無自覚
「って言うことがあってね。だから先輩とはなんともないの!」
1連の出来事を話終え、ゆりの方を見ると何故かニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「え!気持ち悪い…なんでニヤニヤしてるの…」
「えー、だって朱里が普段しないような顔で先輩の話するから」
「何それ…」
「自覚なしか〜、まぁお詫びもされたんだし、これからは先輩と関わることも無いね」
確かに、元々知り合いとかでもないし、もう関わることも無いか。自分で考えておきながら胸がモヤモヤしてるのを誤魔化すように、先輩から貰ったお菓子を食べた。
「甘…」
「朱里って甘いの苦手だよね〜!私が代わりに食べよっか?」
そう言って手を伸ばしてくる、ゆりを交わしどうにかお菓子を死守した。
(まぁ、人から貰ったものだし?他の日にあげるのはあまり良くないよね)
それからの1ヶ月はあっという間で、高木先輩との出来事がなかったかのように、いつも通りの日々を過ごした。けれど、何故か無意識に高木先輩を見つけたり、用はないけれど2年の教室の前を通ったり自分でも訳の分からない行動が増えた。ゆりはいつもニヤニヤしながら見てくるし…何なのだろうか。ふと窓の外を見ると、バスケのゲームをしている男子がいて、その中に高木先輩の姿もあった。遠くからのシュートだけでなく、ドリブルやパスも1番上手で、先輩のいるチームの圧勝だった。試合が終わり、仲間達と無邪気に戯れる姿はバスケをしていた時とはまた違っていた。
「…り!朱里!もう、ぼうっとしちゃって!また高木先輩でも見てるの?」
「ゆり!いつから!?」
「さっきから呼んでるのに全然聞いてない!全く…それで行くの?」
「行くって?」
「だから、この間高木先輩が朱里にあげたお菓子が売ってる場所!」
「行く!」
大きな声で思わず返事をしてしまい、恥ずかしくなった。
「意外と美味しくって、また食べたくなっただけだから…で、どこにあるの?」
声を小さくして尋ねた。
「駅から少し行ったところにあるんだって!今日の放課後でいい?」
「了解!」
その後の授業は全く頭に入らず、いつもより授業が長く感じた。




