み上げた、私の血と汗の結晶です。
そんな代表作についた貴重な評価。その7割を1万字前後の異世界恋愛短編が1日で稼ぎ出していく。そんなのを見たら、だれでも一度は「理不尽だ!」って思いになりますよ?
と、こんな具合で、反論への反論エッセイ。私には、共感できる点が多々ありました。
でも、評価はしてないです。作者の業として共感できる点は多々あったので、迷いましたが、拭いきれない違和感も幾つかあるんですよね。
※実際、現状であんまり評価が伸びてないところを見ると、同じような感想をもたれた方が多いのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、ここから、反論をしていきたいと思います。
まず、「100万字の長編と1万字の短編が同じポイントしか得られないのは、書いた労力に鑑みて不公平だ」という部分です。これは、労働の対価としての“公平性”を求める視点であり、ランキングの本来の趣旨とはズレているような気がします。
だって、『小説家になろう』のランキングは、あくまで読者がどれだけその作品に魅力を感じたかを示すものであって、元来『作品の完成度』や『作者の努力量』に対して報酬を与える仕組みではありませんよね。私はそこに引っかかりを覚えました。
なお、話は少しずれますが、『報酬』という点に関しては、新たに始まる『なろうチアーズシステム』がそれを補ってくれるのではないかと思っています。特に、連載メインの方への大きな追い風になるのではないかと。
中には「AI作品や1話の字数を減らした連載が増えるのでは?」という危惧の声も見えますが、既に『カ〇ヨム』や『〇ルファポリス』等、先行事例がたくさんあるわけで、それらがAI作品や1話の字数を減らした連載で溢れていないところを見ると、それほど心配する必要はないように感じています。
話を戻します。これ、読む方も書く方も一緒ですが、『時間をかけた作品』=『良い作品』とは限らないですよね?
例え、読者が100万字を読んでも「面白くなかった」と感じたら、それはその作品の魅力が足りなかっただけですし、数千字でも強い感動を与える作品はあるでしょう(※長く書けば書くほど評価が付くのなら、長編書きである私の立場としては嬉しいですけどね)。
ですから、ランキングは『文字数の多さ』じゃなくて、『読後の満足度』が示されるべきで、その点で、今の一律12pt制は、とても合理的なんじゃないでしょうか?
ついでに『公平』って観点で言えば、どの作品も、みんな同じポイントに統一されているのは、『評価としての公平性』が担保されているって証なんじゃないかと私は思うんです。
次に、この著者様が、具体的にどのような評価システムを想定しているのかは、私には分かりませんでした。しかし、現行のような投票上限がなければ、長編読者が1作品に延々とポイントを入れ、逆にランキングが偏る可能性も出てきませんか?
例えば、仮に『1万字につき12ptの投票権が与えられる』ってシステムにしたら、『100万字の作品には1人1,200pt投票できる』ってことになります。こうなったら、ある程度の字数がある長編作品は、読者の『集中票』を得て、ランキング上位を独占することになるでしょう。
労働の対価としては、これが平等かもしれません。しかし、その反面、ランキングは間違いなく固定化し、新規・短編・実験作が日の目を見る機会は極限まで減りそうです。
こうなれば、読者は、毎日ほぼ変わらないランキングを見続けることになるわけですが、このような投稿サイトに、新規投稿者は集まりますか? そして、作者が集まらなければ、読者も離れていきませんか?
ですから、ポイント上限が設けられていることは「人気の偏りを抑え、常に新たな作者と読者を呼び寄せている」と、言うことも出来るかと思うのです。
そして、徒競走の例です。これは直感的に非常に理解しやすかったのですが、創作物における『短い』『長い』という物理的な違いと、『低学年』『高学年』のような身体的な能力差とは、ちょっと性質が違うように感じました。
確かに日間総合ランキングでは、圧倒的に短編(※中編を含む)が有利ですので、「『低学年=長編』が『高学年=短編』に敵わない」とする件のエッセイの例えは正しいように感じます。でも、同じ『なろう』のランキングでも、これが累計ランキングになればどうでしょう?
