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第14頁 休み時間はやはり図書館へ行くのが通例

 入学してから1週間が経過し、学校生活にも慣れ始めた。先日から定期的に雲雀にネクサスの使い方を教えてもらってからは、授業中に困るようなことも基本的には無くなった。そう基本的に。


「それじゃあ新しく配布した教科書ファイルをダウンロードして、それを見ながら、ノートに板書と大事だと思うところは赤色の文字を打ち込んでいってね」

 

 今みたいに応用みたいなことをさらっと言われたりすると、すぐに対応できなくなってしまう。いや、先生の話は当然ちゃんと聴いているのだけど、どうにもこのボタンって押して良いやつなんだろうかとか、先生の言っているところ自分がそうと思っているところの認識がズレてないだろうかと躊躇してしまうのだ。


 いつまでもうじうじ1人で悩んでいては置いて行かれるので、各教室に技術スタッフとして配置されている機械人形を呼ぶ。すると、人型の機械人形がこちらにやってきて、説明してくれた。こういう制度は便利なのよね。


「また何かあったらいつでも言ってください」

「はーい」


 私に向かって人間に似た声色で喋ると、教室の後ろへ戻っていった。こうして見ると、この学校の機械人形たちは雲雀や紫苑のように人間の容姿を保っていても、少し無機質な面が残っていたりするから機械って分かるのよね……。


 うちの使用人たちがどれだけ優秀な性能をしているのかよく分かるわ。教えてもらってるのにこう言うのは失礼かもだけど、教え方も雲雀や紫苑の方が分かりやすいし。


 

 時折、技術スタッフを呼びながらなんとか4時間目を乗り切って昼休みに突入した。まだ給食の時間は健在で、ふんだんに栄養のある食事が提供されている。味もあまり変わっておらず、名家というだけあって普段から良いものを食べさせてもらってるこっちとしては、こういう庶民的な食べ物は懐かしく感じる。

 

 給食を堪能した後はみんなお待ちかねの昼休み。クラスの大半の人は友達とグラウンドで遊んだり、教室内で談笑している。そして私はいつも通り教室から出ていく。


 そう、今世も案の定友達という友達ができずにいるのだ。最早何かの呪いかと思うぐらい、勇気を出して自分から話しかけに行っても、交わされたり、距離を置かれたりしている。


 自分に何か問題があるとするなら、それは目つきの悪さと遠慮のないもの言いなんだろうけど、雲雀や紫苑によると、どうやら意図せず無意識のうちに出てしまっているらしい。自分でも直そうとは頑張ってみたものの、こればっかりは直らない。


 最も、雲雀や紫苑はお母様で慣れているので気にならないようだけど。確かにあの人もそんな感じね。思ったことはズバズバ言うし、目が笑ってないというか何というか笑顔になったときの圧が凄まじい。そこは全然似なくて良かったんだけどね……。

 

 お母様の笑みを思い返していたら、目的地である図書室へと到着した。先日の昼休みに校内探索と称して初めにここへ来たときは驚いたけど、基本的にどの学校にも図書館が存在するようだ。


 ただし、うちの桜波図書館みたく紙媒体の図書は置かれておらず、電子媒体の図書のみだった。さっそく腕時計型ネクサスの電源を入れ、図書室の入場ゲートに設置してある機械へそれを翳す。こういったシステムなどは桜波図書館と同じなので有難い。私はそのまま児童書コーナーへと赴く。流石に小学1年生が文庫本なんて読み始めたら司書の先生がひっくり返ってしまうだろう。


「どれにしようかな……」

 

 そう児童書コーナーに設置されているQLコードをネクサスの読み取り機能で読み込むと1枚のウィンドウが現れる。私は図書室の閲覧コーナーにある椅子へ腰かけ、ウィンドウをスクロールしていく。前世でよく読んでいた本を見つけたのでそれをクリック。すると、全ての漢字に振り仮名の振られたページが出てくる。


 ネクサスには使用者のそれぞれの年齢に合わせて振り仮名が振られるという便利な機能がある。これなら小さい子でも不自由なく本が読めるのだ。


 

 読み始めて数分が経過した頃、私の斜め向かいの席に私と同じぐらいの年の子がネクサスを利用して本を読んでいた。今の時代、生前よりも本離れが進んでおり、この図書室を利用する人は少ない。私みたいな低学年の児童は尚更だ。


 だというのに珍しいわね。一体何を読んでるのかしら……。ふと、その子の読んでいる図書の題名が見えた。と、ここでその子が私の視線に気づいたのかこちらを向いてきた。


「……何?」

「あー、えっとその……」

 

 警戒するかのように呟かれたそれに私は動揺する。ヤバい、何読んでるのか気になってつい見てましたなんて言ったら絶対変な目で見られるわよね……。でも、それ以外にどう言えば良いのやら……。えぇい! ここはもう正直に言うしかない。


 なるべく警戒心を与えないように心がけて笑みを浮かべ、高めの声を意識してこう問いかけた。


「……な、何の本を読んでるのかしら?」


 


 

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