表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「暮らし」など

フレーズ

作者: 維酉

 春なんてもう二度と来ない。そういう恋をしてますか。暗いのではなく昏いだけ。寂しいのではなく淋しいだけ。悲しいのではなく哀しいだけ。そういう恋をしていますか。


 糖度と感度と明度がちがう、最低な三度目の恋のさなか、そういえば二度目もこんなフレーズで愛したと思いながら、夏に目を開くわたしの虚しさが空回りしていて、本当に好きだったんだよなぁとべつの人とキスしながら。


 また新しくうまれかわる。


 蝶々のようなダンス。藪雨のようなセンス。蜘蛛のように這って蚯蚓のように眠る。わたしの生活は臆病風に吹かれて、貧乏くさい耳鳴りを疎みつつ、きみの好きなわたしになる。それがわたしの好きなわたしだから。たぶん、たぶんそうだろ。


 また新しくうまれかわり。


 人間のようなダンス、人間のようなセンス――人間ってどこに? 恋をするのが人間なら、誰かを愛すのが人間なら、わたしもう人間のお手本なのに、そうなれてる感じはない。あぁもう、あぁもうどうだろ。


 まただ。あのフレーズできみを愛す。


 なにがちがうのか知らない。いままでと同じかもしれない。人間にはならない。掌の上で踊る。


 明度が上がるたび、きみに惹かれる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