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ウルウル製作者は婚約者?

「殿下のカンが当たったかもしれませんよ」

やっぱりか!思わず立ち上がってしまい、前に立って報告していたビンジーをビビらせてしまった。

「お、落ち着いて下さい。とりあえず調べたことを順にお話します」

この時の調査は美容魔器具がからんでいたので、割と用心深いビンジーは屋敷メイドのマリーにも頼んで、女性同士のつながりでこの器具に関する噂を集めてもらい、自分は取り扱っている商会に調べに行ったそうだ。

なお、俺の母方の実家の男爵家がこの美容魔器具に興味を持っている、というのを口実にしたそうで、何かあったら口裏合わせよろしくお願いします、と後出しで言うところがちゃっかりしている。


やはり、というべきか、美容魔器具、商品名「ウルウル」…このネーミングセンスも俺はどうかと思うのだが、みんな気にしてないらしい…の販売元商会はミルスラ公爵の庇護おかかえで、以前公爵家が相談を持ちかけた魔石卸と経営資本が同じところだった。

聞き出したところによると、商会には中が二層に分かれて上下に魔石取り出し蓋がついている壺が、公爵家が持っている工場、というか作業所から発送されてくるらしい。その壺の口には薄布が貼られているので、中に魔石卸から買った水魔石と火魔石を上下に入れて使えるようにしてから、商会が販売しているそうだ。

商会が製作に関わっていないことにちょっと驚いたが、だからこそ流行りだしたにも関わらず量産できないのだろう。商会の方はもっと取り扱いを増やしたいらしいが、ミルスラ公爵家はそのつもりがそんなにないらしく、できた分だけ渡すから売ってくれ、よろしくね、という感じらしい。


マリーがつかんできた情報も興味深かった。やっぱりこういう情報を聞き出すのは女性の方が上手いんだろうな、玉石混交になりがちなのがちょっと困るけど。

このウルウル、やはり最初はミルスラ公爵家内部でのみで使われていたらしい。しかし、メイドのお仕着せにいい匂いが染み込んでいるのに出入りの洗濯屋が気づき、聞いてみたらこの器具のおかげと教えてくれたようだ。仲がよかったのだろう、貸してー、いいよーという気軽なやりとりでウルウルを使ってみたら、洗濯屋だけに預かっていた他の屋敷のお仕着せにも香りがほのかに移ってしまったらしい。


で、ミルスラ公爵家以外の洗濯物を届けに行った屋敷のメイドから、あらこの香りいいわ、洗剤変えた?なんてやりとりの後、実はねーと同様なやりとりが繰り返され、やがてメイドだけじゃなく、主人側にも広まったという話だった。ここまでくるとミルスラ公爵家に問い合わせする家もあるわけで、そんなに人気ならじゃあ売り物にしてみようかー、という割とゆるい感じで販売し始めたらしい。さすが金には困ってない公爵家らしいというべきだろう。


「で、誰がその布付き壺を作ってるのか分かったのか?」そう、ここが肝心なところなんだよ。

「それが、公爵家の手慰み、という感じではぐらかして教えてくれないそうなんですよ。商業特許は抜かりなく公爵家で保持しているのですが、その特許にも家名だけ載せてまして、発明者の名前はどこにも…」

とやや困ったように言うビンジー。

「手慰み、って貴族の刺繍とか絵画じゃないんだし、こんなの売るつもりじゃなきゃ普通作んないだろう。偶然二層に分かれてる壺なんて、できる訳がないんだから」

「そんなの、私に文句言われたって困りますよ。マリーが聞き出したところによると、最初この器具が使われたのはミルスラ公爵家夫妻の部屋らしいですよ。で夫妻付きのメイドたちが使うようになって、広まったらしいです」

公爵家夫妻が最初…?ということは、もしかして、このウルウルも最初はプレゼントだったんじゃないか、愛娘からの。売るつもりはなくて、でも売れると分かったから販売用に作るようになった?

「あとやっぱり類似品はありますが、香りがつく機能付きなのはこのウルウルだけらしいです。多分上についてる布が違うのではないかと、商会の者が言ってました」


布、やっぱり布か。タダの布にいい香りを持続させる力を持たせるのは、魔法無しでもできないことはない。けど、俺がもらってるプレゼントとの類似性を感じるんだよね。見た目がアレな割に効果が抜群ってとこが、特に。

うーん、ダメだ分からん。魔法の知識は学院にきてかなり身につけたつもりだけど、魔力が少ないせいで実地経験が少ないから、類似した魔法や魔道具が思いつかない。詳しそうなのは、魔道具のために生きてるようなオルト兄上だけど、あいつに教えを請うなんてどう考えてもヤブヘビだよなぁ。

うん、でもとっかかりはできた。このウルウル購入して、ちょっと不審な点があるので直にお話したいとでも言ってみよう。俺へのプレゼントに共通点があることも訝しんでいる、とでもいえば公爵家でも無下には扱えないだろう。


いいアイデアだと我ながら思ったので、ビンジーに言ってみたが、反応がなんか芳しくない。

「なんか、王子が鉄の微笑み公に片手で吊るされちゃう未来しか見えないんですが…」

なんて、顔をしかめて言われてしまった。え、そうかな、そこまではしないと思うのだが…

「だって、王子の思惑が当たってたら、愛娘の初仕事にケチつけた、ってことになりますよ」

言われてみれば…。うーん、でもこれ以上謎のプレゼントもらって、俺の平穏な学院生活が脅かされる種を増やしたくないんだよ。

もし何かあったとしても、あのプレゼントが元凶って確信できたら対処できるだろ。どんなに役立つって分かってても絶対使わずしまい込むとかさ…。

「マリーに言って、1個でいいからウルウル購入するよう頼んでくれ、分かったな」

不満そうなビンジーを無視して、俺は内心ビビったことを隠すように言いつけたのだった。



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