怖い童話「人形」
怖い童話「人形」
学校に行くのが嫌だ!
また、イジメられる…
クラスのみんなが僕をイジメる。
「学校に行くんだったら死んだほうがましだ!」
……
……
棚の人形を見る。
「人形はいいな、座っているだけでいいし、」
「誰か、僕の代わりに学校へ行ってくれる人はいないかなぁ」
「代わってあげるよ、」
棚の人形がしゃべった。
「僕が、君の代わりに学校へ行ってあげるよ」
「本当?」
「本当だよ」
「ありがとう」
人形は、僕の代わりにランドセルを背負って学校へ行った。
僕は、人形の代わりに棚の人形になった。
人形の生活は楽しいな、
勉強しなくてもいいし、お腹も空かない。
お手伝いしなくても、ママに怒られない。
ああ、楽だ。
午後、
人形が帰って来た。
「イジメた奴らを殴ってきたよ、」
「みんな、やっつけて来たよ。クラスのみんなは君の子分だ。ハハハハハ、」
「ええっ、そんな事をしたら、もっと嫌われるよ」
「大丈夫だよ、明日も君の代わりに学校へ行ってあげるよ」
「本当?」
「本当だよ」
「ありがとう」
次の日から、
人形は、ずっと僕の代わりに学校へ行った。
僕は、ずっと人形の代わりに棚の人形になった。
ずっとずっと、
ずっと…
あれ?
となりの人形、パパに似ている。
となりの人形、ママに似ている…