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初片思い  作者: maro
6/8

この気持ちの名前

その日はモヤモヤが消えず、夜も寝付けずにいると、スマホの着信音がなった。ゆりだ。

『 もしもし、ゆり?』

『そだよ!あの後、無事帰れた?てか、高木先輩とどうなったの?』

『どうなるも何も、ただ送ってもらっただけだし』

『ふーん、それは自分の気持ちに気づいてて言ってる?それとも、まだ分からない?』

『自分の気持ち?急に意味わからないこと言わないでよ』

ゆりはここ最近、このような質問や、高木先輩についてよく聞いてくる。

『朱里、私ね、彼氏のこと、いつもふとした時に考えたりね、彼がほかの人と話してたら胸がモヤモヤしてヤキモチ妬いちゃうの』

『なんでそんなこと私に…』

途中まで言って気づいた。今もゆりの話を聞いて思い浮かぶのは高木先輩だ。

『私、最近高木先輩のことばっかり考えちゃって、どこにいても高木先輩を探してる』

『うん』

『高木先輩が今も元カノのことが好きって考えると胸がキュって痛くなるの』

『うん』

『これは恋なのかな?』

『朱里は先輩のことが好き?』

『…』

(先輩のことが好き)

この感情の名前は恋だった。そう気づくと頬があっという間に赤くなっていくのを感じた。

(なんだろう、これ、すごく恥ずかしい…でも…)

『ゆり、ありがとう。気づかせてくれて』

『私は朱里の味方だから!いつでも相談して』

ゆりのこういうところには、いつも救われている。

『うん、ありがとう』

そのあとはよく覚えていない。胸の高まりが収まらなくて、気がついたら朝になっていた。

(私は先輩が好き。だけど先輩は?私の事なんてただの後輩だとしか思ってないし…きっとまだ西条先輩のこと…)

初恋は実らない、誰がそんなこと言い出したのだろうか。そういう言葉のせいで余計に自信が無くなる。だけどあの時見た、西条先輩の後ろ姿を見つめる高木先輩のように真っ直ぐに高木先輩を見つめていたい。思い返せばあれは一目惚れに近い。あの先輩の瞳を今も鮮明に覚えている。私もあんなふうに先輩に見つめてもらえるよう頑張らなければ!モタモタしてるうちに取られてしまうかも、ヨリを戻してしまうかも!そうなる前に!

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