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-コレクターズ-愛知狂騒曲  作者: かしお
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始まりのブローチ

3月も終わりに近づく頃、春の訪れを感じるこの季節に、珍しく季節外れの雪が降った。


この日、様々な人達が雪の為に予定を変更しなければいけなかったが、中でも不運だったのは、高速道路で移動していた人々だろう。その中に、遊園地へ向かう途中のバスがいた。


バスは予定になかった長時間の渋滞に巻き込まれ、足止めを余儀なくされ、一度休憩の為にサービスエリアで停車をしていた。


バスの中は外と同じように暗い気持ちに包まれていた。乗客は学生達やカップル、子連れの家族、二人組の姉弟がいた。


姉弟は、バスの中では一際目立つ存在だった。

10代前半くらいの姉と思われる少女は、深い蒼色で大きな目が特徴的な綺麗な顔立ちをした少女であった。


また、フランス人形のように綺麗な金色の髪をしており、お人形さんのようだと形容するに相応しい顔立ちをしている。


姉よりもさらに幼く見える弟と思われる少年は、小動物のような愛らしさがあった。少年もまた、黄金色の目が特徴的であった。暗い雰囲気とは対照的に、「今日は楽しみだね!」などと、ほんわかとした会話を姉弟はしていた。


不思議なことに姉弟は二人でバスに乗車していた。


始めに乗車した際も、「ご家族は見えないのかい?」と乗務員は確認したが、少女は「今日は私達だけでいいの!何度も何度も!いい加減にして欲しいわ」と怒り返されたので乗務員は何も言い返せずにバスに搭乗させることにした。


少女は乗車の際に一言「早く乗せて出発してよね、遊園地楽しみだわ」とどこか嬉しそうに乗り込んだ。


続けて、乗り込んだ少年は「姉が怒って、ごめんなさい。」と謝ると姉に続いて乗車していった。


乗務員は心の中で「今の時代に珍しく、礼儀正しい少年だ。それに比べてなんて失礼な少女なんだ」と悪態をついていたが、表にはださず笑顔で少年に応えた。


最も乗務員も仕事の最中な訳で、いちいち構っていられないというのが本音であったりもする。


そんな特徴的な姉弟は、今日という日をとても楽しみにしていた。


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