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第8頁 図書館へLet’s Go!

 あれから2年が経過し、待ちに待った5歳。もう1カ月もしないうちに早い子だと6歳を迎える時期。つまり、もうすぐ小学校へ通わなければならない時期がやってくる。小学校には生憎とぼっちの記憶しかないので、正直行きたくないのだけど、そうもいかない。


 今日はお母様のお仕事のついでに、小学校で必要なものを買いに行く日なのだ。今までロクに外へ出ていなかったので、これはこの世界について知るいい機会なのだけど、外に出る理由が私にとってはまぁそれはあまり良いものではない。


 正直バックれたいのだけど、お母様がそれを許さない。普段はそうでもないけど、一度自分で決めたことは絶対に突き通すタイプだから、幾らごねても意味ないのよね……。それが良いところでもあり悪いところでもあるのだけど。

 

 身支度を終えた私は、部屋を出てお母様の元へ向かう。

 すると、今日は雲雀も一緒なのか、普段着ている燕尾服とは違う恰好をしていた。まぁ、流石に使用人でも外で燕尾服なんて着たら目立つものね……。とはいえ、バリバリ私服というわけでもなく、普段着ている燕尾服を少しアレンジしたものを身に纏っている。やっぱり何着ても顔の良い奴ってのは似合うものなのね……。


「初音も来たことだしそろそろ出ましょうか。紫苑、留守番よろしくね」

「かしこまりました。琴音様」

「それにしても、そんなに行きたくないの? あー、あー、せっかく初音が行きたがってた図書館に連れて行こうと思ってたのに……」


 行きたくないオーラが出てしまっていたようで、お母様が困ったように私の方を見た。だって、小学校には苦い思い出しかないのよ? 自分にとって苦手な場所へ進んでいく馬鹿が何処にいるんだか――って、今何て言った? 図書館? 聞き間違えじゃなきゃ今、図書館って言ったわよね?


「図書館に行くって本当なの? お母様」

「えぇ。代々、うちの家が管理してる図書館にね。あれ? 言ってなかったっけ?」


 いやいや、聞いてないわよそんな情報。てか、先にそのことを言いなさいよ。そんなことなら私も喜んでついて行くってのに。さては図ったわねお母様……。まぁ、図書館に行けるなら何でも良いけど。


「あら、嬉しくなかった?」

「う、嬉しいに決まってる」

「じゃあ、時間もないし早く乗りましょう」

 

 邸の玄関を出て、駐車場へ向かうと一台の高級車が現れた。車が目の前で停車し、運転席から雲雀が出てくる。私とお母様はそれぞれ、雲雀に扉を開けてもらい、後部座席、助手席へ乗り込む。

 

 見た感じ、前世の車とそう変わりない。けど、肝心のハンドルやブレーキが見当たらない。え、どうやって運転するの……?

 

 と、思っていたら、車が勝手に動き出した。そう自動運転だ。よく見ると、雲雀の前にあるグローブボックスのところにキーの差し込み口がある。雲雀は運転席と助手席の間にはホログラムで投影されたマップが浮かんでいる。

 

 これは凄い。この分だと、ガソリンなんかはもう使われていないようね。多分、電気で動いてるのかしら……。

 

 自分のいた時代とは改めて技術がかけ離れてることに目を見開いていると、車はあっという間に住宅街を抜け、透明なトンネルへと入った。

 

 外を眺めていると、遠くの方に高層ビル群が見え、街の中には人だけではなく、機械人形やロボット、荷物を運搬しているのだろう小型ドローンが見えた。空にはジェット機のようなものや飛行船が飛んでおり、皆、高層ビル群のある海上都市に向かって進んでいる。

 

 座席の後ろに組み込まれているホログラムのマップによると、あの海上都市は特区というらしい。そして、私たちの住んでいる邸や今向かっている図書館のある場所が日ノ咲(ひのさき)市というようだ。

 

 そして、日ノ咲市の中央には日ノ咲タワーと呼ばれる電波塔がそびえ立っていた。チラッと海上都市の方を見てみると、そっちにもタワーが立っている。どちらも空に届きそうなぐらいの高さがある。何だろうこれは。電波塔にしては高すぎるわよね……。後で図書館に行ったときにでも、調べてみよう。

 

 それにしても、本当に近未来なのねここは。今までこれと言ってそういう感じはあまりなかったのだけど。やっぱり外に出てみて正解だったわ。外がこんな感じなら、図書館の方はどうなってるのかしらね……。


 早く着いてほしいと足をぷらぷらさせながら、車窓から外の様子を眺めること20分。車は駐車場へ入り、停車。先ほどまで運転席にいた雲雀に扉を開けられ、外へ出る。

 

 数分歩いたところで、目的の建物が見えた。外観は白を基調したレトロな外観で、目視で10階はあるのが分かる。建物の入り口付近には、『桜波(さくらば)図書館』と書かれた石銘板が設置されていた。ということは、ここが目的地で間違いないのだろう。念願の図書館を目にした私は満面の笑みを浮かべるのだった。

 

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