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第10頁 どうやってこの世界はできたのか!? ワクワク歴史回!

「あれが気になりますか?」

「え、えぇ」

 

 雲雀がすぐに反応し、本棚からお目当ての本を取ってくれた。私は雲雀からそれを受け取って、近くの閲覧コーナーへ移動する。雲雀に椅子を引いてもらい、そこに腰かけて1ページ目を開く。


 目次をざっと見てみるけど、私のいた2020年代の歴史は変わっていないみたいね。そこからの50年は技術が緩やかに進歩していったと書かれている。ここも前々世と大きくは変わっていない。けど、大きな分岐点はそれから4年後の2074年だった。

 

「アニマ粒子……?」

 

 前々世は2090年代ぐらいまで生きていたけど、こんな物質があるというのは初めて聞いた。本によると、どうやらとある科学者が偶然発見したらしい。

 

 そのアニマ粒子は元来から宇宙や地球の大気中にあったらしいのだが、近年になってようやく発見されたのだそう。アニマ粒子は2074年に発見された半永久的エネルギー源で、太陽に照らされると、活性化し、より強力なエネルギーを生み出すことが可能。

 本書によれば、そのエネルギーを活用し、地球の新たなエネルギー源とすることに成功したらしい。

 

 その後もざっと目を通していくと、そのエネルギーを取り込む方法には人工衛星”ヒュウガ”と地上に設置された巨大アンテナが必要になってくるようだ。多分そのアンテナっていうのが、ここへ来る前に見たタワーみたいね。とにかく、今の現実離れした技術発展にはアニマ粒子が大きく関わっているらしい。


「ふーん。このアニマ粒子って凄いのね」

「そうですね。ちなみに我ら機械人形の動力源にもそのエネルギーが使われていたりします」

「へぇ~、そうなのね」


 一言でいえば、何にでも転用可能な万能エネルギーってところかしら。本当に便利なものを見つけちゃったわね。さてと、この後に続いてるのはアニマ粒子がどういったものに使われているのか詳しい説明が載ってるぐらいだしここはさらっと流すぐらいで良いわね。で、次の項目はっと……。


「ん? 世紀末……戦争……?」

「あの戦争はその名の通り、2190年から2200年まで起こった戦争です。確か、戦争参加国は27か国。大規模な世界戦争で、終結まで10年かかりました」

「な、なるほど」

 

 えっと、始まりは中東戦争か。雲雀の言う通り、英米露中仏を含んだ27か国が参加したようね。てか、明らか第三次世界大戦よねこれ。ある意味世紀末戦争なんて呼ばれてるのも納得かしら……。で、肝心の日本は軍事関係の組織は漏れなくアメリカに協力する形で参加。終結の要因となったのが……。


「え、機械人形なの?」

「そうなりますね。日本が核の代わりに戦争を終わらせるために投入したようです。最も、私や紫苑は参加しておりません。機械人形にも種類があるのはご存知でしょう? 投入されたのは主に軍事用機械人形です」

 

 でも、機械人形は人間じゃなくて量産できるし、立派な抑止力になる。つまりはそういうことだ。で、その世紀末戦争をきっかけに機械人形は急速に普及し始めたらしい。


 そして、次の項目は機械人形についてか。これは知っておくべき内容ね。ページを捲り、書かれている内容に目を通していく。と、ここで開発者の1人として、桜波弦哉(げんや)という人物の名前が書かれていた。


「え……機械人形を作った人って私の親族なの!?」

「初音様。図書館ではお静かに」

「あ、ごめんなさい……」

「いえ、無理もありません。何故なら、我ら機械人形を作ったのは初音様の曾祖父ですからね」


 ……マジか。なんかもう驚きすぎて声も出ないわ。でも、そういうことなら、うちが名家って呼ばれてるのも当然よね。それにこの本を読む限り日ノ咲市は機械人形の発祥地らしいし。


 本当、なんて家に生まれたのかしら……。こんなのもう凡人としてなんか生きていけないじゃない! 私の自由に生きるっていう夢は5歳にして潰れたというわけね……。はぁ……前世に戻りたい。ぼっちだけど、それでも良いから戻りたい……。


「初音様。そろそろお時間です」

「え? あー、もうそんな時間なのね……」


 んー、まだ半分も読み終わってないし、見落としてるところもあるだろうから、この児童書は借りて帰って読んだ方が良さそうね。

 私と雲雀は再びエレベーターで1階まで降り、貸出カウンターの方へ向かった。

 すると、先ほど館内を案内してくれた輝さんが声をかけてくれた。


「やぁ、初音ちゃん。それ借りるのかい?」

「はい。えっと、これ借りるにはどうしたら良いですか?」

「さっき副館長から渡されたパスカードと持ってる本を貸してごらん」


 あの初老の男性って副館長だったのね。だからあんなに親しげだったんだ。ポケットに仕舞ってあったパスカードをカウンターの向かいにいる輝さんへ手渡した。すると、パスカードを透明ケースのバーコードに翳し、ホログラム付きのキーボードを操作し始め、1分もしないうちに本が手元に戻ってきた。


「ありがとうございます」

「どういたしまして。っと、館長が戻って来たみたいだ」


 後ろを振り向くと、お母様が職員用の扉から出てこっちに向かってきた。お母様の隣には先ほどパスカードを渡してくれた副館長もいる。お母様は私の前まで来ると、目線を合わせるようにしゃがんでこう訊いてきた。

 

「初めての図書館はどうだった?」

「色々なことが知れて楽しかったわ」

「ふふっ、連れてきたかいがあったというものね」


 お母様に頭を撫でられ、目を細める。少しの間撫でた後、お母様は立ち上がって輝さんと副館長の方を向いた。

 

「それじゃあ、私たちはこれで。後はお願いね」

「勿論です」

「今日はありがとうございました」


 輝さんと副館長へお辞儀をし、お母様の後をついていく。図書館から出た後は、車に乗り込みショッピングモールへ移動する。お母様によれば、インターネットで購入しても良いけど、やっぱり大事なものだから直に行って見た方が良いでしょう? とのこと。

 

 確かに、通販だけじゃ味気ないものね。そういう訳で、私たち一行はショッピングモールに到着した。

 

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