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第6頁 今世の両親と謎のイケメン

 取り敢えず、こうも抱き上げられては何もできないわね……。ここは様子を見るしかないか。けど、そのおかげでだいぶ部屋全体が見渡せるようになったわね。

 

 床をよちよち歩いていた時にはあまり全体像が分からなかったけど、1人部屋にしてはなかなか広い。多分、目視で12畳ぐらいはある。前世の2倍近くはあるというわけか。

 でも、まだここが私の部屋だって決まったわけではないから確証はできないわね。

 

 雰囲気としてはそれなりに豪華な洋館の一室みたいな感じで、セミダブルの天蓋ベッドと小さな丸テーブルに2脚の椅子、勉強机にドレッサーと、基本的には一般家庭と変わらない。んー、明らか女子が使用する部屋よね……。

 

 で、現状を見る限りこんな部屋を使いそうなのは母と私ぐらい。けど、私がここに寝かされていたということはだ。やっぱりここ私の部屋の可能性が高い。加えて、家具がどれも一級品となると、それなりに良いところの家よね。やっぱり私は悪役令嬢にでもなるのかしら。いやでもここが異世界か現実世界かでまた話は変わってくるし……。

 

 おっと。あまりにもキョロキョロしすぎたからか、母と父、イケメンが一斉にこちらを見ている。これはまずい。少しはしゃぎ過ぎたか。愛想笑いを浮かべ、なんとかその場を凌ごうとする。

 

「好奇心旺盛な子だな」

「誰に似たのかしらね~」

「それはやはり律貴(りつき)様ではないでしょうか。一度興味を持ったら、寝食を忘れて熱中してしまう癖がありますからね」

 

 イケメンがそう言えば、父は困ったように笑った。ふぅ~、危ない危ない。これからは怪しまれない程度に自重しないと。自分で言うのも何だけど、まさかこんな可愛らしい赤ちゃんが精神年齢100歳越えのババアだと知ったらドン引かれてしまうもの。いや、本当。

 

 さて、話を戻して、もし仮にここが異世界だとしよう。とすると、私はこのまま行ったら将来良いところのお嬢様にでもなるのだろう。……ん? ちょっと待って、私の平凡で自由な生活はどこに行った? 


 お嬢様なんてしがらみばかりじゃないのよ。礼儀作法とか学ばされて、家を継ぐために勉強とかしないといけないんでしょう? そうなったら、私の自由な時間はなくなる。これじゃあ前前世に逆戻りじゃないのよ。私の凡人生活を返せ駄目神! 


 まぁでも、貧乏な貧民街とかで暮らすよりかは100倍マシか。裕福そうな家で良かった良かった。そこだけは感謝ね。と、急に身体がふわっと浮く感覚に襲われ、気づけばイケメンの腕の中にいた。

 

「あう?」

 

 ……え? ちょっと待って、これは一体どういう状況? てか、結局コイツは誰なのよ!? 助けを求めるようにして、母の方を見る。


「それじゃあ、私たちはこれから会議があるから後は頼んだわね雲雀(ひばり)

「かしこまりました。琴音(ことね)様」


 なるほど、このイケメンは雲雀というのか。で、私の今世の母は琴音というらしい。


 にしても、様付け? それにさっきから雲雀が身に纏っている服はもしや燕尾服……? ということはこの雲雀が執事ってこと!? うわっ、待って私のSAN値がピンチ!


 てか、置いてかないで! 私も連れて行ってよ! 育児放棄よこれ! と、2人に向かって涙目で叫ぶが、今は赤ちゃんなので私の真意は届かず、母と父はそのまま部屋から出ていった。


 恐る恐る雲雀の方を見上げてみたら、それはもうにっこりと微笑んでいた。

 

 ……どうしてくれるのよこの状況。気まずいにも程があるじゃない! この先ちゃんとやっていけるのかしら……。

 

 赤ちゃんなのにもかかわらず、私の胃はキリキリしていた。

 

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