短編が強い日間総合ランキング。とは言え、今、調べたら、連載作品も50作以上はランクインしていました。それに対し累計ランキングでは、300位以内に短編作品はゼロ。圧倒的に長編有利です。
私は、作品を長くするか短くするかは作者の戦略だと思います。短く端的にまとめたいなら短編にすればいいし、じっくりと読んでもらいたいなら長編にすれば良い。それだけの話です。
低学年と高学年の徒競走は間違いなく“悪平等”でしょう。しかし、小学生の徒競走と、短編と長編の関係は違います。長編には月間以上の長期ランキングといった有利な土俵もありますし、そもそも、構成や工夫でいくらでも勝負できる余地があるはずです。日間総合ランキング中の1/6以上が連載作品なのは、その証拠とは言えませんか?
ついでに言うならば、今回の反論を書かれた方は、ランキングの視点が『日間総合』に偏っているようにも感じました。
先ほども触れましたが、日間総合ランキングは短編有利です。しかし、現在表紙に現れるランキングは、『週間ランキング』(※カスタム可)の『連載中』と『短編』です。
作者は(ランクインしていれば)毎日『ランクイン通知』が届きますので、自作のランクは否応なしに認識させられます。ですが、読者は違います。そんな通知はありませんから、週間以外のランキングを知りたくなれば、自分から調べる必要があるのです。
と、いうことは、言い換えると「『日間総合ランキング』を見ている人は、自分の意志でランキングページに入っている」とも言えます。
で、です。現在のランキング、スマホとPCで見え方はちょっと違いますが、ページに入ってすぐの場所には、『日間総合』から順番にランキングの5位までが掲載されています。6位以下を見る場合、『もっと見る』をクリックする必要があるわけです。が、そこで現れる現在のランキングは『連載中』『完結済』『短編』『すべて』をワンクリックで選択できるようになっていますよね?
「『短編』が嫌なら、『連載中』『完結済』を選べばいいんじゃね? 既に『ランキング』→『もっと見る』って2クリックしてるのに、なんであと一手間を惜しむの?」
私は、こう思っちゃったんです。
また、短い字数が嫌なら、検索設定で字数制限をかけてやれば、自動的に短編作品は除外してくれます。こんなの何年も前からシステムに実装されてるわけで、専門的な知識は一切必要ありません。
作者の立場として自分の作品が目立たない事への恨み辛みを訴える気持ちは、マイナージャンルの作家である私にもよーく分かるんです。でも、読者の立場でランキングに長編が出てこないって訴えるのは、「なんだかなぁ……」って気持ちが湧いてきます。読者様に失礼だとは思いますが、「もうワンクリックなんだからさ、そのぐらいしようよ……」って感じですね。
おそらく、今回の著者様の提案を採用すれば、おそらく『なろう』の短編偏重の状況は大きく変わると思います。しかし、間違いなく逆の不公平感が出る上、サイト自体の閉塞感も高まることでしょう。また、必ず過去に付与されたポイントの扱いについても問題になるはずです。
それに、運営サイドとしても、読者の感じる不満に手をこまねいてきたわけではありません。実際、表紙に出るのが日間ランキングから週間ランキングに変わり、『短編』と『連載中』を分けて表示するようになったではありませんか。
さっきも触れた、ワンクリックで『連載中』や『完結済』のランキングを掲示できるようになったこと、連載作のユニークPVに焦点を当てた『注目度ランキング』の創設もその表れでしょう。
確かに、現在のランキングシステムには、“悪平等”と感じられる部分があるかもしれません。しかし、変革によって新たな“不平等”が生まれるのなら、現在の“悪平等”を継続する方が、まだベターなのではないかと私は愚考いたします。
では、御約束でいつものヤツを。
本作に対して言いたいことがある方! 200字以上の感想を書くんだったら、その思いをエッセイにぶつけてはみませんか? どうせ感想欄にいっぱい書いたって、ほとんど誰も読んでくれません。あなたの素晴らしい主張をたくさんの方に読んでもらおうではありませんか!!
なお、私、新着短編エッセイに関しては全て目を通しておりますので、書いていただければ必ず読みに行きます。
反論・擁護エッセイお待ちしてます!